超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~   作:Valid Bear

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未登場馬のウマ娘はそのままの名前で行くことにしました。
アンケートご協力、ありがとうございました。

ものっそい久しぶりの投稿です。

前回・・・長距離模擬レース


21話 モルモットと学園祭【前編】

「……なにこれ」

 

 ある日外出を終え、トレセン学園に戻ってきた私は、正門前で立ち尽くしていた。

 正門には巨大なアーチが立っており、日が沈みかけているにも関わらず多くのウマ娘達が準備に追われている。

 門限はとっくに過ぎているのだが、生徒会の面々も居る事から恐らく許可が出ているのだろう。

 

「怜トレーナー。そこは邪魔になる。見るならこっちで見ていろ」

「あ、エアグルーヴ」

 

 立ち尽くしていたらエアグルーヴに引っ張られた。

 

「この騒ぎはいったい何事?」

「何を言っている。明日からのファン感謝祭の準備に決まっているだろう」

「あぁ……。そう言えば明日からだっけ」

「……年間予定表ぐらいたまには見たらどうだ?」

「返す言葉もございません……」

 

 特に関係もなかったため、すっかり忘れていた。

 来年以降は私も何かしらの出し物に参加する必要があるらしいのだが、1年目は免除されている。

 新入生や新人トレーナーの歓迎という目的も含まれており、そこで出し物をさせては本末転倒だろうという事らしい。

 参加したいと言う声も尊重し、希望者は参加できるらしいが強制ではない。

 そのため、完全に思考の外に追いやっていた。

 

「それで、あのアーチは?副題か何か?」

「副題だと?そんなものを書いた覚えは無いのだが……」

 

 そう言いつつアーチを見たエアグルーヴは、瞬く間に顔を真っ赤に染め──

 

「……何だあれは!?」

 

 叫んだ。

 

 すぐ側でウマ娘に叫ばれるのはタキオンで慣れている。

 息を吸ったのに気付けた為、咄嗟に耳を塞ぎ、ダメージを抑える。

 まぁそれでも暫く耳鳴りが凄かったが。

 

 それはさておき。

 

 正門に用意されたアーチ。

 その上部には「トレセン秋のファンまつり」と書かれていた。

 なんだかお皿とかが貰えそうな響きである。

 

 そしてそそくさと逃げ出す芦毛のバ体。

 

「おい!待てゴールドシップ!!」

「待てって言われて待つなら鬼ごっこはおしくらまんじゅうになっちまうんだZE☆」

「訳が分からん事を言っていないで元に戻せ!!」

「安心してくれ!!半日もすれば元に戻るからよ!!」

「安心できるか!!」

 

 エアグルーヴもすかさず追いかけるが、ウマ混みを抜けた時には既にゴールドシップは姿を消していた、

 

「全く……、逃げ足の速い」

「まぁいいじゃないか、エアグルーヴ」

「しかし会長……」

「ゴールドシップ君が言っていたじゃないか。半日もすれば元に戻ると。彼女はそうと判らない嘘は吐かないウマ娘だよ」

 

 良いのかそれで。

 まぁ私も同意見なのだが。

 

 

 

 

 

 翌朝。

 混雑する事を予想して早めに来たところ、正門前でゴールドシップと鉢合わせた。

 

「……なにやってるの」

「お、ちょうどいい所に。ちょっとそっち持っててくんね?」

 

 言われた通り看板を持っていると、ゴールドシップは裏に手を回し──

 

「どぉぉりゃぁぁあ!!!!」

 

 表面の何かを思いっきり引き剥がした。

 その下からは恐らく本来書かれていたのであろう『秋のファン感謝祭』の文字が。

 

「あとはこれを元通りにかけて……、これでよし。助かったぜ!」

 

 そしてアーチに掛け直すと、またしても一瞬で姿を消していた。

 

「なるほど。ラッピングしてたのか」

 

 いたずらの為にいったい幾らかけたんだ……。

 

 

 

 

 

 何はともあれ、アーチの文字も元通りになり、ファン感謝祭の開幕である。

 

「さて、どこから回ろうかな」

 

 やっている事は普通の学園祭と変わらないとはいえ、トレセン学園は生徒数2000人超えを誇るマンモス校である。

 当然学園祭の規模も大きく、それこそ最短距離を導いた上で挑むか、全力疾走でもしない限り2日かけても全制覇は不可能だろう。

 私にはそんな気力もお金もルートを考える気力も無かったので、素直に行き当たりばったりで楽しむことにした。

 とりあえず見たいのは、リギルの執事喫茶、トウカイテイオーのスペシャルライブ、アルタイルのクレープ屋、そして有志のウマ娘達による模擬レースぐらいか。

 

「それじゃまずはリギルの執事喫茶からかな。東条先輩には凄くお世話になってるし。場所は……、何でこんな奥なんだろう?」

 

 執事喫茶の場所は、旧校舎の1階となっていた。

 私は毎日通っているため慣れているが、旧校舎までは結構歩く事になる。

 地味にキツイのは勿論『たまたま目に入って』入ってくるような事は無い。

 何故わざわざお客さんの入りの悪そうな場所を選んだのだろうか。

 

 

 

 

 

 その理由は店に到着してすぐに判明した。

 

「すっごい行列……」

 

 まだ開場から間もないと言うのに、執事喫茶の前には行列が出来ている。

 この時間の旧校舎でこの人数である。

 もし本校舎に出店しようものならその行列で他の店舗に迷惑が掛かってしまうだろう。

 朝一で来たためすぐに入れたが、正直リギルの人気を甘く見ていた。

 待っている間にも行列は伸び続けていたし、もし後回しにしていたらいったい何時間待つ事になっていたのやら。




ガイアフォースが皐月賞に間に合わなかったのがかなり残念な今日この頃です。
まさか骨折での長期休養だったとは。
ダービー、間に合うかなぁ・・・。
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