「ねえ知ってる? 実はイザナミノミコトとイザナミノミコトが生と死を生み出したのは嘘なんだって」
また友介のオカルト話が始まった。
そう思っていた。
「実は、天使と悪魔がいて、天使が生を、悪魔が死を生み出してるんだって。」
私はその時はいつものオカルト話が始まったと思って聞き流していた。
しかし、今、ひかりが全く同じ話をしている。
私は耳を疑っていた、ひかるの力は本物である、身を持って体験していた。だから、その話を信じるしかなかった。
「...にいちゃん」
「お兄ちゃん? 聞いてるの?」
「あぁ、ごめんぼーっとしていた。でも大丈夫、話は大体わかった。」
私はその話が本当のことだと受け入れられなかった。私は天使だの悪魔だのそういった話を信じてこなかった。どの話も信じるにはあまりにも現実味がなさ過ぎた。
「そう、分かったわ。」
ひかりは投げ捨てるように言った。
「それで、ここからが本題なんだけど。一昨日話した話って覚えてる?」
「えっと、確か、救える人と救えない人がいる...みたいな」
「そう、その話。」
ひかりは食い入るように言った。
「じつは、救える人と救えない人には特徴があって、救った場合長生きする人は救えなく、救っても長生きできない人は救えるようになっているんだ。」
その言葉が示すように彼...友介は昨日病院に運ばれたが、死亡が確認された。死因は脳卒中だそうだ。
「だったらなぜ...なぜ彼を救ったんだ...それこそ君には何の利益もないはずじゃないか。」
友介を救ったという事はどちらにしろ友介の命が長くないことをひかりが知っていたことになる。だからこそ腑に落ちなかった。
「それは...」
ひかりが珍しく言葉に詰まっている。
「あなたを...あなたを救いたいんだ...あなたはこのままだとだめになる...暴力も振るうようになる...そして...」
ひかりははっとして、話すのをやめた。
「とにかく...そんなあなたを救いたいんだ...」
ひかりは力強くいった。
「だとしてもなぜあなたが...」
私には皆目見当がつかなかった。なぜそこまで私を助ける事に執着しているのか、私を救って彼女になんの得があるのか。
「...」
ひかりは黙り込んでしまった。
「まあいいや、それでなぜ、救える人と救えない人が存在するんだい?」
何故だか私はこのことに何か重要な理由がある気がした。
「...この世界の生と死の比率というのは決められている。それを保つためには、人を助けた分誰かを殺さなければならない。そしてもう一つの規則として、救う前の世界と同じ世界に戻さなければならないというのが存在する。つまりだ、救った時間が多ければ多いほど元に戻すのに苦労することになる。そこで悪魔は、長生きする予定であった人であればあるほど複雑に殺害をしようとし、複雑な救済対策を行おうとする。だから救える人と救えない人が存在...というのは少々言い過ぎかもしれないが救う事が容易な人と困難な人が存在する。」
「だから...」
私は言いかけた
「友介は助けたしおばさんは助ける事ができなかった...というわけだ。」
ひかりはすべてを察したかのように言った。