「ねえ、君ってオカルト信じてる?」
これが彼から初めてかけられた言葉だった。
私...太田真は昔からオカルト好きだった。高校に入ってからいじめられるのが怖く隠していたがすぐにばれた。
不思議な物でこういったうわさはすぐに教室中を駆け巡り、同じオカルト好きであった友介の耳に届いた。
友介...堺友介はとても人当たりの良い人物であった。そしてすぐに人と打ち解けるような性格の持ち主であった。
そんなこともあってか私と友介はすぐに意気投合し、一緒にオカルト研究会に入部していた。
オカルト研究会の中でも友介は異質な人物であった。
オカルト研究会といってもオカルトを信じている人というのはほとんどいなかった。
しかし友介は違った、インターネット上に書いてある情報を信じて疑わなかった。実際にそうであると思っていた。
彼はオカルトファンではなくオカルト狂信者だったのだ。
そんな性格が災いしたのだろうか。友介からはどんどん人が離れていき、友介とつるむのはついに私と彼...平坂健一のみになっていた。
そんなある日だった。
「おいおいこれ面白そうじゃね?」
『神様降臨の儀式』 そう書かれたサイトだった。
そのサイトには神様の降臨の儀式が書かれていた。一見するとよくありがちなエセサイトだが、このサイトの文は妙に生々しかった。
さらに調べてみると方法は違えど同様のことについて書かれたサイトがいくつも見つかった。
私からしたらどう考えても嘘であるのだが熱狂的な狂信者である彼は違った。
『きっとこれらの中に本物がある。』
そんなことを考えていたのだろう。
それから数日後のことだった。
「なぁ、健一に妹なんていたっけ?」
急に友介からそんなことを聞かれた。
「急に何言ってんだよ?あの仲良し兄妹だろ?有名じゃないか」
健一の兄妹といえば仲良し兄妹で有名だった。
妹の方は才色兼備であり、多くのお昼のお誘いがあるにもかかわらずそれを断って兄と昼を共にしていた。
「しかしよ、健一の妹に関する記憶があまりにもなさすぎるんだ。」
「何言ってんだよ、いっつもお昼に...」
私は言葉を止めた。健一の妹について何一つ思い浮かんでこなかった。確かに私は健一とは全くかかわりはなかった。にしてもあの有名な妹に関する話を何一つ聞いたことがないというのはあまりにも不自然であった。
「確かに...ちょっと不自然かもな...でも」
「でしょ?」
友介が遮るように言った。
「だから俺、健一にいろいろ聞いてみようと思うんだ。」
そういって友介は健一の机へと向かった。
部室に行こうとしている時だった。
「おい、やばいかもしれないぞ」
友介は焦っているようだった。
彼の話を聞く限り健一の妹は実際にあのサイトに書かれていた方法を使って降臨させたものであるとのことだった。
「何がやばいの?」
話が全く見えなかった。
「彼女は...神様なんかじゃない。命を貪る悪魔なんだ...」
そのサイトには続きがあった。この方法が生まれた経緯だ。そのサイトによると未来でとある思いを持った少女が願いを叶えるために他人の命と引き換えに悪魔として現代に降臨するとのことであった。そしてこの儀式とは本来悪魔を召喚する儀式であったのだ。
「でも...仮に100歩譲って妹が召喚されたとしても...悪魔とは限らないのでは?」
「それはそうかもしれない。ただ事態が起きてからでは遅い」
「健一の妹を殺すんだ...健一を守るために」
彼の言ってる事はあまりにも支離滅裂であった。
とりあえず友介の言っていたことが本当なのか平坂に聞いてみることにした。
ある日の放課後の事だった。
運よく教室に残っているのは私と平坂の二人のみであった。
「さようなら」
とりあえず挨拶することにした。
「さよう...なら...」
相手は明らかに困っていた。そりゃそうだ、いきなり話したことない人に挨拶されたら誰だって混乱する。
一度深呼吸をして、例のことを聞こうとしたその時だった。
「ガチャ」
ドアを開ける音がした。
平坂の妹だ。
気まずくなった私は教室を出ることにした。
それから一か月後半後のことだった。
友介が、亡くなった。