この日は朝から胸騒ぎがしていた。
『また、目の前で人が死ぬ瞬間を見ることになるのではないか』
何故かそんな気がしていた。
「キーンコーンカーンコーン」
踏切の音が聞こえた。
何故か私は確信していた。
きっと今走らなければ後悔する。と
居てもたってもいられなくなった私は走り出していた。
「やめて」
ひかりの声が聞こえた。
それでも私は走った。
「お兄、ほんとにやめて。お願い」
ひかりはそう叫びながら私の手をがっしりと掴んでいた。
彼女の力はその華奢な体からは想像できないほど強かった。そして...彼女は震えていた。
私はふと我に返った。
前を向くとおばあちゃんが踏切内に残されていた。
「踏切におばあちゃんがいるんだ、助けなきゃ」
私は叫んだ
「お願いだからやめて。あなたが犠牲になる。」
ひかりは言った。
「そんなのわからないだろ」
私は言った
「わかるよ...」
小さい声でひかりは言った。
「そ、それに非常停止ボタンも押されてるでしょ」
ふと踏切の方を見てみると何やらボタンを押している人がいた。
「プワー---------ン」
長めの警笛が聞こえる。
野次馬の叫ぶ声も聞こえる。
「グシャッ...ガリガリがりがりガリガリ」
この日。私は人が亡くなる瞬間を見た。
二度目だった。
お昼、私たちはいつものように友介とひかりと三人でご飯を食べていた。
今日の朝の出来事をすべて友介に言った。
「そりゃさいなんやな~ お祓いとか言った方がいいんじゃね?」
友介は軽い感じで言った。
でも私は真剣にとらえていた。
『こんな短期間で二度もこんな目に合うなんて、おかしいよねやっぱり』
そんな感じのことを考えていた。
「ひかりの正体って何なの?」
教室へ帰る途中に友介に聞いてみた。
「さぁ?それこそ彼女に聞いたら?」
「そうだよね」
朝のことがあってから私は彼女に不信感を抱いていた。
『どうせ聞いても嘘つかれて終わりだよな』
そう考えていた。
今朝、四街道市の踏切で80歳の女性の遺体が見つかりました。
『踏切の事故をニュースで放送するなんて珍しいな』
そんなことを考えていた。
腹部には多数の刺し傷が見つかっており、女性を殺害後に踏切に持っていき踏切事故を装った他殺とみており...
「他殺?」
私は耳を疑った。
「あのおばあちゃんはあの時はもうすでに死んでいたってこと...?」
驚きのあまり声が漏れていた。
「そうだよ」
ひかりはいつもと違う低いトーンで言った。
「君が助けようが助けまいがあのおばあちゃんは救えなかった。それに私が止めなかったら君も死んでいた。」
私は真っ青になった。
『もしあの時ひかりが止めていなかったら』
あの時はおばあさんを助けることに夢中になっていて頭が回っていなかったが、今考える恐ろしかった。
「だからお願いだ、わたしの言う事をある程度聞いてほしい。」
いつもと違うひかりに怯え私は何も反応できなかった。
「あの」
「何だ?」
「あなたは、何者なんですか?」
勇気を振り絞って聞いてみた。
「いずれ分かる。いずれ...」
そういってひかりは自分の部屋に戻っていった。