アイリス・エーカー、ISの存在に心奪われた女だ! 作:113(いちいちさん)
IS学園アリーナ
学年別トーナメント当日。アイリスはレベッカと共に観客席にて試合開始を待っていた。
本来は個人戦を行う予定だったのだが、前回の襲撃を考慮し二人一組で戦う事になった。
「まさかいきなりこの組み合わせになるとはな」
「面白くなりそうだね」
一回戦目の組み合わせは一夏&シャルルチームとラウラ&パトリシアチームとなった。
「一戦目で当たるとはな・・・待つ手間が省けたという物だ」
「そりゃあ何よりだ」
一夏とラウラは互いに睨み合う。そして遂に試合開始の合図が鳴った。
「うおおおお!!」
合図と同時に一夏はラウラへ向けて飛び出した。それに対してラウラどころか隣に待機しているパトリシアすらその場から動かなかった。
「何!?」
「開幕直後の先制攻撃か」
ラウラが手を翳すと一夏の体は刀を突き出した態勢のまま動かなくなった。
「
「アクティブ・イナーシャル・キャンセラー、確かに一対一ならこれ程有利な兵器は無いね。でも、あくまでこれはチーム戦だからね」
動けない一夏に対してゼロ距離からレールカノンを撃とうとするラウラ。しかし、直前に死角から現れたシャルルが射撃で銃口を逸らそうとする。
「そうはさせねえよ!」
放たれた弾丸がレールカノンに当たる前にパトリシアがそれをディフェンスロッドで弾く。
「しまった!?」
「見事だパトリシア」
「グアアッ!!」
「一夏!?」
一夏はレールカノンの直撃を受け吹き飛ばされる、そしてそれを追うラウラ。
「行かせない!」
「おっと、アンタの相手はオレだぜ!」
「クッ!邪魔だよ!」
「そっちこそ、少佐の邪魔はさせねぇよ!」
一夏の援護に行こうとするシャルルだが、パトリシアに阻まれる。
「クソッ!」
一夏はシュヴァルツェア・レーゲンから放たれるワイヤーブレードを捌きながらこの状況をどう切り抜けるか考える。
「(いきなり食らっちまった、シャルルはパトリシアに足止めされてるし・・・どうする?)」
「どうした?お前の力はこんなものか?」
「クッ!」
「不味い、このままじゃ一夏が!」
「オラオラ!どこ見てんだよ!」
押される一夏を心配するシャルル、しかしパトリシアの攻撃が激しくとても援護できる状態では無い。
パトリシアはシャルルが持つライフルを破壊すると一気に近付く。
「貰ったァ!!」
「フッ」
「何!?」
しかし、シャルルは即座にマシンガンとショットガンを出現させてパトリシアに向かって一斉に撃ち出す。パトリシアはディフェンスロッドで防ぎつつ後退する。
「うおおっ!?」
「よし!」
「
「通常、戦闘時の武器切替は大きな隙となる、しかし、その切り替え時間を極限まで短縮する事で先の様な意表を突いた攻撃が行えるという訳だな。あれは機体そのものの機能と言うより彼女の技だな」
アイリスとレベッカは先程シャルルが行った行動について話す。パトリシアは通常の切り替え速度で計算して戦っていた為、予想外の速さに対応しきれなかったのだ。
「一夏!!」
シャルルが振り返ると、今まさにAICにより止められた一夏がレールカノンで撃たれる直前だった。シャルルはすぐさまライフルでラウラを攻撃するが、パトリシアが放った銃撃で銃口がそれレールカノンに命中した。ラウラ自身には当たらなかったが、攻撃に気を取られた為一瞬AICを解除してしまう。その隙を見逃さなかった一夏が零落白夜を発動しラウラを切り裂く。
「グッ!?」
「少佐ァ!?」
「やっと一撃を食らわしてやれたぜ!」
攻撃されたラウラはすぐさま一夏と距離を取る。致命傷は避けたものの零落白夜の効果によりシールドエネルギーを一気に半分近く削られてしまった。
「これでお相子だな」
「クッ、舐めるな!」
一夏に向かい飛び出すラウラ、しかし。
「一夏!」
「おう!」
「何ッ!?」
一夏はシャルルに投げ渡されたライフルを構えるとラウラに向かって発砲した。射撃武器を持たないことを前提に動いていたラウラは、射撃を回避しようとするも数発命中してしまった。
「射撃も上手くなった、それでこそだ少年」
試合を観戦しているアイリスは射撃訓練をしていた一夏を思い出しつつそう言った。
「てめぇ!よくも少佐を!」
追い詰められるラウラを見て援護に向かおうとするパトリシア。そこにシャルルが立ちはだかる。
「行かせないよ!」
シャルルは残ったショットガンを撃ちつつ新たに武器を展開しようとする。
「それはもう見たぜ!!」
それを見てパトリシアは何時でも反撃できるようプラズマソードを構えつつディフェンスロッドで防御しながら接近する。
「これはまだ見せてなかったね!」
武器を展開しようとした右手はブラフだった。左腕のシールドがパージされそこからパイルバンカーが現れた。
「何ッ!?」
パトリシアは咄嗟にディフェンスロッドでガードするも盾ごと左腕を粉砕されアリーナの壁まで突き飛ばされる。
「なんじゃそりゃあああぁぁぁ!!!」
「パトリシア!?」
壁に叩き付けられるパトリシアに気を取られた隙に一夏はラウラに接近する。
ラウラはそれをAICで防御するも、横から近付いて来たシャルルによりパイルバンカーが放たれ、同じく壁に激突する。
「やっぱりな。セシリアと同じでその技を使う時は自分も動けなくなるみたいだな!」
AICの弱点として、多量の集中が必要となる為発動中は使用者も無防備になるという事が挙げられる。一夏達はそれを利用したのだ。
「痛っててて・・・ハッ!?少佐!?ご無事ですか!?」
「・・・・・・・・・」
起き上がったパトリシアが通信により無事を確認するが、何故かラウラからの反応が無い。
「(私は・・・負けられない・・・負ける訳には・・・行かない・・・)」
《願ウカ?汝、ヨリ強イ力ヲ欲スルカ?》
「(寄越せ・・・力を・・・比類なき最強を!!)」
眼帯の奥の瞳が金色に輝く、すると突然、機体が激しい電撃を放ち出した。
「うぐあああああああああああああああ!!!」
「な、何だ!?」
突然の光景に一夏やシャルルだけじゃなくパトリシアも驚愕する。
ラウラの機体はまるで粘土の様に形を変えラウラを飲み込んで行く。
完全に飲み込まれた後、機体は形を変えて一機のISになった。
「レベルDの警戒態勢を取れ」
「了解!」
『非常事態発生!トーナメントの全試合を中止、状況レベルDと認定!鎮圧の為教師部隊を送り込む!』
千冬先生の言葉によりサイレンと放送が流れ、アリーナの隔壁が閉じられる。
「行くぞカタギリ!」
「あ、ああ!」
アイリスとレベッカは格納庫へと走り出した。
「カタギリ、あれは何だ?」
「分からない!資料にはどこにも・・・まさか」
「何か知ってるのか?」
「VTシステム・・・まさか、ありえない!」
「そのVTシステムとは何だ?」
「ヴァルキリー・トレース・システム、モンド・グロッソ優勝者の戦闘方法をそのまま再現・実行するシステムだよ!パイロットへの負担が高く実用は困難とされていた」
「そんなものが?」
「ああ、過去に米軍でも研究されていたんだ」
「何?」
「勿論父やエイフマン教授とは関係ない別の部署の話だよ!米軍だって一枚岩じゃないからね。でも、あのシステムは数年前に研究機関ごと全て抹消された筈なんだ」
「抹消?」
「ああ。その存在を知った篠ノ之博士の逆鱗に触れたみたいでね、博士の手で世界中の研究機関が一つ残らず消滅させられてからはあらゆる企業・国家での開発が禁止されているんだ」
「それをドイツ軍は秘密裏に開発していたのか」
「それに見たかい?彼女の左目を」
「左目?」
「あれは恐らく人体実験による後遺症だ!奴ら、此処まで・・・!」
レベッカは普段の様子からは考えられないほど感情的になっていた。
二人は格納庫に到着してアリーナを見た、そして。
「フッ、どうやら私の出番は無かったようだな」
数分前 IS学園アリーナ
変化したISの攻撃により一夏とシャルルはISを解除されていた。そしてその周りを教師が乗るISが包囲していた。しかし、織斑千冬の動きを再現した機体に容易に近づくことが出来ずにいた。
其処に一機のISが近付いて行く。
「てめぇ・・・オレの少佐をどうしやがった・・・」
其処には左腕が損傷しながらも右手でプラズマソードを持つパトリシアが居た。彼女はこれまで見たことも無い憤怒の表情を浮かべていた。
ISはパトリシアを攻撃するも、それ等を全ていなしていく。
「てめぇ、オレが誰だか分ってんのか?EUのエース、無敵のコーラサワーだ!!」
そう言ってプラズマソードを構える。
「オレは!」
振りかかって来た斬撃をいなす。
「スペシャルで!」
刀を持った左手を切断する。
「2000回で!!」
掴みかかろうとする右手を切断する。
「模擬戦なんだよォ!!!」
プラズマソードを解除しソニックブレイドで機体の表面を縦に切り裂く。
『遺伝子強化試験体”C-0037”君の新たな識別記号は”ラウラ・ボーデヴィッヒ”』
私はただ、戦いの為だけに作られ、生まれ、育てられ、鍛えられた。私は優秀だった、最高レベルを維持し続けた。しかしそれは、世界最強の兵器ISの出現までだった。直ちに私にも、適合性向上の為肉眼へのナノマシン移植手術が施された。
しかし私の身体は適応しきれず、その結果出来損ないの烙印を押された。そんな時、あの人に出会った。
彼女は極めて有能な教官だった。私はIS専門となった部隊の中で、再び最強の座に君臨した。
『どうしてそこまで強いのですか?どうすれば強くなれますか?』
『・・・私には弟がいる』
『!?』
違う、どうしてそんなに優しい顔をするのですか。私が憧れる貴女は、強く、凛々しく、堂々としているのに。
だから許せない、教官をそんな風に変える男。認めない。
ドイツ 基地内士官宿舎
「男性初のIS操縦者・・・織斑一夏・・・」
此奴が、此奴さえいなければ・・・
その時、部屋のインターホンが鳴る。扉を開けると赤いバラの花束を持ったパトリシアが立っていた。
「少佐、私です!パトリシア・コーラサワーです!」
「何の様だ、パトリシア」
「少佐をお食事に誘いたいと思いまして」
「・・・少尉、今世界は初の男性操縦者の発見で揺れ動いている。その事について考えるような事は無いのか?」
「はい、無いです!」
ラウラは即答した言葉に呆れるも、パトリシアのそのあまりにも真っ直ぐな瞳に一瞬だけ魅了された。
「・・・全く・・・何もかもが馬鹿らしくなってしまうではないか・・・」
「何です?」
「待ってろ、用意をしてくる」
「・・・・・・ふふ・・・ぃやったァ!!」
切り裂かれた機体からラウラの身体が解放される。機体はそのまま崩れ去り、支えが無くなり倒れ込むラウラをISを解除したパトリシアが優しく抱き抱える。
「大好きです、ラウラ」
「あっ・・・」
パトリシアの腕の中でラウラはそのまま意識を失った。
翌日 1年1組教室
その後、トーナメント自体は中止になったものの、個人データの測定を理由に一回戦のみ後日行う事が決まった。しかし、今はそれどころではなかった。
「お前は私の嫁にする!決定事項だ、異論は認めん!」
「いや~無敵のコーラサワー改め、幸せのコーラサワーになりましたぁ!」
「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします!」
「えっとぉ。デュノア君は、デュノア
「「「「なんじゃそりゃあああぁぁぁ!!!」」」」
ラウラとパトリシアの婚姻宣言?とシャルルの性別が女性だった事により教室は騒然となった。