超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~   作:Valid Bear

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知人に触発され、衝動の赴くままに書き始めました。
話を書くのは初めてなので読みにくいでしょうが、お付き合い頂けると幸いです。


Prelude(デビュー前)
1話 新人トレーナーと洗礼


 春。

 それは出会いと別れの季節。

 

 ここ、日本ウマ娘トレーニングセンター学園でもそれが変わることはない。

 定年を迎えたトレーナーであったり、引退するウマ娘との別れがあったのがおよそ半月前。

 

 そして今日は出会いの場となる選抜レースが行われた。

 

 ウマ娘達は選抜レースで己の実力を見せつけ、トレーナーから声をかけられるのを待ち、或いは自分から声をかける。

 トレーナー、ウマ娘双方の同意が得られた場合には契約が成立し、ウマ娘達はトレーナーから指導を受け、目標へと邁進していく。

 

 ある者はクラシックレースの制覇を。

 

 ある者は憧れのウマ娘に並び立ち、追い抜く事を。

 

 ただ走る事が好きというウマ娘もいるだろう。

 

 そして、それらの目標へと辿り着く上で、トレーナーというのは非常に重要な要素だ。

 より実績やノウハウのあるトレーナーと契約を結びたいと思うのが道理である。

 

 つまり。

 

 新人であるため実績が無く、トレーナーとして名の売れた家柄という訳でもない場合、その者を待ち受けるのは『声をかけても片っ端から断られる』という地獄である。

 

 そして選抜レースも終わり、日も沈みつつある練習コース。

 普段は殆どのウマ娘が帰り、わずかな自主練組が残るだけという時間なのだが…。

 今日は観客席に人影が残っていた。

 

 非常に重い空気を纏いながら。

 

 それもそのはず。

 彼女はその地獄を味わったばかりだったのだから。

 

 妹がトレーナーをやっているとはいえ、トレーナーとして有名な家の出身でもない彼女は、今日も声をかけた全員にスカウトを断られ、完全に意気消沈していた。

 名は霧島怜。

 今年トレセン学園に就職した新人トレーナーである。

 

 

 ────────────────────

 

 

 同時刻。

 夕日の差し込む理事長室で1人の少女が扇子を広げる。

 

「困惑ッ!アグネスタキオンはまたトレーナーを拒否したのか?このままトレーナーが付かなければ学園を退学になってしまうというのに!?」

 

 その少女…、秋川やよいは悩み事を抱えていた。

 悩みの種は1人のウマ娘。

 そのウマ娘は瀬戸際に立たされていた。

 頭一つ抜けた実力を有していながら、いつまでもトレーナーを決めようとしないのである。

 合同練習かおろか、選抜レースすらも出ていない事でURAから『やる気がない』と判断されてしまった。

 やよいとしても、トゥインクルシリーズを盛り上げてくれるであろう逸材を退学にするような事態は避けたい。

 その為、学園の運営元であるURAに無理を言って引き延ばしてもらってはいるのだが…。

 

「はい…。あと残っているのは今年入った新人さんばかりです」

 

 話が付いたトレーナーも、今日断られたトレーナーが最後だったらしい。

 そして残ったのは新人トレーナーのみ。

 

「衝撃…ッ!何たる事だ…。このまま放置する訳には行かないが…」

「新人トレーナーさんには荷が重いのではありませんか?」

 

 彼女の言う通り、新人のトレーナーが彼女の担当を務め上げるのは相当難しいだろう。

 

「だが…。なんとか認めてもらわねばあるまいッ!」

「理事長!?」

 

 彼女も『実験に便利だから』という理由ではあるが、この学園に入学した生徒である。

 それが生徒の為ならば、切れる手札は全て切る。

 例えそれが賭けになろうと。

 やよいにはその覚悟があった。が、今回は賭けと言う程のものではない。

 机の引き出しの鍵を開けると中から1枚の紙を選び、秘書に渡す。

 

「適任ッ!彼女であればアグネスタキオンの興味も引けるだろうし、困ったときの相談相手もいるからな!」

「これは…、確か今年入った?」

「うむ!彼女はアルタイルのトレーナーの姉だそうだ!」

「なるほど、焔トレーナーのお姉さんでしたか。わかりました。早速連絡してみます」

 

 

 ────────────────────

 

 

 選抜レースが終了してから1時間。

 ずっと座り込んでいても仕方がないと気が付いた私が立ち上がろうとしたタイミングで、ポケットに入れていたスマホがメールの着信を知らせた。

 驚いて落としかけたが、なんとか落ちる前にキャッチし、メールの内容を確認する。

 そこには

「明日の朝、理事長室まで出頭してください。重要な話があります」

 とだけ記されていた。

 …絶対怒られるやつだこれ。

 

 

 ────────────────────

 

 

 翌朝。

 担当をいつまでも決めない事を怒られるのだろうと覚悟を決めてきたのだが。

 どうやら覚悟の方向性を間違えていたらしい。

 奥に立つ秋川理事長も、扉を開けてくださった駿川さんも、笑顔を浮かべていた。

 満面の笑みとはまさにこの笑顔だろう。

 …謎のプレッシャーさえ無ければ。

 完全な無茶振り体勢である。

 

「すみません。出勤したばかりの時間に呼び出してしまって」

「いえ…。特に急ぎの仕事はありませんから大丈夫です。それで、重要な話と言うのは?」

 

 やはり怒られる訳では無さそうだ。

 まぁいずれにせよ安心は出来ないが。

 

「要請ッ!君にはアグネスタキオンの担当を務めて欲しい!!」

 

 …え?それだけ?

 

「はい。分かりました」

「「え!?」」

「え?」

 

 何故か二人揃って驚いていた。

 

「…あの。何故驚いていらっしゃるので?」

 

 これは特に無茶振りとかではないと思うのだが…。

 現状を考えるとむしろ救いの手である。

 だが。

 

「あ、いえ、その…。まさかそんなすぐに引き受けていただけるとは思わなかったので…」

「うむ。正直断られると思っていた」

 

 …早まったかな。

 どうも私の知らない何かしらの事情があるらしい。




3年間の完走と毎週投稿を目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします。
2話は1月21日に投稿予定です。

ウマ娘未登場馬の名前ってどうしたらいい?

  • まぁ、私はそのままで良いと思うけどねぇ…
  • たわけ。名前くらい自分で考えたらどうだ
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