ボロボロの神様   作:kusaihana

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1-2 神様の居る日常

「どうしたの?」

 

母親の声だ

 

私の頭は真っ白になった、親になんて説明しよう...自分ですら理解できていないのに...ましてやうちのような家庭でどう説明すれば...

 

「ガチャ」

 

母親が入ってきた。

 

もう終わりだと思った。

 

「おや、妹ちゃんじゃない。もうちょい静かにね。」

 

母親は当たり前のように神様を受け入れていた。

 

「ガチャ」

 

扉が閉まった。

 

「...これが神様の力。これで私の存在を君と関わりがある人すべてに認識してもらえる。」

 

神様は続けて言った。

 

「ところで、何かかなえてほしいことはないか? なんでもいい。貴方の願いを一つかなえてやろう。」

 

「ない、私は...今のままで大丈夫だ。」

 

もちろん私は今の生活に満足しているわけではなかった。しかし、何をしてほしいのか、何に満足していないのか、思いつくことができなかった。

 

「...そうか」

 

神様は少し悲しげにそう言った。

 

「...」

 

「...」

 

「そっ、そうだ!そういえばさ、名前とかってあるの?」

 

さすがの私もこの気まずい雰囲気に耐えかねて、聞いてみた。

 

「私には名前がない。なのでそなたに名前を付けてもらおうと思う。」

 

神様ははっとした後にまた何かを読むかのように言った。

 

「じゃあ、ひかりっていう名前はどうだろう?かわいくていいと思うんだけど。」

 

「良き名だ。その名を名乗ることにしよう。」

 

少女はとてもうれしそうに言った。

 

私は少女の態度にイラついたが、ここはじっと我慢することにした。

 

「...」

 

「...」

 

その後は互いに無言のまま夜になった。

 

「...おやすみ」

 

その一言だけ放って、少女は自分の部屋へと向かった。

 

少女を見送った後私ははっとした。そういえば、彼女の部屋などあっただろうか?

そう思って部屋を出てみると、隣に新たに部屋が誕生しており、妹の部屋と書かれた札がドアに掛けてあった。これも神様とやらの力なのだろうか。

 

 

 

 

 

「おはよう」

 

淡い期待を抱きつつ私はそう言った。

 

「おはよう。遅かったじゃないの」

 

母親が言った。

 

「おはよう」

 

続けて妹と父親も言った。

 

「どうしたのさ、突っ立って。早くおいで朝食できてるわよ。」

 

母親が言った。どうやら私は呆然としていたらしい。

 

食卓には白ご飯とほうれん草のお浸し、卵焼きが並んでいた。

 

「おいしい、おいしい」

 

そう言いながら私はご飯をかきこんだ。

 

 

 

ガチャ

 

いつもの通学路をいく。

 

「お兄待って、今行く」

 

妹の声が聞こえた。

 

そっか...一人じゃないんだ。

そう思いながら家を出ていった。

 


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