超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~   作:Valid Bear

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3話 新人トレーナーと研究内容

 マンハッタンカフェのおかげで研究室に辿り着き、無事アグネスタキオンに出会えた訳だが。

 

「ふぅン、もうこんな時間か。そろそろデジタル姉さんも来る頃だし、少し早いが休憩にしよう。カフェはいつも通りとして…、怜トレーナーは普段何を飲んでいるんだい?紅茶に珈琲、緑茶から烏龍茶まで色々揃っているよ」

 

 なにやら凄い歓迎されていた。

 今までアグネスタキオンの担当を引き受けてくれたトレーナー達は、全員相手にもされず追い返されたと聞いていたのだが…。

 隣のカフェさんもちょっとビックリしている気がする。

 はっきりとは判らないが。

 

「それなら紅茶をお願いしても?」

「わかった。少し待っていてくれたまえ。入れてくるから」

 

 そう言うとアグネスタキオンは奥に入っていった。

 

「…私、何か気に入られるようなことしたかな」

「さぁ…。それより、タキオンさんの出す紅茶はロシアンティーなので…。気を付けてくださいね」

 

 気を付けるとは一体…?

 ジャムを入れる訳じゃないと聞くけれど。

 だが、戻ってきたアグネスタキオンの手元にジャムは無く、角砂糖が袋で出て来た。

 警戒しつつも角砂糖を入れ、口に運ぶ。

 

「ッ!?」

 

 そして思考が吹っ飛んだ。

 

 お世辞にも美味しいとは言えなかった。

 とにかく不味い。

 もしカフェさんから警告されていなければ吹いていたかもしれない。

 それほどに不味かった。

 気を付けてって不味いからだったのか。

 

「おっと、今日は失敗だったか…」

「デジタルさんに出すならともかく、お客さんに出すのはどうかと思います」

 

 思わぬ方向からダメージを負う事になった。

 ロシアンルーレットのロシアンだったのか…。

 

「うーん…、今朝飲んだ時美味しく出来たから、そのまま魔法瓶に入れておいたんだけどねぇ…」

「いや完全にそれでしょうよ」

「「?」」

 

 …カフェさん貴女もか。

 

「温かいまま保存するんじゃなくて、淹れたてのものを冷やしておいて、飲む時に温めた方が味劣化しないんだよ。折角電子レンジあるんだし」

 

 そうしないと熱で余計な雑味が増してしまうらしい。

 かつてそれを聞いた私は家のポットで試し、父がカップ麺を…、いや、この話は置いておこう。

 

「まぁ飲みたい時に淹れるのが一番なんだけどね」

 

 

 ────────────────────

 

 

 アグネスタキオンから許可を貰い、紅茶とお茶菓子を用意し終え、席に戻る。

 

「さて、そろそろ本題に入らせてもらってもいいかな」

「勿論だとも。…まぁおよそ察しは付いているがね」

「…なら前置きは省かせてもらうよ」

 

「アグネスタキオン、私に貴女を担当させて貰えませんか?」

 

 それを聞いたアグネスタキオンは一瞬顔を綻ばせたが、直後表情を引き締め──

 

「条件がある」

 

 そんな事を言ってきた。

 

「条件?」

「あぁ。君には私の研究に協力して貰いたいんだ」

「その内容によるかな」

 

 無いとは思うが、危険な物ならば止めなければならないし。

 

「まぁ当然の対応だろうね。少しばかり長くなるが構わないかい?」

「勿論」

 

 短くまとめられて大事な所を聞きそびれても大変だし。

 

「わかった。…君はタキオン粒子という物を知っているかい?」

「貴女のトレーナーになる事を頼まれて少し調べた程度だね。それまでは聞いた事もなかった」

「ふぅン。まぁ簡単に言うと『光よりも速く飛んでいる仮想粒子』がタキオン粒子だ。で、その由来を知った時から『ウマ娘の出せる限界よりも速く走りたい』と思うようになってね。その為に研究を進めているわけだ」

「へぇ…」

 

 名に恥じぬ走りをしたいと言ったところだろうか。

 得てしてそういった物は負担に繋がりがちなのだが、負担どころかモチベーションに繋がっているのは凄いと思う。

 そんな事を考えていたらカフェさんが何か言いたげにしていた。

 

「カフェさん、どうかした?」

「…私たちが散々光らされたのもその為だったんですか?」

「いや?楽しそうだったから」

「何やってるのよ」

 

 というか光るって何だ。

 かなり気になる。

 

「一応栄養もたっぷり入っているのだがね。話を戻すが、その『限界』というのがなかなかに厄介でねぇ…」

 

 アグネスタキオンは話を戻す事で誤魔化していた。

 …ちょっと後で詳しく聞かせてもらおう。

 

「どんなにトレーニングを積んだとしても一定以上の速さは出せないんだよ。ウマ娘…、いや、生物としての本能がどうしてもブレーキをかけてしまうみたいでね」

「『これ以上は身体が耐えきれない』って?」

「そういう事だ」

「で、その壁を超えるのに私の協力が必要、と?」

 

 ここの繋がりが見えない。

 特に限界を超えた事は無かったはずなのだが。

 

「あぁ。ヒトとウマ娘、その違いについて、身体の強度という面から調査した研究がどうしても見付からなくてね」

「…なるほど、身体の強度を高めてやればその無意識の壁を取り払えるんじゃないかって事か。…それなら今まで来たトレーナーは何で追い返したの?」

 

 それも退学の危機に陥っていながら。

 

「普段から走っているウマ娘と比較する以上、最低でも普段から走っているヒトを比較対象にしなければ良いデータは得られないだろう?」

「それもそうか…、あれ?何で知ってるの」

 

 確かに軽く走ったりはしているが。

 

「焔トレーナーから聞いた」

「なるほど」

 

 極めて単純なルートから漏れていたらしい。

 条件が複数違うと、結果に差が出たとしてもどの条件で生じた違いなのか分からなくなるらしい。

 

「話を戻すが、今までもウマ娘のデータだけで出来る限りの事はして来たんだが、やはり限界がね…」

 

 少し話を聞いただけでもタキオンが本気でこの難題に挑もうとしている事が伺える。

 それなら私が取れる選択肢は1つしか無いだろう。

 

「…うん。そこまで本気で走ってる訳ではないけど、それでも良ければ協力させてもらおうかな」

「それじゃあ契約成立だ。これからよろしく頼むよ、トレーナーくん」

 

 そう言うとアグネスタキオンは立ち上がり、こちらに手を差し出してきた。

 迷う事無くその手を取る。

 

「こちらこそよろしく、アグネスタキオン」




まだ走り出してすらいませんが、書き貯めたデータが見れなくなった為、次回以降から誤字脱字矛盾が多発する事が予想されます。
やっとの思いでホープフルまで書いたのに…。

ですが金曜夜8時投稿はキープします。
次回は2月4日夜8時投稿予定です。

ウマ娘未登場馬の名前ってどうしたらいい?

  • まぁ、私はそのままで良いと思うけどねぇ…
  • たわけ。名前くらい自分で考えたらどうだ
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