「がああああああああああああああああああ!!!!」
アタシは叫ぶ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!」
叫ぶ。
「ごおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
叫び続ける。
頭を抱えてゴロゴロと転がり回りながらアタシは叫ぶ。
自分の中の整理を付ける為にあの存在、マジンガーZEROについて考えてたけどやっぱ駄目だ!マジで分からねぇ!!
『光子力研究所』…ZEROというかZの故郷らしい(とはいえそれも怪しいもんだな)施設を完コピしたラボの作業室内でアタシは転がり続ける。
室内の広さは無限だから、やろうと思えば何処までも行ける。
そんでもってどこからでも瞬時に好きな場所へ行ける。
オーケー。現実逃避は終了だ。作業に戻ろう。
そう思ったら、もうその場所に出れた。
周囲だと忙しなく、機材やら装置やらを抱えて作業に勤しむ作業ロボット達がいた。
ロボットって言っても、外見は茫洋とした光だな。
その輪郭がロボットっぽいって感じだ。
一つ目のカメラ・アイに剥き出しのフレーム、充電中の奴は卵型(ドラゴン・エッグっていうらしい)の中に入ってバッテリー・コードを背中に接続して…ってなんか妙に・が多いな。作風なのか?
まぁいいや。そんな身長2メートルくらいのメカな光が作業したり分析してたりする。
名前は…
何処かの世界の米軍のメカなんだとさ。
スペックはパンチ力が3tで手足は三倍まで伸長可能、走れば時速100キロで…ってオイオイ……仮面ライダーかよ。
何なんだこれ。
少なくとも格闘漫画とかにはいなそうだな。
いくら何でも強過ぎる。
今は性能が底上げされてて、パンチ力が90tで走れば0.1秒で音速に達するらしい。
ついでに充電はこいつらの趣味みたいなもので行動時間に制約はなし。
…なんだこれ。
こんなのが見える限りで50体はいる。
当然って言ったらちょっと癪だけど、アタシが創ったものじゃない。
こいつらは…いや、今は作業だ作業。
この連中は超優秀で、アバウトな命令でも理解して完璧に仕事をしてくれる。
アタシらの世界でも一家に一台あったら超便利だったろうな。
さて、アタシの目的はマジンガーZEROを超えるスーパーロボットの建造だ。
今のアタシは女神様への不遜になるかもだけどオカルトな存在だ。
でも科学者の端くれだし理系女子だ。
だから挑みたくなるものってのがある。
それも科学の最高峰、別の世界から来た機械の神が相手だってんなら俄然と燃えてきちまうっての。
その点、今の現状は便利だな。
時が無限なら、その間ずっと研究に費やせる。
生命が有限だった人間の頃だったら、それこそループものの主人公でもない限り無理だったろな。
そういえば元々のマジンガーZもそんな感じに造られたんだったな。
過去に情報を送って研究を濃縮か…凄ぇこと考えやがるもんだな。
でもま、他人に出来たってんならアタシにだって出来るハズだ!
アタシは魔法少女!奇跡も魔法も、そして化学の力があるんだ!
不可能なんてない!もう何も怖くねえ!
よっしゃ!いくぞトダー達!
最強のロボットを造ろうじゃねえか!!
アタシは魔力のタイプ的に木属性ってヤツらしいがそんなの関係ねぇ!
燃え盛る炎のような意欲とやる気で、研究に打ち込んで打ち込んで打ち込みまくってやる!
いっくぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
「がああああああああああああああああああ!!!!」
アタシは叫ぶ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!」
叫ぶ。
「ごおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
叫び続ける。
頭を抱えてゴロゴロと転がり回りながらアタシは叫ぶ。
さっきもやってたな。
というかもう何度目か分からねぇ。
研究に行き詰まりを感じる度にこうやってゴロゴロ転がってる。
不意に何かを閃いたりしては失敗し、また失敗に失敗し続けた先に成功があったりする。
それをもう何度も何度も繰り返してる。
確かに着実な進歩は感じられる。
提供されたデータを元に試作機的な二足歩行型のロボットの幾つかは造った。
古代ミケーネで使役されてたっていう巨石巨人に近いものが完成した。
アタシの魔法で生み出した化学薬品で発生させた雷撃を珪素の巨石に打ち込んで、電子基板化させてそれを組み合わせて電算機能を与えて集積回路化させる。
それを巨人の形に組み上げた。
元ネタに敬意を表して可能な限りに似せてみた。
そこそこに筋肉ムキムキで、尚且つ今風のイケメン的且つ古代の戦士風な感じだな。
男の子の好みが反映されてるのは、まぁしゃーない。
ちゃんと二足歩行出来て、命令すれば想ったとおりに動く。
ロボットなのに獣みたいなしなやかな動き。
正に機械獣だ。
って、それじゃ駄目だろうがよえーーーーーーーーーーーーーっ!!
いや、駄目じゃねえよ。
十分凄いわ。
いや、それじゃ足りないんだ。
確かにアタシが生きてた頃にこれを造ってたんなら、化学史に輝かしい1ページが加えられて、テクノロジーも大きく進歩してたろうさ。
でもな。
ここまで来るだけでかなりの時間が経過してるんだ。
最高の設備と資材があって、大体50年ってトコか。
我ながら凄いことをしたってのは分かる。
分かるけど……まだまだなんだ。
多分、今のままだとあの面白い外見したズングリムックリなロボット…っていうかボロットか。
『ボスボロット』にも負ける。
まずはボロットを超えるロボットをだな……にしてもあのロボットも謎テクノロジーだな。
演出とかでもなしに顔が変わるし明らかにスクラップから造られたって性能を超えてるしよ……ほんと凄いっスね、ロボットがいる世界は。
しかし、そこでアタシはふと考えた。
今更ながら、アタシに出来るコトなのか?
あと一歩どころか、一歩すら踏み出せてるのか?
そもそも時間さえあれば到達出来る試みなのか?
例えるなら…そうだ。
あの野蛮で戦争大好きな血みどろ戦闘民族のフランス・イタリア勢に時間を与えて化学のイロハを伝えたからと言って、現代科学を理解できるものなのか?
失礼だが、あの連中の古風なたたずまいを見てるとこう思う。
できるわけがない!!!!!!!
何を。
何を言ってるんだアタシは!!
何、敗北宣言しちまってるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
アタシは!!
アタシは栄えある南凪自由学園化学部部長、都ひなのだぞおおおおおおおおお!!!!
声にならない叫びを上げて、無様に這いずってのたうち回る。
周囲ではトダー達が心配そうにこっちを見てやがる。
表情は変わらないってのに、なんて寂寥感漂う雰囲気を出してやがるんだ。
人生の悲哀を感じちまうじゃねえか。
「大分お疲れのようだな、都ひなの。休憩でもしようか?」
声がしたから横を見ると、ひとりの女が立っていた。
赤い髪の女。
黒いリボンで束ねた長いポニテで、黒い長シャツと青いジーンズを着て運動靴を履いた女が。
真っ赤な眼の奥には光そのものとしか思えない輝きが宿ってて、全くの瞬きをしやがらない。
年齢的には20代の半ばくらいか。
何処かの世界線だと会ったらしいけど、まだ会った事はねぇ奴だな。
導かれてるんだかまだなんだか。数も多いから把握しきれねぇ。
名前は『佐倉杏子』。
円環の女神様とも面識がある存在らしい。
いや、それは正確じゃねえな。
こいつはその姿を模して外見を成長させた存在だ。
なるほど。
魔神パワーの応用か。
「…ああ、そうしよう。ZERO」
この神、ほんと好き勝手し過ぎだろ…。
…まぁ、人に迷惑をかけて無いからいいか。
闇の帝王(Dr,ヘル)ばりに苦悩するみゃーこ先輩
フリーダムなZERO様