超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~   作:Valid Bear

35 / 42
前回・・・箱入りウマ娘(物理)


34話 年明け早々

 20分後。

 

「おぉう。もうそんなに減ったかぁ」

 

 重箱に詰め込んできたおせちは、早くも1段に収まる程度にまで減っていた。

 残ったら夕食にしようと思っていたのだが、夕食は別に作る事になりそうである。

 

 

 

 

34話 年明け早々


 

「……すまない。あまりにも美味しくて箸が止まらなかった」

「いや、別に良いんだけど……、後で食べた分は走りなよ?おせちって意外と高カロリーだからね。油断すると太るよ?正月太り待った無しよ?」

「了解した」

「……ボクも走ろうかな」

「テイオーは沖野先輩に聞いてからにしてね。オーバーワークになったら私まで怒られるから」

 

 トゥインクルシリーズ在籍中に4度も骨折した子にオーバーワークなど論外で……、いやまぁどんなウマ娘でもオーバーワークは論外なのだが。

 沖野先輩に訊ねるようテイオーに言うと、テイオーは一瞬でウマホを操作し、送信。

 

「『模擬レースは2400以内を2本以内、全力疾走は3Fまで、距離は全部合わせて8キロ以内。この範囲内で好きなようにしてくれ。後でやったメニューを送ってくれればこっちで調整する』だって!」

 

 それに対する返事も一瞬であった。

 

「って合流するんかい」

 

 まぁ……、テイオーの走りを見れるのはタキオンにとってプラスでしかないし、大歓迎ではあるのだが──

 

「自分も交ざりたいのだが……、構わないか?」

 

「誰もかも1年目の新人を買い被り過ぎなのよ……。まぁ構わないけども」

 

 

 

 流れで2人ほど多く練習を見る事になったが、手探りでも交互に見るなら意外となんとかなるもので。

 今2人はタキオンの走りを見ながら休憩中である。

 

「へぇー。留学生なんだ」

「あぁ。今はまだキーンランド所属だが、4月までは日本の生活に……、何と言ったかな。経験を積む?」

「慣れる、かな?」

「それだ。慣れる為に会長さんの家にホームステ──」

「カイチョーの家に!?」

 

 謎のウマ娘改めクリスは、4月からうちの学園に通う留学生らしい。

 やはりと言うべきか、学園への出入りは許可されており、暇な時に見学していたのだとか。

 そして、タキオンが走っているのを見かけ、木陰からひっそり見ていたところを沖野先輩に見られた、と。

 本当の不審者じゃなくて何よりである。

 そんな事を話していると、タキオンがメニューをこなし、戻ってきた。

 

「ほら休憩終了。2人はあと2周軽く流せば食べた分は消費できるから頑張れ」

 

 休み明けという事で軽めのメニューにしたのだが、タキオンは息を切らせるどころか汗1つかいていない。

 ……もう少し重いメニューでも良かったかも知れないが、今更である。

 予定通りのトレーニングを伝え、2人の方へ振り返る。

 

「んじゃタキオンは休んで息整え……、整ってるけど休んだあと二千四1本ね」

「ちょっと待ったー!!」

 

 だが、テイオーから待ったが掛かった。

 

「なしたの?」

「ここ1周って大体2000Mだよね?」

「ん?まぁそうね」

 

「それ2周流すだけならタキオンと一緒に走りたい!!」

 

「へ?」

 

 

 

「さぁやってまいりました、本日のメインレース、トレセン特別!トレセン学園Dコース、芝2400Mでの開催だー!!実況解説はゴルシちゃんでお送りするぞー!」

「ちょっと待て」

 

 いつの間にか、テントやら机やらスピーカーやらが用意されていた。

 毎度ゴルシちゃんの早業には驚かされる。

 

「色々ツッコミたいんだけど、まず何でゴルシちゃん居るの」

「何言ってんだ?レースあるところにゴルシちゃんありなんだZE☆」

「初めて聞いたんだけど」

 

 なにその謎格言。

 

「とにかく参加メンバーの紹介に移るぞー。1番は有馬記念でまさかの9バ身差の圧勝!クリスちゃん!!」

「デビューすらしてないんだけどその記録どこから来た!?」

「まーまー細かい事は気にすんなって!!」

 

 これは細かい事なのだろうか。

 

「2番は4戦4勝!ホープフルステークスの圧勝劇から付けられた2つ名は超光速のプリンセス!!アグネスタキオン!!」

「何その2つ名みたいなの」

「固有2つ名なんだZE☆」

 

 なるほどわからん。

 

「3番はキセキの帝王!!トウカイテイオーだ!!」

「よく一年越しの復帰戦で有馬記念勝てたよね……。確かに奇跡と言っても過言じゃ無いか」

「外枠の4番にはクラシック2冠馬にして宝塚記念連覇、有馬、天皇賞春制覇を果たした名 馬 !ゴルシちゃんの登場だー!!以上4人が出走する超豪華レース、見逃す手は無いぞ!!」

 

「だからデビューすらしてないでしょうが!って言うか走るの!?実況解説は!?」

 

「……まぁうちのメンバーしか観客居ないし良いんじゃね?」

「えぇ……?ってうちのメンバーしか?」

 

 よく周りを見渡すと、4コーナーの外の丘でゆったりと寛ぐスピカの面々が。

 

「うわぁ……」

 

 なんか大事になってるし……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。