「えー、本日の休みは友介君だけですね」
友介は休みだった。友介が休むのは高校生になって初めてだった。
昨日のことがあったからだろうか、なぜか胸騒ぎが収まらなかった。
「先生!」
思い切ってい聞いてみることにした。
「お どうしたんだね平坂君」
「どうして、今日友介は休んだんですか?」
「確かに珍しいよな...彼の母親曰く風邪らしいけど」
「そうで...すか...」
私は違和感を感じていた、直感が違うと告げていた。
ただ、どうしようもなかった。
「おにい!」
その時だった。
ひかりの呼ぶ声が聞こえた。
「どうしたんだそんな慌てて」
「友介君は...今日学校に来てた?」
真剣なまなざしで聞いてきた。
やはり何かある。そう確信した。
「いや、いなかったけど」
「やっぱり」
ひかりが小さい声で言った。
「今すぐ友介の家に行かなきゃ」
「え、でもがっk」
「いいから行くよ」
そういって無理やり俺を校外へと連れ出した。
さすがはひかり、すでに早退届も二人分提出していた。
友介の家に行くのは久々であったが自然と道は覚えていた。
「ピンポーン」
「はーい、少々お待ちください」
「もぅこんな昼間に誰かs...あら健一君久々じゃない。学校はどうしたの?」
友介の家には何度かお邪魔したことがあり、母とは顔見知りであった。
「友介君が心配で、早退してきました」
「あら、申し訳ないわね。でも彼、別に体調悪いわけではないのよね。なんか今日行きたくないって朝駄々こねだして...今までそんなことなかったのにどうしたのかしら。」
どこか寂しそうに母親が言う。
「まあいいわ、友介呼んでくるわね」
そういって母親は家の奥へといった。
ガチャ
「申し訳ないね、心配させちゃって」
そう言いながら友介が出てきた。
「どうして今日学校来なかったのさ」
「なんか体がだるくてね」
友介は言った。
違和感を覚えた。友介は今までどんなにつらくても学校に来ていた。それが体がだるい程度で休むだろうか。
ただ、そう言うならそうなんだろう。私は信じるしかなかった。
「じゃあな。元気になったらまた学校来いよ!」
だるいと言っている人とそのまま立ち話をするわけにはいかなかった。とりあえず早々と話を切り上げることにした。
「まって」
ひかりが言った。
「その、せっかくだしもしよかったら一緒に街探検してみない?」
「あのな、友介はだるいって学校まで休んだんだぞ?」
「でも...」
ひかりは今にも消えてしまいそうな声で抵抗した。
「分かった。 友介はそれで大丈夫か?」
ひかりが抵抗するときは大体何かある。今までの経験がそういっていた。
「うーん、まあ妹ちゃんの頼みなら...仕方ないか」
かなり気が進まない様子だった。
「ねえねえ!ここのお店行ってみない?」
そういってひかりが指さしたのはいかにも怪しげなお店だった。
「こ、ここは...」
「ねえねえ行ってみようよ!」
そういいながらひかりは店内に入っていった。
ひかりは好奇心旺盛だった。何にも興味がない自分にはとても羨ましかった。
「ねえねえこれ買わない?」
そういってひかりが手に取ったのは、マグカップだった。
「いいけど...こんなんでいいのか?」
そのマグカップは信じられないほど質素だった。
「うん!これを三つ買おうよ。記念になりそうじゃない?」
そういった彼女の顔は、うれしくも、どこか寂しそうであった。
「分かった分かった。」
そういいながら私はお会計を済ませた。
『もしかしたら今の自分は最高に幸せなのかもしれない』
みたいなことを考えてる時だった。
「ゴン」
鈍い音がした、
振り返ると、友介が床に倒れていた。