超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~   作:Valid Bear

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やっとタキオン登場です。


2話 新人トレーナーと学園一の研究者

 side-???-

 

 放課後、他のウマ娘達がトレーニングに励む中、私は旧校舎に居た。

 実験を重ねるうちに、学園から旧校舎の一室を研究室として与えられたのだ。

 まぁ…、隔離措置と言う訳だ。

 毎週のように教室を黒焦げにされては堪らないと言ったところか。

 寮住まいなのだから無意味な気もするがね。

 学園の思惑は何にせよ、結局は思う存分研究が出来る場所が出来たのだから私としては大歓迎だ。

 本校舎からはそれなりに離れているのに、何故かカフェとデジタル姉さんは毎日のように来るし、カフェに至っては自分のスペースまで確保しているし、スカーレット君やフジキセキ君もたまに来てくれる為、全く退屈しない。

 紅茶を振る舞ったり、たまに薬品を混ぜて光らせたり。

 最近は何故かトレーナーが日替りでやって来るが、話を聞く限り時間の無駄にしかならないので追い返す。

 研究なら何も学園でしなければならない訳ではないし、彼らには特に見るべきところも無かったし。

 何故学園は私をそうまでして引き止めようとするのだろうか?

 私の退学を引き延ばしてもURAに睨まれるだけで特にメリットは無い気がするのだが。

 …しかし彼女はいつまで昇降口で右往左往しているつもりなのだろうか。

 急にカフェが来ても証拠隠…、片付けが間に合うように昇降口は視界に入るようにしているから、正直気になって仕方がないのだが。

 早く入ってくれば良いものを。

 

 

 

 

 

 side-トレーナー-

 

 駿川さんから貰った地図を頼りに進む事およそ5分。

 辿り着いた先にあったのは木造二階建ての建物だった。

 昇降口の横には半分ほどが掠れて読めない看板が掛かっている。

 読める所からどうにか推察するに、元々は課外活動用の教室が詰め込まれていたらしい。

 とりあえず扉を開けて…、そこで立ち止まった。

 

「スリッパ持ってきてないんだけど…。どうしよこれ」

 

 開けた先には下駄箱があった。

 トレーナー室に取りに戻るか、それとも裸足で入るか。

 木製の床は当然のようにささくれ立っているし、裸足で入るのは無茶だろう。

 

「…取ってくるか」

「あ、あの…」

「ッ!?」

 

 いつの間にやら後ろにウマ娘が立っていた。

 振り向いた先に居たのは割と小柄な…、恐らく青鹿毛であろうウマ娘。

 

「はい。どうかしました?」

「こんな所で何してるんですか。今日はクリーク先輩と靴を買いに行く約束だったのでは?正門前でもう既に待っていましたよ」

 

 クリーク…?

 あ、そう言えば前に見せられた菊花賞を獲った子が確かそんな名前だったような。

 という事は…。

 

「それは妹の方だね。私は今年トレーナーになった姉の方こと霧島怜です」

「あぁ、貴女が焔トレーナーの言う『お姉さま』ですか…。妹さんにはお世話になっています、マンハッタンカフェです。…もし呼び辛ければカフェとでも呼んでいただければ」

「これはご丁寧に」

「冬辺りから怜さんの話をよくされてましたよ?『今年から怜お姉さまが入ってくるけど今回ばかりは私の勝ちね!貴女とならやれるわ!』って…」

「トレーナー同士の勝ち負けとはいったい」

「さぁ…」

 

 と言うか外でお姉さま呼びはやめいと言うに。

 何に影響されたのか知らないけれども…、正直恥ずかしい。

 

「それはそうと…、入らないんですか?タキオンさんなら2階に上がってすぐの部屋ですよ」

 

 そう言うとカフェさんは特に履き替えたりもせずに、そのまま入っていった。

 

「土足のままで良かったのね…」

 

 

 

 

 

 side-アグネスタキオン-

 

 どうやら焔トレーナーではなくその姉だったらしい。

 いずれにせよカフェのトレーナーである焔トレーナーには世話になっているし、その姉を邪険にするのはさすがにマズいだろう。

 それに焔トレーナーが言っていた事が事実なら、研究を進める上で彼女の協力は不可欠だ。

 …うん、お茶の一杯ぐらいは出そう。

 その結論に達した時、ちょうど扉がノックされ、カフェと怜トレーナーが入ってきた。

 

「やぁカフェ。それに霧島怜トレーナーもそう…、こ、そ」

 

 そして思わず言葉を失った。

 …何なのだこのヒトは。

 

 

 

 

 

 side-トレーナー-

 

 カフェさんが『タキオン研究室』と書かれた扉をノックし、中へ入る。

 それに続いて入った私は、目の前の光景に圧倒されていた。

 ファイルで埋め尽くされた本棚に、試験管やビーカーが並べられた机。

 パーテーションで区切られた向こうには良く分からない機械が所狭しと並んでいる。

 こういう機械って高いんじゃないの…?

 そして何より、目の前で固まっているウマ娘だ。

 と言うかウマ娘なのだろうか。

 振り向いたら固まったし。

 いや、目だけは動いているのか。

 何というか、凄いまじまじと見られている。

 例えるなら…、新しいおもちゃを見付けた子供の目だ。

 …なんなのこのウマ娘。

 

 

 

 

 

 side-アグネスタキオン-

 

 これは凄いな…。

 こんな素晴らしい研究資料がまだ眠っていたとは!

 あ、いや…、そう言えば『今年トレーナーになった』と言っていたな。

 という事は『眠っていた』とは違うのか。

 まぁそれはさておき。

 研究を進める上で、ウマ娘との比較対象が必要不可欠だったのだが…。

 まさか向こうから転がり込んでくるとは!

 しかも話から想像していた以上ではないか!

 彼女には是非とも研究si…、もとい私のトレーナーになってもらうしかあるまい。

 私はそう決意した。




学園一(様々な意味で)
3話は1月28日投稿予定です。
すみません。予告の日付間違えてました。

ウマ娘未登場馬の名前ってどうしたらいい?

  • まぁ、私はそのままで良いと思うけどねぇ…
  • たわけ。名前くらい自分で考えたらどうだ
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