超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~   作:Valid Bear

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前回・・・登山(飛ばしていれば『乱入!ゴルシちゃん!!』)

本編に戻ります。


18話 モルモットとレースのお誘い

 ある日。

 

「ねぇお姉ちゃん。ちょっと太った?」

 

 昼食を食べていたら焔が喧嘩を売ってきた。

 いきなり何を言ってくるかなこの妹は。

 

「……?」

「あ、いやその、えっと……」

 

 決して図星を突かれて怒ったとかではない。

 ただ、笑顔の起源は相手を威嚇する行為なのだとか。

 面白いほどにたじろいでいた。

 そんなになるなら最初から言わなければ良いのに……。

 

 

 

 

 

 面白いから少しの間眺めていると、タキオンがやってきた。

 

「……君はいったい何をしているんだい?」

「あ、タキオン。少し焔トレーナーをからかってた」

 

 実際のところ、体重は増えているが、体脂肪率はむしろ減っているぐらいなのだ。

 筋肉が少し太くなってしまったというのが正解だろう。

 まだピークには程遠いが、……いやピークに持っていく必要もないのだが。

 

「で、2人とも何か話があったんじゃないの?」

「……そうだった。来週模擬レースあるんだけど、タキオンちゃんって走るの平気?」

「平気?って何で?」

「だって学園で練習してた時はあんまり走らないで済むようにトレーニングしてたっぽいし、脚弱いのかなーって」

 

 ……よく見てらっしゃる。

 

「まぁ何か変な事しなければ大丈夫だと思うけど……。どうする?タキオン」

「うん。私も同じ見解だし、トレーナーくんがそう言うなら間違いないだろう。参加させてもらおうじゃないか」

「距離はどうするの?一応芝ダートそれぞれで全距離、ジュニア級以下、クラシック級以下、無制限って分けてやるんだけど」

「結構細かく分けるんだ」

 

 どうしたものか。

 タキオンが走れるのは芝の中距離と長距離だけだ。

 当然走るだけならマイルと短距離も行けるが、今のところ出すつもりは無いし。

 中距離か、長距離か。

 まぁタキオンが走るのは暫くは中距離だから中距離で良いかな。

 

「芝の中距離で良い?」

「少し待ちたまえ。焔トレーナー、()()()も走るのかい?」

 

 そう言ってタキオンが目を向けた先に居たのは、堀川サブトレーナーと共にいるスーパークリークとセイウンスカイだった。

 

「ん?そりゃもちろん、……あ、そう言う事か。うん、()()走る予定だよ」

「それなら長距離でも走らせて貰おうか。トレーナーくんもそれで構わないだろう?」

「長距離でもって両方かい」

 

 ……まぁ良いか。

 2本ならまだ許容範囲だ。

 

「うん、それじゃ中距離と長距離でお願い」

「どちらも無制限クラスで頼むよ」

「……中距離も無制限なんだ」

「当然だろう?」

「わかった。それじゃ無制限クラスの中距離と長距離に登録しとくねー」

 

 そう言うと焔は彼女達の方へ行くと、堀川サブトレーナーに二言三言話しかけ、2人揃って食堂を後にした。

 代わってタキオンが席に着く。

 

「いやぁ……、ありがたい話だ。まさか菊花賞で世界レコードを叩き出したウマ娘達と長距離レースを走れるとはねぇ」

「無理はしないでよ?」

「勿論だとも。そもそも本気で挑んでもまだ勝負にならないだろう?あくまで彼女達の走りを観察するのが目的だ」

「あぁ、なるほど。2人とも長距離得意だもんね」

「……まったく、君の目は節穴かい?」

「え?」

 

 中々ひどいセリフに振り返った時には、既にタキオンは席を立っていた。

 ……何か見逃してたかな?

 

 

 

 

 

 その後しばらく考え続けたのだが、何も思い浮かばずにモヤモヤするのだった。




何を指してその言葉を発したのか。
相手の考えを読む事は大切ですね。
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