真マジンガーZERO 対 アルティメットまどか   作:凡庸

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真マジンガーZERO 対 都ひなの⑥

「何だ…あれ」

 

 

 アタシは茫然と呟いていた。

 

 

「何だ、アレ」

 

 

 再び呟く。

 ウォールナッツ円環の理店とでも言うべき場所も騒然と…。

 

 

「先輩!見てみて!アレ凄いの!」

 

「あーもう分かってるカラ。今インスピレーション湧いてきて、メモったりしてるんだから少し落ち着いてヨネ」

 

「あの連中、最近見ないと思てタラあんなコトしてたとは驚きネ」

 

「僕もずっと手合わせしたかったんだよねぇ。暇が出来たんならコンタクト取ってみようかな」

 

 

 慣れ過ぎだろ。

 なんだこいつら?

 アタシがおかしのか?

 

 

「都ひなの。デザートを注文するが、そちらは何か希望はあるか?」

 

「プリン三個」

 

 

 佐倉杏子って奴を二十代にさせたアバターになった魔神にアタシはそう返した。

 アタシも大概だな。

 

 

「それにしても、いやはや壮観だ」

 

 

 注文を取りに来た給仕さん、ミネルバXに注文を言いながらZEROは言った。

 ミネルバはその顔を見もしない。

 まぁそもそも、未亡人みたいに顔を黒布で覆ってるから見えないんだけど、いや、きっついな…この態度。

 

 ま、それはいい。

 今は眼の前の光景だ。

 

 窓の外に広がるのは、富士山の周辺を模した環境の風景。

 あの日本最大の山の麓にはアタシのラボがある。

 よーく見ると、白色の富士山を模したような施設が見える。

 

 

 その近くに、青空の彼方からゆっくりと何かが降りてくる。

 それが地面に着いた。

 衝撃はないけど、確かに衝撃と激震を感じた。

 

 それは……足。

 

 足だ。

 まるで純白の甲冑に覆われた、中世の騎士みたいな。

 ただし、その大きさが異常すぎる。

 

 尖がった足の先端。

 それだけで富士山と大して変わらないデカさだ。

 

 脚じゃなくて、足でこれだ。

 当然、その足は更にデカい脚に繋がる。

 色は雪みたいな純白。形は甲冑の滑らかさ。

 なんだ…これ。

 

 いや、でもアレだ。

 見覚えがあるぞ。

 

 こいつは……たしか。

 

 

「そうだ。あれこそが円環の理防衛用超絶ド級機械獣」

 

ゴードンヘル……だと」

 

 

 見てる内に、デカすぎる全容が明らかになった。

 鋭い脚とくびれた腰、その上の菱形みたいな胴体、そこから伸びるのは……巨大な龍みたいな腕。

 胴体の頂点には甲冑で覆われた顔。

 全体的な大きさは……100キロ以上はあるんじゃないのか…?

 って、それは元のゴードンヘルの10倍近いぞ!?

 

 それと形は…浄火のドッペルに似てるか。

 となると、アレは…。

 

 

 

「御明察。あれを製作したのは中世ヨーロッパの面々だ」

 

 

 

 

 

 オウ……。

 

 マジかよ。

 

 おいおいおいおい…。

 

 

 

 アタシ、消えて無いか?

 

 なんか、意識的に存在が希薄化してる気がすんだけど。

 

 アタシの存在意義、消えてない?

 

 

「これまで長かったのもだ」

 

 

 幸いというか残念というか、アタシは消滅していないらしい。

 永遠の存在という訳か。

 気分を強引に切り替えて、アタシは魔神の話を聞くことにした。

 聞いた方が良さそうだ。

 

 

「彼女たちはまず故郷の石を切り出し、それを元に無数の形を造っては壊しを繰り返した」

 

 

 ううむ…。

 

 

「幾度も幾度も、試行錯誤を繰り返した。そしてミケーネの石巨人に相当するものを製作するまで、約500年」

 

 

 …え?

 

 

「機械獣ガラダK7、ダブラスM2に至るまで更に1500年」

 

 

 いや…ちょ…。

 

 

「量産にこぎつけ、生産プラントを完成させるまで15000年。くす玉を割り、テープカットをした瞬間が懐かしい。その役は最年長という事で王妃が務め、工場長も兼任した」

 

 

 ………絶句ってな、こういうコトを言うのか?

 

 

「その後、方向性の違いにより戦争状態に突入。巻き添えで機械獣生産プラントは崩壊」

 

「……根っからの戦闘民族だな」

 

「その戦争では機械獣が用いられたのも戦火の拡大を促した。この戦争の中で合体機械獣ガラダブラMK01が完成し、青き鎚鉾使いの従者と烏面の長女が乗り込み操縦した」

 

 

 どんな組み合わせだよ。

 陣営のメンツが気になるな。

 

 

「王妃と聖女の側も対抗し妖機械獣を開発し、戦火の中で更に技術は発展した。王妃・聖女対長女・暗殺者陣営の戦争は2000年に及んだ」

 

 

 戦争ってな、カンフル剤なんだな。って、やりすぎだろうがよえーーーー!

 

 

「その後も和睦と対立、工場の破壊と新工場完成と落成式を繰り返し…ああ、あくまで開発における議論の対峙のようなものだから、彼女らの人間関係は良好だ。安心してくれ」

 

「…おう」

 

 

 …最強最悪の魔神って呼ばれてた自覚はあんのかね、この神は。

 

 

「その果て、開発開始から75000年を経て完成したのがアレだ」

 

「ななまん…ごせんねん…だと」

 

 

 落ち着け。

 整理しよう。

 何もおかしい事じゃない。

 

 闇の帝王が戦闘獣プラントを造るのに掛った時間は3500年と1000年のハズだ。

 それを考えれば、連中が万年単位の時間を掛けたのも……。

 

 いや、そういう問題じゃない。

 連中はその時間を一つの事に打ち込み、そして成果を出した。

 

 それが…ていうかそこに……アタシは嫉妬しちまってるのか。

 そうか。そうだな。

 時間は無限にあるんだ。

 たったの50年がなんだ。

 

 時はアタシの味方だ。

 あの連中でもあんなのが出来たんだ。

 なら、アタシに出来ないワケがない!

 逃避的な感情だろうけど、俄然やる気が出てきた!

 

 

 …と、思ったのは良いんだが。

 あれは……ヨーロッパマギカ製のゴードンヘルは何のために来たんだ?

 見た限り、戦闘態勢な感じなんだけどさ…。

 

 

「アレだ」

 

 

 何時の間にか届いていたプリンを食べながらZEROは言う。

 こいつ食欲旺盛だな。

 そういや原作でもマジンガーZを実質無限体は喰ってたか。

 

 

「アレを倒す為に、彼女らは出撃しているのだ」

 

 

 空いている左手の人差し指を伸ばす、佐倉杏子の姿のZERO。

 細い指の彼方は青空。

 その一点に浮かぶのは、真紅の大輪……って、おいおいおいおいおい。

 

 

「私だ。マジンガーZEROだ」

 

 

 そう言うのもZEROなんだが……いや、深く考えるのはよそう。

 同時に一切の矛盾なく偏在できる事ぐらいはやるだろうさ。

 その実例を今やってるだけだ。

 これも基本性能、というかそれ以下の機能ですらないものなんだろうな。

 

 

「今回も模擬戦だが、私も相応の気構えで戦う筈だ。その結果は私にも予測できない」

 

「楽しそうだな」

 

「楽しいに決まっている」

 

 

 裸眼でも簡単に見える筈なのに、何処からか取り出した望遠鏡で彼方を見ている。

 …望遠鏡の淵がマーブルチョコのリングみたいになってるのは仕様なのか?

 

 

「相応の気構えって言うと、相当に強いんだな」

 

「かなりな」

 

「同じ事二回言うみたいだけど、自分が滅びるかもしれないってのに随分楽しそうだね」

 

「だからこそ面白い」

 

 

 破滅を望んでる訳でもなく、負ける気も無い。

 それでいて相手を侮ってもいない。神様ってな……ワケが分からねぇな。

 

 

「なら…楽しみを増やしてやるさ」

 

 

 視線の彼方で対峙する魔神と円環製の地獄の王を見つめながら、アタシは笑った。

 

 

「あと一万年で、アタシも成果を出してやる」

 

 

 アタシの宣言にも、ZEROが満足そうに頷いた。

 そして空の彼方で、戦いが始まった。













この展開に一番困惑してるのは自分なんだよね(龍継感)
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