アイリス・エーカー、ISの存在に心奪われた女だ!   作:113(いちいちさん)

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第14話 戦う理由

学園祭での戦闘から一日後

 

 IS学園は復旧作業の為、至る所にブルーシートが張られ工事用の重機とオートマトンが休み無く動いていた。

 特に戦闘が激しかったロッカールームとNフィールドは至る所に爆発の跡が残され、ガガの残骸が山となっていた。

 

 

IS学園司令室

 

 そこでは山田先生と千冬先生が今回の襲撃について話し合っていた、

 

「ISアラクネはコアを抜き出して破壊、機体形状がEUで研究開発中の屋内戦用IS強化装備”アグリッサ”に酷似していましたがEU側は関与を否定、エーカーさんが遭遇したISは一年前にISWAD本部を襲撃後、国際指名手配されていたIS、スローネドライ。もう一機は機体形状が大きく異なりますが、調査の結果イギリスから強奪されたブルー・ティアーズ二号機”サイレント・ゼフィルス”の様です」

「亡国企業と言う輩か・・・」

「はい、次のターゲットが白式だったようです」

「更に、スローネドライの行動から学園のデータベースに侵入しようとしていた様だな」

「恐らく白式のデータが目的だったと考えられますが、此処のデータベースにはそれ以外にも多くの重要データが保管されていますから、エーカーさんが未然に防がなければ重大な情報漏洩になっていました」

「恐らくS、Nフィールドの戦闘どころか織斑への襲撃さえも陽動だったのだろう。そうでなければ織斑を襲撃する前にジャミングを行っている筈だ」

「そうですね。実際我々は織斑君の襲撃にばかり気を取られていて、スローネドライの侵入には全く気付きませんでしたし・・・と言うかどうしてエーカーさんはあそこに居たのでしょう?」

「本人曰く乙女座の勘だそうだ。米軍もデータベースを狙っていたとも考えられるが、それならもっと前から行動を起こしていても不思議では無いし、この混乱を利用してスローネドライと共にデータを盗み出しても良かった筈だ」

「そうですね・・・私も彼女は白と信じたいです」

「例のISモドキの調査はどうなっている?」

「はい、殆どの機体は損傷が激しくデータの復元は困難でしたが、奇跡的に不発した機体が残っておりその機体から抜き取ったデータによりますと、あの機体はIS用戦闘支援ドローン”ガガ”という名称でISのエネルギーを充填したエネルギータンクを動力とした兵器の様です。しかし、データにはガガの機体プログラムと「敵ISへのシールドを用いた自爆攻撃」というAIへの命令以外には亡国企業への手掛かりは何も残されていませんでした」

「ガガ・・・短時間とは言えISと同性能の戦闘が可能なAI兵器とは厄介だな。それに、コアを用いらないから大量生産も容易だ」

「そうですね。今回は只の特攻でしたが、今後携行武器の使用が行われた場合にはかなり厄介な相手となります」

「そうならない事を願いたいものだ」

 

 

 

 

某所にあるホテルの一室

 

「クソッ!クソクソッ!!何なんだよ彼奴は!次に会ったら絶対にぶっ殺す!!」

「落ち着けオータム」

 

 そこではIS学園襲撃から帰還した亡国企業のメンバーが集まっていた。

 自身が手も足も出なかった楯無に対して怒りをあらわにするオータムをサイレント・ゼフィルスのパイロットである()()()()()()()な黒髪の少女”エム”が止めていた。

 

「あーあみっともない。作戦前あれだけ偉そうにしていた奴が負けて帰ってきた上に、コアを残して機体を全損させるとはね」

 

 ネーナがオータムへ向けて馬鹿にしたような口調で言う。オータムは楯無から逃げる事には成功したものの、彼女のISであるアラクネはナノマシンにより既に修復不可能なほど破壊しつくされており、あと一歩機体を切り離すのが遅かったら確実に脱出不可能になっていたのである。

 

「何だとネーナ・・・そう言うお前だって誰にも見つからずに侵入できるとか言ってたくせに見つかってるじゃねぇか!!」

「うぐっ・・・あれは仕方が無かったのよ!まさかあんな所にアイツが居るとは思わなかったんだもん!ていうか何で居たのよアイツ!生徒は全員学園祭に夢中だった筈でしょ!!」

「ネーナも落ち着け」

「五月蠅いわね!アンタこそこの中で一番強いくせに何たった二人に足止めされてるのよ!」

 

 オータムの言葉で今度はネーナの方が五月蠅くなる。ネーナを止めようとするエムだが逆にネーナから言い寄られてしまう。

 

「ああ、あの二人は強かった」

「そう言う事を聞いてるんじゃないのよ!」

「やめなさい二人共」

 

 怒るオータムとネーナに対してエムとは違う人物から声が掛けられる。

 

「五月蠅いわよ?」

スコール!」

「スコ姉!」

 

 スコールと呼ばれたバスローブ姿で金髪ロングヘア―の女性の言葉にオータムとネーナの二人は嬉しそうな顔をする。

 

「落ち着きなさい二人共、奇麗な顔が台無しよ?」

「「はい!」」

「・・・下らない」

 

 一気に大人しくなった二人を放ってエムは歩き出す。

 

「エム、サイレント・ゼフィルスを整備にまわしといて頂戴。あれはまだ調整が必要よ」

「分かった」

 

 そう言ってエムは部屋を出て行った。

 

 

エムの自室

 

 ベッドしか無い殺風景な部屋の隅でエムは佇んでいる。

 

「もう少し・・・もう少しで・・・私の復讐が始められる・・・そう、やっと会う事が出来る・・・」

 

 そう言ってエムは手に持ったペンダントを開く。其処には織斑千冬の写真がはめてあった。

 

 

 

 

IS学園学生寮

 

 アイリスは自室でレベッカと話をしていた。

 

「亡国企業?」

「ああ、少年の話によると奴らは自分達の事をそう呼んでいたらしい。聞いた事はあるか?」

「噂なら聞いた事がある。第二次世界大戦中に設立して以来、百五十年以上もの間活動をしている裏の世界で暗躍する秘密結社。都市伝説だと思っていたけど・・・」

「その組織にスローネドライが居た。どうやら一年前の事件に関与していたのはそいつらの様だな」

「各国の諜報機関が百五十年以上も追っていて未だに尻尾を掴ませない様な組織だ、エイフマン教授の抹殺を図ったのも彼らなら、手掛かりが全く無かった事にも辻褄が合う・・・」

「・・・カタギリ?」

 

 レベッカは無意識の内に額の傷痕に手を置いていた。心配したアイリスはレベッカに話しかける。

 

「・・・ああ、御免。つい癖でね」

「あまり無理をするな」

「フフッ、僕は大丈夫だよ」

「・・・カタギリ」

 

 するとアイリスは立ち上がるとレベッカの方を向き敬礼をする。

 

「レベッカ・カタギリに宣誓しよう。私、アイリス・エーカーは必ずやスローネドライを倒す事を」

「ぁ・・・フッ、頼んだよ。フラッグファイター」

 

 突然の行動に一瞬動揺したレベッカだったが、彼女の言葉に力強く返事をした。

 

 

 




レベッカの傷は現在の医療技術で完全に消すことが可能だったが、彼女自身が戒めとして残すことを決めた。
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