光が溢れていた。
全ては煌々と照らし出され、その中で二つの存在が、光の中の影のように浮かび上がっていた。
一つは桃と白の輝きを放ちながら飛翔する女神。
神々しい翼を広げて光の中を舞うように飛びながら、矢を番えた弓を放つ。
女神と同じ白桃の如き輝きの矢は放たれた直後に、太さはそのままに複数に別れた。
そこからまた更に枝分かれし、光の中に無数の美しい線が描かれる。
上下左右、あらゆる角度に別れて光は奔る。
光の鏃の切っ先は、ある一点へと向かっていた。
そこにもまた光があった。
白と黒と、そして紅蓮の赤を背負った光の神がそこにいた。
ただしそれは、神は神でも魔神であった。
迫る光を前に、重厚な装甲が施された右腕が掲げられた。
腕の先にある指もまた太く、腕の側面には剛腕を挟み込むように二枚の斧状の巨大な刃が備えられている。
それが上方から下方へと無造作に振られた。
迫る光の一つ一つには宇宙さえも破壊する威力が込められていたが、それらは冷たい輝きを放つ装甲の上で虚しく弾けた。
そして、それだけに留まらなかった。
振り払われた光は矛先を変えられ、後続の光の矢へと向かった。或いは背後上空下方へと流れ、それらと噛み合わされていた。
魔神が跳ね返した光の矢は、女神が放った光の矢を貫き、挙句の果てに角度さえ変えて女神へと向かって行った。
女神の視界は、己が放った光と同じ、そして全く別物の破壊の力を備えた光で埋め尽くされた。
そして光が炸裂する。
煙のように拡散する光の粒子。
それを、ZEROの名を持つ魔神は髑髏の貌に刻まれた鋭い眼で見ている。
眼の中には、非生物とは思えない禍々しく生々しい渦巻く瞳が描かれていた。
広がる光の粒子を前に、魔神が光の文字で意思を表す。
そして光の粒が、風に巻かれた霧のように晴れていく。
光の霧の奥に、巨大な障壁が聳えていた。
全体の形で見れば、六角形に近い。
物体の大きさで表せば、一辺が数百メートルからキロ単位の線で構成されていた。
それぞれの線の頂点と中間は、光が二重となった円で出来ていた。
円の数は九つあった。円の中には、複雑な模様と奇妙な文字と思しきものが書き連ねられている。
旧約聖書に記された生命の樹。
障壁は形状によく似ていた。
そしてその中央に、光の翼を広げた巨大な人型がいた。
細く長い手には、二重螺旋を描いて伸びた二又の長槍が握られている。
曖昧な形状ではあったが、それは天使の姿に見えた。
目も鼻も無く、その中で唯一、生物である事を思わせる巨大な口が鰻を思わせる頭部に開いていた。
数は円の数と同じく9体。異形の天使達であった。
障壁の中央には女神の姿があった。
幼き女神は、何かを堪えているような痛切な表情を浮かべていた。
肉体的な苦痛ではなく、心理的な痛みを女神は感じていた。
金色の瞳は、障壁を展開した異形の天使達に向けられていた。
表情の伺えない顔に姿であったが、その体表からは光が散っていた。
あまりにも苛烈な攻撃は、障壁を展開しても防ぎきれるものではなく、また障壁自体も天使達の力を大きく吸い取り存在を希薄化させていた。
意思を告げたZEROの眼が煌々とした輝きを放った。
天使たちは消えゆく姿を力に変え、障壁の上に更なる障壁を重ねた。
天使たちの前に、多重線が描かれた八角形が連なり、生命の樹を埋め尽くす勢いで広がっていく。
女神も力を発しようとするも、その姿の周囲にも八角形の障壁が生じた。
女神はその中に囚われる様にして隔離された。檻であり、守護の結界の表面を女神は叩いたがびくともしなかった。
そこに、光の文字が浮かんだ。
魔なる神、マジンガーZEROの双眸が輝き、眩い光が放たれた。
左右の眼から放出された光が合わって二重螺旋となり、更には無数の光弾に拡散し、雨やあられどころか大海の大津波の勢いで生命の樹へと迫る。
九体の天使が持てる力の全てを用いて障壁を強化し、光を迎え撃つ。
堅牢な光の大樹となった生命の樹は、無数の光弾を弾いた。
しかし最初の接触を終えた時には、既に力の大半を喪っていた。
光弾は弾かれても障壁の表面に残滓を残し、それは障壁を蕩かせて光を内部に届けていた。
光の壁の内側で、破壊の光が舞い踊る。
破壊の乱流の中、女神は自らの力で障壁を纏いつつ外を見た。
身体の大半を破壊されてもなお、異形の天使たちは女神の前に聳え立ち、破壊光を受けていった。
光の前に天使の頭が消し飛び、胴体が削り取られる。
それでもそれらは女神を護り続けた。
消えゆく寸前、横長の顔を横断するように長く伸びた口は、どこか微笑んでいるようにさえ見えた。
そこに無数の光が注がれ、光の大樹が砕け散った。
それもまた光へ還り、光が拡散していく。
微細な光の粒がさざ波のように連なって拡がる光に、魔神は眼を細ませた。
その光の波紋に、何かを見出したように。
やがてそれは大瀑布のような波濤と化してZEROへと向かって行った。
自らより遥かに巨大な、大山脈に等しい光の波濤を前にZEROはそう告げた。
縦横に広がる波濤は、中心部分に形が収斂し逆さまの大渦となっていた。
ZEROへと先端を受けたそれは、複数の刃のような突起を備えたドリルの形を成していた。
自然現象にはあり得ない、何かの意思を宿した存在であった。
そう告げて、ZEROが右腕を前へと伸ばした。
そして巨大な手を広げた。
しかし二つのサイズ差は、比較するも馬鹿々々しいほどの差があった。
巨大とはいえ、マジンガーZEROの身長は女神の数十倍、60メートル程度と云った処である。
対してドリルは連なる大山脈に等しかった。
女神と魔神の対比どころではない。
当然とでも言うように、魔神は言った。
言われるまでも無い、と言わんばかりに超巨大な光のドリルは漆黒の掌へと直撃した。
光で満ちた宇宙が、接触の衝撃で大きく震えた。そしてその激突の決着は、次の瞬間であった。
超巨大なドリルの直撃に、魔神は微動だにしなかった。
そして激しく回転するドリルと魔神の手の間で、激しい光が飛散する。
それは、ドリルが先端から砕かれる事で生じる光であった。
しかしドリルは回転を緩めず、むしろ加速させて魔神へと迫る。
欠損した部分を次々と埋め、また砕かれては再生する。
破壊されてゆく光は、奇妙な形を取っていた。
細い腕と手足、人間によく似た構造をしていたのである。
やがて、全てが砕かれた。
莫大にも程がある力の掘削を正面から受けた魔神の掌には全くの損傷が見られず、熱さえも有さぬ絶対零度の冷たい光を放っていた。
そして魔神は開いていた五指を握った。
五指はドリルの最後の欠片を掴んでいた。
光で出来た細首の上に、輝く骸骨の貌があった。
不気味な姿ではあったが、その頭の上には天使を思わせる輪が浮かんでいた。
それは首から下を喪失しつつも、上下の顎を激しく動かし、魔神を噛み砕かんと決死の反撃を試みていた。
その様子に、魔神は満足げな意思を伝えた。
伝えると同時に首を強く握り締めた。
尋常ではない膂力に、首の身ならず頭部までもが完全に破壊されて光へと還る。
拡散する光の奥に、魔神は無数の光を見た。
海や砂漠のように広がる光ではなく、それらは明確な形を有していた。
神秘的な光を放つ古代の戦士。
似た趣を持ち、体表から電磁の輝きを放つ二体の巨体。
複数の獣を束ね、一体の人型とした超獣機神。
空手と思しき武術の構えを取った、闘将とでも呼ぶべき姿。
無敵を思わせるほどの日輪の輝きと、月光の煌きを額に宿した鋼人と超人。
それらと比べ遥かに小さな、小銃を肩に担いだ軍人を思わせる姿、装甲の騎兵。
それよりも更に小さな、人間と大して変わらない姿の、ほぼフレームそのままといった単眼の機械兵。
背中のバッテリー・コードを外し、卵を思わせる拘束具から泰然と立ち上がる。
その他にも無数の、人に似た姿をした装甲された者達が連なっていた。
それらの中央に、輝く翼を広げた女神がいた。
無数の軍勢は、女神の元に馳せ参じたかのようだった。
多種多様の大きさと無数の形を持ち、眩い輝きを放つ可能性の戦士たちを前にZEROが放った光の文字には、感嘆の響きが込められていた。
そして魔神は更に続けた。
かつて自らを滅ぼした可能性の光の大軍勢を前に、魔神は率直な、そして長い感想を告げた。
それは、子供じみた言い訳に思えなくも無かった。
可能性の光軍団
最初はいつもの量産機、次いでMark.07
また上から
・ライディーン
・コン・バトラーV
・ボルテスV
・ダンクーガ
・ダイモス
・ダイターン3
・ザンボット3
・スコープドッグ(多分左肩が赤い)
そして最後はトダーです