超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~   作:Valid Bear

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5話 モルモットと約束

 部屋に戻ったら三者三様の光るウマ娘に遭遇したわけだが。

 タキオンが何かしでかしたんだろうなぁ…。

 

「あ、おかえり。トレーナーくん。…その焔トレーナーはいったいどうしたんだい?」

「誰が口を利いて良いと言いましたか?アグネスタキオン?」

「ハイ」

 

 いったい何をしたらあの大人しいカフェさんをここまで怒らせることが出来るのか…?

 だがいつまでも抱えている訳にも行かないので。

 

「恥ずかしいからお姉さまって呼ぶな、って言ってるのに止めないから走って逃げたんだけど、早々にダウンしたから抱えてきた」

「呼び方ぐらい好きにさせてあげればいいだろうに」

「違和感凄いし他の人までその呼び方になったら嫌だからダメ。あ、ソファ借りて良い?」

「構わないが…。紙は適当な所に置いてくれたまえ」

「ありがと」

 

 とりあえず机の上の空いたスペースに積んでおき、焔を寝かせる。

 一緒にいたウマ娘…、スーパークリークが世話を焼き始めたし、放っておけば大丈夫だろう。

 ようやく落ち着いたデジタルさんに何が起きたのか尋ねる事にした。

 

「…で、何があったの?」

「怜トレーナーが書類を出しに行った後お茶してたらクッキーが尽きたんです」

「うん」

「それでタキオンちゃんが新しいお菓子を持って来る時に、テーブルの縁に置いてあったフラスコを引っ掛けて落としました」

「…カフェさん好きなだけどうぞ。私は後で良いから」

「トレーナーくん!?」

 

 割れ物を引っ掛けるような所に置いていれば怒られるのも当然だろう。

 タキオンにはこってり絞られてもらう事にした。

 

 

 

 

 

 カフェさんの説教が続く事三十分。

 

「…怜トレーナーも待っている事ですし、これぐらいにしておきます。今後は後先考えて行動してください」

「善処します…」

 

 カフェさんの説教が終了した。

 私が居たから早く締めたらしいが…、カフェさんの説教が全くループしなかったのもその早さの理由だろう。

 目を向けると。

 

「おっとタキオン、そこでストップ。まだ立っちゃダメ」

 

 タキオンが立とうとしていたので制止する。

 

「なっ…、まさかトレーナーくんまで!?」

「違う違う。ずっと正座してたのに急に立って転んだら危ないでしょ。まぁ話はあるけど予定とか組むだけだから」

 

 私が言いたい事はカフェさんが全部言ってくれたし。

 

「はいクッション」

「あぁ、なるほど。…なんだいこの癖の塊みたいなクッションは」

「母が何処かで買ってきたお土産なんだけど、見た目に目を瞑れば最高だから使ってる」

 

 職員室からトレーナー室に移動させる為に持って来ていたクッションを渡し、足を崩させる。

 タキオンが座ったのを確認し、話を始めようとしたのだが…、そこで復活した焔から待ったがかけられた。

 

「ねぇお姉ちゃん。私達帰った方が良い?」

「ん?別に居てもらっても平気だけど」

「いや、今からトレーニングの予定とか話すんじゃないの?部外者が聞くのはマズイと思うんだけど…」

「え、そうなの?どのみちトレーニングしてる所見れば分かる事なんじゃ」

「そうなの。ほら皆帰るよ~」

 

 そう言うと焔は全員引き連れて帰っていった。

 

 

 

 

 

 さて、何から訊いたものか。

 

「タキオンさんからは何か要望はある?」

 

 悩んだ末、要望を訊く事にした。

 限度はあるが、やりたい事が全く出来ないようではストレスも溜まることだろう。

 何でも問答無用でと言う訳には行かないが、可能な限り要望には応えるつもりである。

 …が。

 

「タキオンで構わないよ。…研究の時間は取れるようにして欲しいねぇ」

「うん」

「…」

「…」

「…どうしたんだい?急に黙りこくって」

「あ、それだけなのね?」

 

 タキオンは無欲だった。

 

「無論君にも協力して貰うがね」

 

 タキオンはそう付け加えるが…。

 はなからそのつもりで契約したわけだしね。

 協力するのは当然だ。

 理事長から聞いた3つの問題が何とかなれば、だが。

 

「…それじゃ月火木金をトレーニングの日にして、水土日は研究の日、日曜日以外は協力するって感じで良い?」

「ふぅン…、週三日か」

「あ、トレーニングが早く終わったら残りの時間は自由時間ね。その時も言ってくれれば協力するけど」

「…それで君の仕事は終わるのかい?」

「大丈夫だよ。タキオンが余計な仕事を増やさなければね」

「? どういう事だい?」

 

 タキオンは怪訝な顔をしているが…。

 

「例えば授業時間に抜け出したタキオンを捜索したり、黒焦げになった教室を綺麗にしたり」

 

「なッ!?君はあんな無駄な授業を受けろって言うのかい!?」

「そらそうでしょ」

 

 このウマ娘、かなりの問題児であるらしい。

 興味の無い授業には出ないわ、所構わず実験してそこら中焦がすわ、選抜レースや合同練習はサボるわ、他のウマ娘に何か飲ませては光らせるわ…。

 もっとも最後の1つは栄養たっぷりの特製ドリンク(発光機能付き)だったようだが。

 

「なら土曜日に協力して貰えば──」

「平日一日でもサボッたら土曜日もアウトだからね?」

「むぅ…。良いだろう、受けるとしようじゃないか」

 

 どんだけ受けたくないんだ…。

 

 その後、幾つかルールを決めただけで時間になってしまった。

 タキオンを寮に送り届け、自分も帰宅すべく駐輪場へ向かう。

 こうして考えるとトレーナー寮を借りても良かったかもしれないが…。

 やはり家の方が何かと便利だと結論付け、母から貰った愛車に跨り帰路につくのだった。

ウマ娘未登場馬の名前ってどうしたらいい?

  • まぁ、私はそのままで良いと思うけどねぇ…
  • たわけ。名前くらい自分で考えたらどうだ
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