アイリス・エーカー、ISの存在に心奪われた女だ!   作:113(いちいちさん)

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第5話 ダブル転校生 

IS学園 1年1組教室

 

 波乱のクラス対抗戦から数日後、何故かクラスでは今月開催されるトーナメントで優勝すれば一夏と付き合えるという話が広まっていた。

 

「(布仏め、また誤情報を広めているな?)」

 

 アイリスはこの噂の元凶は布仏だと断定した。その後、何時もの様にSHRが始まった。

 

「今日は何と、二人の転校生を紹介します!」

 

 山田先生の言葉で、教室に二人の生徒が入って来た。

 

シャルル・デュノアです。フランスから来ました、皆さんよろしくお願いします!」

 

 最初に入って来た金髪を後ろで結んだ美少年?が自己紹介をした。

 

「お、男?」

「はい!此方にボクと同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を・・・」

「「「「きゃあああああああ!!!」」」」

 

 その言葉を聞いた瞬間、教室は歓喜の悲鳴に包まれた。

 

「男子!二人目の男子!!」

「しかもうちのクラス!!」

「美形!守ってあげたくなる系の!!」

「(・・・いや、彼女はどう見ても女だろ)」

「皆さんお静かに!まだもう一人の挨拶が終わっていませんよ!」

 

 クラスの皆が騒ぐ中、アイリスは体付きや重心の掛け方などで即座に彼女が女だと気付いた。

 

「騒ぐな、静かにしろ!」

 

 千冬先生の一言で騒がしかった教室は一気に静まり返った。

 

「挨拶をしろ、ラウラ」

「はい、教官!」

 

 千冬先生の言葉に先程から忘れられていた銀髪ロングヘア―で左目に眼帯を付けた小柄な少女が一歩前に出た。

 

「(教官?てことは千冬姉ぇがドイツに居た頃の・・・)」

ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「(ラウラ・ボーデヴィッヒ・・・EUの虎の子部隊の隊長が何故こんな場所に?)」

 

 アイリスは彼女の名前と容姿からドイツ軍のとあるIS部隊の隊長だという事に気付いた。

 なお、そう言う彼女自身もアメリカ軍のIS部隊の隊長だという事を忘れてはならない。

 

「・・・あのぉ、以上ですか?」

「以上だ」

 

「え?軍人キャラ二人目?」

「小柄な所も被ってる」

「金髪ボブと銀髪ロングでちょうど対みたい!」

「この子も小っちゃくてかわいい!」

「「・・・何だこの空気は」」

 

 先程の紹介の時とはまた違う雰囲気にアイリスとラウラは同時に呟いた。

 

「あの、織斑先生。事前の会議では確か転校生は三人って聞いていたんですが・・・」

「ああ、一人は遅刻だそうだ。全くあの馬鹿者は・・・」

 

 千冬先生と山田先生が何かを小声で話していた。

 

「・・・貴様が」

「ん?」

 

 少しの間困惑していたラウラだったが、一夏と目が合うと殺気が籠った鋭い眼付きで彼を睨んだ。

 

「やめろラウラ」

 

 彼女が前に足を踏み出そうとした所で千冬先生から制止の声が掛かった。それによりラウラは不機嫌そうな顔をしつつも踏みとどまった。

 

「・・・私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか・・・」

「ん?何か言ったか?」

「今日は二組と合同でIS実習を行う。各人は直に着替えて第二グラウンドに集合。それから織斑」

「はい!」

「デュノアの面倒を見てやれ、同じ男子同士だ」

「は、はい!」

「それとエーカー」

「はい」

「ボーデヴィッヒの面倒を見てやれ、()()()()()仲良くしろよ」

「ハッ!」

「解散!」

 

 その言葉の後、皆それぞれ動き出す。一夏とシャルルは同じ男子という事で更衣室へ向かった。

 

「初めまして、ボーデヴィッヒ()()”シュヴァルツェ・ハーゼ”の活躍は耳にしています」

「此方こそ、エーカー中尉。かのオーバーフラッグスの隊長と直接会えるとは思わなかった。よろしく頼む」

「ハッ!」

 

 二人は軍人らしいやり取りをした後、グラウンドへ向かった。

 

 

IS学園第二グラウンド

 

「本日から実習を開始する」

「「「「はい!」」」」

「先ずは戦闘を実施して貰おう。凰、オルコット」

「「はい!」」

「専用機持ちなら直に始められるだろ。前に出ろ」

 

 千冬先生に呼ばれて二人は前に出る。

 

「対戦相手はどなたですか?」

「対戦相手は・・・」

「わああああああああ!!」

 

 突如上空から声が聞こえた。全員が上を向くと、何とI()S()()()()()山田先生が此方に向かって突っ込んできた。

 

「退いてくださーい!!」

「やばっ!?」

 

 そのまま彼女は一夏の所にピンポイントで落下した。

 煙が晴れると白式を纏った一夏が山田先生を受け止めていた。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「御免なさい!有難う織斑君!」

 

 一夏は以前アイリスに受け止められた時の事を思い出し咄嗟にISを展開する事で落下してきた山田先生を受け止めたのだ。

 しかし、一つ問題があるとすれば今の状態は俗に言うお姫様抱っこの体勢だった。

 

「あ、もう降ろして貰って大丈夫です!」

「あっはい」

「「「・・・・・・」」」

「あれ・・・俺って良い事した筈だよな?」

 

 一夏は直に山田先生を降ろすも、何時もの三人からジト目で睨まれた。一夏は自分が人助けをした筈なのに何故か睨まれている事に疑問を感じた。

 

「さて小娘共、さっさと始めるぞ」

「え?あの、二対一で?」

「いや、流石にそれは」

「安心しろ、今のお前達なら直負ける」

「「む・・・」」

「では、始め!!」

 

 千冬先生の合図で三人は一斉に飛び立った。

 

「山田先生大丈夫かな?」

「心配ない少年。彼女の強さは私が保証する」

「あ、アイリスさん」

「彼女とは入学テストで戦った事がある。ああ見えてかなりの腕前だ」

 

 アイリスは入学テストの際山田先生と戦っており、その腕前は彼女が太鼓判を押す程である。何を隠そう山田先生は元日本代表候補生だったのである。

 

「デュノア、山田先生が使ってるISの解説をして見せろ」

「あ、はい!・・・山田先生のISはデュノア社製ラファール・リヴァイヴ”です。第2世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは初期第3世代にも劣らないものです。現在配備されている量産ISの中では最後発でありながら世界第三位のシェアを持ち、装備によって格闘、射撃、防御といった全タイプに切り替え可能です」

 

 解説が終わるのとほぼ同時に鈴とセシリアが撃墜された。

 

「くっ、まさかこのわたくしが・・・」

「アンタねぇ、何面白いように回避先読まれてるのよ・・・」

「これで諸君にも教員の実力が理解できただろう。以後は敬意をもって接する様に。次に、グループになって実習を行う。リーダーは専用機持ちがやる事、では別れろ!」

 

 千冬先生の言葉で生徒達は一斉に分かれる、しかしその殆どは男子である一夏とシャルルの所に集まってしまったので、一部の生徒は強制的に分散させられた。

 アイリスの所にもそこそこの人数が集まっており、大半がクラス対抗戦の時の活躍で彼女のファンになった生徒であった。

 こうして実習の時間は過ぎて行った。

 

 

昼休み

 

 アイリスは校舎の屋上で一夏達と食事をとっていた。元々は箒が一夏だけを誘ったのだが、何時もの様に鈍感な一夏が大勢で食べた方が美味いという理由で皆を誘ったのだ。

 メンバーは一夏、シャルル、箒、セシリア、鈴、アイリスの六人。ラウラも誘ったのだが見事に無視されたので、仕方なく何故かカバンから軍用レーションを取り出しているラウラを置いてこの六人で来たのだ。

 因みに何時もは食堂を利用しているアイリスであるが、今回は食事に誘われたという事で購買で昼食を買ってきている。

 メニューはグラタンとハムサンドである。なぜそれを選んだかというと、彼女曰く「乙女座の勘が選べと言っていた」とのこと。

 

「ええと、本当にボクが同席して良かったのかなぁ」

「いやいや、男子同士仲良くしようぜ!今日から部屋も同じなんだし!」

 

 今までただ一人の男子という事で肩身の狭い生活をしていたので、男友達が出来て嬉しい一夏であった。

 女性陣はそれぞれ持参した料理を一夏に振舞う。

 

「おお、酢豚だ!」

「今朝作ったのよ!食べたいって言ってたでしょ?」

「一夏さん、わたくしも今朝は偶々偶然早く目が覚めまして、こういう物を用意してみましたの!」

 

 そう言ってセシリアはサンドウィッチが詰まったバスケットを差し出した。

 

「それじゃあこっちから・・・・・・ヴッ!?」

 

 セシリアのサンドウィッチを食べた一夏の顔がみるみる青くなって行く。

 

「如何?どんどん召し上がって頂いて構いませんのよ?」

「い、いやぁ・・・」

「失礼」

「ちょっと、アイリスさん!」

「失礼と言った」

 

 セシリアの制止を無視してアイリスはサンドウィッチを一つ取り口に入れた。

 

「はっきり言おう、不味い

「なっ何てことおっしゃいますの!そのような訳、はむっ・・・・・・不味いですわ・・・」

「少年、折角の好意に言い難いという事は分かる。しかし、彼女の為にもハッキリと言った方が良い。その代わり、相手への感謝の言葉も忘れないようにな」

「あ、ああ!セシリア御免!折角作ってくれたのに・・・でも俺、スゲー嬉しかったぞ!」

「は、はい!美味しく作れるようになりましたら、また作って差し上げますわ!」

「おう!楽しみにしてるぜ!」

 

 はっきりと味を伝えた事で、セシリアの料理の腕が上がるよう願うアイリスであった。

 

「私のはこれだ」

 

 そう言って箒は手作りのお弁当を取り出した。

 

「おお!凄いな!どれも手が込んでそうだ」

「つ、ついでだついで!あくまで私が自分で食べる為に時間を掛けただけだ」

「そうだとしても嬉しいぜ。箒、有難う!」

「ふ、ふん!」

「頂きます!・・・おお旨い!これって結構手間が掛かってないか?」

 

 その後、何故か成り行きで食べさせ合いが始まったが、平和な昼食であった。

 

 

放課後 IS学園学生寮

 

「成程、フランスからねぇ」

「これは恐らく・・・」

「ああ、間違いなくデュノア社が絡んでいるね。デュノア社は第2世代機で大きな成功を収めたものの、未だに第3世代機の開発に遅れを取っている。そこへ来て半年前のイナクトの発表、それにより次期第3世代機のシェアは完全にドイツに取られる形になったからね。今じゃフランスはEU内でも爪弾きの存在になりつつあるよ」

「だから連中は功を焦ってあの様な大胆な真似を」

「男として接触した方が一夏君に近付きやすいからね。ISの情報も集めやすいだろうね」

「我々も少年とそのISについてのデータ収集が任務だから、あまり人のことは言えないがな」

「まあ、あっちと違って僕達はそれ程一夏君を重要視していないからね。エイフマン教授が亡くなったのは本当に残念だけど、ISに関する優秀な人材も設備も依然我が国がトップだからね」

 

 現在アメリカはIS開発においては日本を差し置いて世界一位の実績を持つ。その為、織斑一夏のデータ収取についても研究の価値があるというだけで、フランスの様に強行策に出るほどの重要視はされていないのである。

 それも、エイフマン教授やカタギリ親子等の優秀な人材が日々研究に尽力してくれたお陰である。

 

「本当、教授が残した功績は計り知れないな。勿論、君たち親子も」

「フフ、それは君もだよ?アイリス」

 

 ふと此処でアイリスは朝から気になっていた事をレベッカに伝えた。

 

「所でデュノアについてなのだが、なぜ誰も彼女を女として認識しないのだ?」

「アイリス、日本にはね「男の娘(おとこのこ)」という文化があるんだよ」

「男の子?」

「男の(むすめ)と書いて男の娘と読むんだ。少女のような可愛らしい顔をした男性の事を日本では男の娘と呼ぶんだよ」

「成程、それで誰も疑問に思わなかった訳だな」

 

 アイリスの日本に関する勘違いは止まらない、加速する。

 

「それともう一人」

「ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐、ドイツのIS配備特殊部隊”シュヴァルツェ・ハーゼ”隊長。これまた大物だね」

「彼女も我々と同じく一夏とISのデータ収集が目的だろうが、一つ気になる事がある」

「何だい?」

「彼女は何故か少年に対して強い恨みがあるようなのだが、何か知らないか?」

「ああ、成程ね」

「知っているのか?」

「大体は予想できたよ。まず彼女について何だが、詳しい経歴は不明だけど、年少でありながらドイツ軍内で上位に入る好成績者だった。しかし、訓練中に起きた事故で左目を失ってからは成績は右肩下がり。しかし数年前、ISの教官としてやってきた織斑千冬と出会ってからはこれまでの汚名を返上するかのように部隊最強まで上り詰めた。まあ、簡単に言えば彼女は織斑千冬の熱狂的な信者という事さ」

「成程、しかしそれが何故少年への恨みに繋がるのだ?」

「数年前の第二回モンド・グロッソの事を覚えているかい?」

「ああ、成程・・・」

「そう、決勝戦当日、織斑千冬は棄権している。世間へは適当な理由で誤魔化しているけど、実際は謎の組織に誘拐された一夏君の救出に向かっていたんだ。その際、ドイツ軍が彼女に情報を伝えた見返りとして軍のIS教官として招いたって訳だね」

「それで彼女はミス・ブシドーの大会二連覇を逃した遠因として少年に対して恨みを抱いていると」

「皮肉なことだね。棄権の原因となった一夏君の事件があったからこそ、彼女は織斑千冬と出会えた訳だからね」

 

 

 

 

翌日 1年1組教室

 

「皆さん、今日も嬉しいお知らせです!何とまた一人クラスにお友達が増えました!」

「どういう事?」

「二日連続で転校生だなんて」

「皆さん静かに!本当は昨日紹介する予定だったんですが、到着が遅れた為今日する事になったんです。それでは入って来てください!」

 

 山田先生の言葉で教室の扉が開く。

 

「なッ!?」

 

 入ってきた人物を見て、ラウラは真っ先に驚愕の声を上げる。其処には黒髪で眼鏡を掛けた背の高いつり目の少女が立っていた。

 

「よう!IS学園の諸君!EUのエース、パトリシア・コーラサワーだ!皆遠慮せず、パティって呼んでくれよな!」

 

 

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