超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~ 作:Valid Bear
こちらは読み飛ばしても大筋の把握には影響ありません。
(話数調整とも言う)
次回から本編に戻ります。
夏合宿が始まってから、早くも1ヶ月が過ぎようとしていた。
当初は1ヶ月もすればタキオンのデータ取りも落ち着くかと思っていたのだが……。
「モルモットくん。今日は久しぶりの晴天だ。まさに実験日和だ!……と言うわけで君にはこれを着けてあの山を登って貰おうかな。私はロープウェイで先に行っているから、あまり待たせないようにしたまえ」
そう言って腕輪を渡された。
心拍数や血中酸素濃度を測れるスグレモノらしい。
……なるほど。
海でやることが無くなっても山がある、と。
そこは1000メートルにも満たない小さな山とは言え、山は山である。
「さすがに登山の用意はしてきてないから明日でも良い?」
準備も無しに登るのは危険だろう。
ちなみに明日の天気は一日中雨の予報となっている。
「その事なら問題はないよ。カフェに頼んで登山に必要なものは一式用意して貰った」
だがどうやら逃げ道は潰されていたらしい。
「いや、マンハッタンカフェと私じゃ体格が……、ってあれ?見た感じサイズピッタリなんだけど」
「それはそうだろう。サイズは私がカフェ君に伝えたからね」
個人情報だだ洩れであった。
登山が趣味であるマンハッタンカフェの選んだ登山セットは、ちょっとした登山には十分な物であり……、それを理由に拒否するのは難しそうだった。
まぁあれぐらいのサイズの山ならまだマシか。
「お金はどうしたの?言ってくれれば払ったのに……。いったい幾らしたのさ」
「忘れたのかい?これでも私は名家のお嬢様なんだよ」
そう言うとタキオンは財布からカードを取り出した。
そのカードは黒かった。
お金持ちの代名詞なあのカードだった。
「今の君には到底払い切れない額だろうねぇ……。さぁ、どうする?」
どうしたものか。
多分払おうと思えば払えるんだよなぁ……。
まず、いったい何処に居るのかハッキリしない母が恐らく結構なお嬢様だし、自分の足で稼いだ分もそれなりにあるし。
それに加えて学園の給料も結構高いし。
ただ、何となく。
何となくここで払ったらタキオンが不機嫌になる気がする。
とは言え、払わないのはさすがに……。
あ、そういえば。
「それじゃその対価はウマ娘の限界の向こう側への道案内とスイーツバイキングでいかがでしょう?まずは手始めに登山前後のデータという事で」
登山用具一式とは言え、行って数万円とかだろう。
スイーツバイキングも結構なお値段するらしいし、数回行けば同じぐらいの金額になる筈。
「うん、満点だ。それじゃ山頂で待っているよ」
「はいよー」
その後、たまたま登山に来ていたカフェさんと合流。
登山セットの金額を聞いて腰を抜かしかけるも山頂まで辿り着き。
山頂の売店でカードが使えず、暇のあまり不機嫌になったタキオンの機嫌を取る事になるのだった。