ヴンダー、発進!!~~~神殺しの船の艦隊勤務~~~   作:ゴマだれ

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更新遅れてすいません....
今回はヴンダーくんに新人の後輩が出来たらという妄想でできました、ちょい長めです


ヴンダーくんと後輩吹雪

吹雪side

 

「ここが...第一佐世保鎮守府」

 

今日から士官学校から派遣され、ここに配属となった。

ここは前線から近くその分他の鎮守府より規模も設備の大きさも違うと聞いていましたが...

 

「大きすぎませんか....!?」

 

いくらなんでも士官学校の倍以上あるとは思いませんでした....執務室ってどこ....

 

「そこの君、どうかしたのか?」

 

「え?あ、実は執務室の場所がわからなくて....」

 

「執務室は...この先に階段があるんだけどそこを上がってすぐのところだ」

 

「ありがとうございます!」

 

「気にするな、今日から配属になったのか?」

 

「はい!今後ともよろしくお願いします!それでは!」タッタッタ

 

「がんばれよー」

 


 

コンコン

『どうぞ』

 

ガチャ

「失礼します!本日より配属となりました、吹雪型一番艦吹雪です!」

 

「ええ、宜しく。私がここの提督、矢萩茜よ。期待してるわ。」

 

「は、はい!」

 

「早速だけど荷物を部屋に置いて鎮守府の設備の場所とか覚えてもらうわ。加賀、案内よろしくね」

 

「はい、着いてきて」

 

「あ、はい!」

 


 

「━━━━━━━━━━━━━━━でここが工廠ね。ここまででなにか質問とかあるかしら?」

 

「それじゃあ....設備とかとは少し違う質問なんですけど.....」

 

「?....何かしら?」

 

「あの....噂って本当なんですか?」

 

「噂?」

 

「この鎮守府に『空を飛ぶ戦艦』がいるって聞いたことがあるんですけど...」

 

この鎮守府の噂は他にもあって最近で言うと『1000を超える深海棲艦の大艦隊をすべて殲滅した』とか...挙げるとキリがない

これらの噂は士官学校で流行っていて、基本的ににわかに信じ難いものが大半です。

 

「空を飛ぶ戦艦....あぁ...」

 

「やっぱり忘れてください....噂は噂ですよね...」

 

「居るわよ」

 

「...え?」

 

「今なら丁度猫と戯れてると思うけど....会ってみる?」

 

「え、あ、はい!」

 

ホントに居た......もしかしたら『この鎮守府が要塞化されてる』とかも本当なのかな.....

 


 

「ここですか?」

 

「もうすぐで着くわ」

 

そんなこんなでやって来たのは鎮守府の裏山。

加賀さん曰く提督がちゅーるを与えまくった事によって猫がそこにたまり場を作ったらしい。

 

「....いた、あれよ」

 

「....あ!」

 

加賀さんが指をさす方には赤い軍服を着た青年が猫を撫でている。

それに見覚えがあった

 

「ヴンダー少しいいかしら?」

 

「ん?加賀さん、どうしたの?...お、君は...」

 

「あら、面識あるの?」

 

「うん、執務室の場所が分からなかったから教えた。」

 

「あの時はどうも!」

 

「そんじゃ改めて....俺は飛行戦艦AAAヴンダーだ、よろしくな」

 

「私は吹雪型一番艦の吹雪です!よろしくお願いします!」

 

「それじゃ、お互いに自己紹介は終わったわね....それじゃこの子の事は頼んだわよ。」

 

「「え?」」

 

「どうかしたかしら?」

 

「いや、俺一応戦艦だけど....駆逐艦は専門外だぞ」

 

「承知の上よ、後輩を持つのも経験のひとつ....貴方にはそこを学んでもらうわ」

 

「ふーん...了解です。まぁ、頑張ってみます」

 

「あ、あの...よろしくお願いします、先輩!」

 

「おう、なんでも聞いてくれ」

 

「後は頼んだわよ」スタスタ

 

「あぁ、そんじゃまずは聞きたいこととかあるか?」

 

「なら....先輩はどうやって飛んだりするんですか?」

 

流石にプロペラとかじゃないでしょうし.....

ロケットエンジンとか付いてるのかな?

 

「あー....口頭で説明するのは少し難しいし実際に飛んでみるか」

 

「え?」

 


 

〈演習場〉

 

「よし、艤装いけるね」

 

「は、はい」

 

まさか実際に飛ぶところ見れるなんて.....

 

「妖精さん行ける?」

 

『主機点火済み、時空間制御及び立体指揮操舵に移行完了しています』

 

「上々!行くぞ吹雪」

 

「へ?うわ!」フワ

 

え?私も浮いて....へ!?

 

「あ、あの....これって....」

 

ふと先輩の方を見ると背後にさっきまでなかった光輪が出ている

それだけじゃない、自分の艤装から空に糸のようなものが伸びている

 

「これが...」

 

「そ、これはATフィールドと呼ばれるバリアを応用して作られた糸で俺は主機の力でATフィールドを操作できるんだ」

 

「主機?」

 

「あ、そこらへんは聞くなよ?わりと不思議パワーだからな」

 

へぇ....仕組みがわかってないのか....

 

「それじゃ、始めるか」

 

「へ?」

 

「現状の吹雪のスペックを見て今後の特訓とかの指標を決める。演習弾あるよね?」

 

「は、はい」

 

念の為弾持って来といてよかった....

 

「ルールは簡単、今から5分間俺は逃げ続ける。吹雪には逃げる俺に1発でもいれられれば勝ち、魚雷に砲撃どれを使っても大丈夫だよ」

 

「わかりました!」

 

「それじゃ、よーい....始め!」ピッ

 

よし、1発でもいれられれば勝ちなら....

 

「先手必勝!」ドン!

 

「よっと」ヒュン

 

は!?砲弾を避けた!?

しかも撃ってから、この短距離で!?

 

「ほらほら、時間ないよ?」スイ-

 

「え?早!?」

」」

駆逐艦とかの比じゃない!

50ノットは出てる.....こんなの雷撃が追いつかない....なら

 

「魚雷で逃げ道を塞げば....!」バシュッ

 

「お?」

 

「そこだ!」ドン!ドン!

 

「あらよっと」ヒュンヒュン

 

そんな...これでもダメなんて....

 

「ほら、落ち込んでる場合じゃないよ?あと4分」

 

「!」

 

そうだ...まだ時間はある

このまま撃ち続ければ1発くらいは.....

 


 

ピピピ

 

「はい、時間切れ」

 

「ゼェゼェ.....」

 

結局1発も当たらなかった....

学校だと実技は上位の方だったのに...

 

「そんな落ち込むことじゃないよ、多分駆逐艦だと俺に1発でも当てられる子はこの鎮守府でも中々いないから」

 

「うぅ...でも...」

 

「まぁ、吹雪の場合は基礎の面とかはいいけどそれをあんまり使いこなせてない感じだな、次手の組み立てまで時間が掛かってる....逆にそこら辺どうにかなればかなり強いと思うよ」

 

「は、はい!ありがとうございます!」

 

良かった....私が落ちこぼれとかじゃなくて...

 

「という訳で今から吹雪には欠けている『実戦経験』を体験してもらうよ」

 

「もしかして...出撃!?」

 

「いやいや、流石にそこまでしないよ。こいつを使う」

 

そう言うと先輩は岸の方にある大きな機械のような物を持ってきた。...さり気なく自分の倍はありそうなもの軽々と持ってくるあたり流石戦艦...

 

「...これは?」

 

「これはイ級型演習用自立模型だ。これは今までの深海棲艦の行動パターンや戦術が組み込まれてるから実物とほぼ同じ動きをする。因みに演習弾だけどしっかり撃ってくるよ、魚雷とかもちゃんと付いてるからね」

 

「これと戦うんですか?」

 

「しっかり、演習弾が当たるとダメージ換算とかして実物と同様の耐久力だからちゃんと沈むくらい撃ち込めば停止するよ」

 

「凄い技術ですね...」

 

「うちの工作コンビの技術力はずば抜けてるからね」

 

確かに、これなら沈む心配もなく強くなれる....流石最前線....

 

「そんじゃ始めるよ?」

 

「はい!」


 

ヴンダーside

 

うーん、中々できる子だな...士官学校の実技もたかが知れてると思ってたけど悪くない子もいるんだな...

 

「あの子、どうだった?」

 

「加賀さん、割と悪くないと思いますよ

基礎は及第点....成長速度も中々のものでしたからね。そう遠く無いうちに前線にも出せるレベルになるかと」

 

「あら、貴方が高く見積もるなんて珍しいわね」

 

「えぇ、後輩が出来て浮かれてるのかもしれませんね」

 

評価の割には結果がと思うかもしれないがあくまでも吹雪の使ってる装備はここでは旧式の域を出ないものだ。

そこを加味すれば伸び代はかなりのものだろう。

 

「でも提督にお願いして、俺が艤装にテコ入れしても良いと思えるのは事実ですよ」

 

「仮に彼女にやるとしたらどうなるのかしら?」

 

「全体的に上がると思いますが....速度面を重視する事になりますかね。具体的には俺の水上と同等くらいは目指したいですかね....」

 

「....駆逐艦最速艦が変わりそうね」

 

何れにしても、取り敢えずは練度のアップと艦隊での動き方とかを覚えさせよう

 


 

吹雪side

 

<数日後>

 

「今のところ敵影なしはありませんね... 」

 

「どうなってるの....」

 

鎮守府に来て数日後、先輩との特訓を経てそこそこの練度となったある日成果の確認の為に難易度の低い海域に出撃することになった。そこは先日までは前線から流れ出てくる深海棲艦が居るので探さずとも動き回っていれば会敵する筈ですが...

 

「かれこれ30分は探し回ってるのに何もいない...」

 

「レーダーにも反応がない...どうなってやがる...」

 

今まで強気な態度だった天龍さんもこれには気味悪がっているようです...何だか嫌な予感がする....

 

「!敵影確認....戦艦2、空母3、軽巡3、駆逐2!?」

 

「な....空母が居るなんて聞いてないぞ!?」

 

こちらには制空権を取る手段なんて無いのに...3隻も...!

 

「救援要請は?!」

 

「今やった所...流石にこのメンバーじゃ全員の生存は保証できないわね...」

 

現状のメンバーは私と叢雲、天龍さんに龍田さん...この海域では軽巡もたまにしか会敵しないということで念の為で来た3人以外は誰もいない

 

「!艦載機来るわよ!」

 

!まずい....いや、先輩の特訓と比べれば

 

「なんて事ない!」ドン!ドン!

 

よし、艦載機もしっかり落ちてる!

これなら持ちこたえられる!

 

「吹雪!そっちに一体行ったわよ!」

 

「了解!」

 

私の方に黒い影が向かってくる

でもタイミングを合わせれば....

 

『━━━━━━━━━━━━━━━!!』

 

言葉に出来ない叫び声を上げて口を開けて砲塔の狙いをつけようとする...でも

 

「そこ!!」ドン!

 

ドコン!

 

よし!天龍さん達が戦艦を相手してくれてる間にこっちを

 

「フン!」ガシッ

 

「うっ!?」

 

顔を押さえつけられた!?

こういう時は....

 


 

「ナイフですか?」

 

「そ、持っといた方がいいよ。持ち運びにも困らないし」

 

そう言うと折りたたみ式の大きめのナイフを渡される

 

「でも、天龍さんたちみたいに近接戦なんてするつもりないですよ?」

 

「わかってる、別に近接戦とかに使うだけじゃないくて例えば相手に組み付かれたりした時簡単には抜け出せないよね?」

 

「はい、深海棲艦の力は基本的に艦娘と同等かそれ以上だという事は学校で習いました」

 

「うん、そんな時にナイフとかあれば例え力がなくても簡単に抜け出せる。体のどこかしらに刺せば思わず手を離すだろうしね、そこをドカンとやる訳だ」

 


 

「(そこ!)」グサッ!

 

「ナ!?」サッ

 

よし、手を離した!

 

「喰らえ!」ドン!

 

「ガアッ!」バシャン

 

ゼロ距離なら駆逐艦の火力でも軽巡は倒せる....これならいける

 

「吹雪!危ない!」

 

「へ?」

 

ズギャン!

 

「う...あ..」

 

戦艦の...砲撃...?

艤装がやられた...これじゃもう動けない....大破したかな....

 

ブウウウン

「艦載機...!?」

 

まずい...ここまでなの...?

 

ズガガガガガガ!!!

 

「え...?」

 

艦載機が...全部落ちた!?

30はあったのに

 

「おいおい、何諦めてるんだ?俺はそんなに諦めやすい性格に育てた覚えはないぞ?」

 

「先輩...!何でここに....」

 

「そりゃ、かわいい後輩のピンチとあれば文字通り飛んで来るよ」

 

飛んで...そっか、飛べるんだった...

 

「思ったより早いな!」

 

「うん、みんな置いて瞬で来たからな」

 

「吹雪は?!」

 

「何とかセーフ、大破してるからいま修理妖精さんに頑張ってもらってる」

 

『『『おう!』』』ピシッ!

 

こんな事までできるなんて...先輩って何者...?

 

「龍田、吹雪頼む。後は俺がやるから手出さないでくれ」

 

「あら?お怒り?」

 

「うん、超お怒りだよ。んじゃ行ってくる」

 

そう言うと先輩は艤装から丸鋸が付いた武器を取り出す

 

「やぁ、深海棲艦どもこんにちは...そしてさようなら」

 

その瞬間、先輩の纏う空気が一気に冷たくなった

 

 

 

「お前ら..人の後輩にこんな事しておいて生きて帰れると思うなよ?ぶち殺してやる深海棲艦(クソども)....!!」

 

そう言うと敵に突撃していく。

その姿は正しく鬼神とも言い表せるほどだった。その後は一方的な戦いだった。

砲弾が飛んでくれば躱し、やり過ごし、そして弾き飛ばす。そして接近すれば一体ずつ切り裂いていく。逃げようとする敵も1人も残らず切り裂いていった。

 

「よし、終わったぞ天龍」

 

「お前返り血で凄い事になってるぞ!?」

 

「平気だよ、お?長門遅かったね」

 

「お前が早すぎるんだ!」

 


 

あの後、鎮守府に戻って入渠をした

幸いにも先輩の妖精さんのお陰で大破にも近かった損傷は中破規模にまで落ち着いていたためそこまで時間はかからなかった。

 

「艤装もボロボロにされたな....」

 

「すいません...私が至らなかったばかりに...」

 

「気にするな、むしろ大したもんだ」

 

私自身の怪我は治るのに時間はかかりませんでしたが艤装はかなりボロボロになってしまい、改修する事になり今終わったと知らされたので1度工廠に行き着けてみて欲しいとの事

 

「明石、出来たってほんと?」

 

「はい、吹雪ちゃんこっちよ」

 

明石の後を追っていくと私の艤装が出撃前の状態で置いてあった

 

「すごい...あんなにボロボロになってたのに」

 

「それだけじゃないわ、性能面も上昇していて装甲は戦艦の砲撃にも余裕で耐えられるようになり、火力面も魚雷と艦砲の威力がアップ。戦艦相手にも充分な威力を期待できるわ。そして、航行面はヴンダーと同等の速度で動けるようになったわ」

 

「そんなに...!」

 

「感謝するなら貴方の先輩にした方がいいわよ、設計から改修案の掛け合いまで殆ど1人でやったんだから」

 

「え?」

 

「...あの艦隊の出没を予測できなかったのは俺のせいでもある、多分最近あそこの海域で吹雪以外の練度の低い子達の実戦経験の場としていたのが向こうにバレてしまったんだろう....すまなかった」

 

「いえ、謝らないでください!先輩の特訓のお陰で生き残れたんですから!」

 

「...そう言って貰えるとありがたい。何か要望があったら言ってくれ」

 

「なら先輩、1つ頼みがあります」

 

「何だ?」

 

「これからも私に特訓つけてください!」

 

「!ああ!」

 




■おまけ(後日談)

茜「....」カキカキ

ヴンダー「....」ソワソワ

茜「.....」カキカキ

ヴンダー「....」ソワソワ

茜「...ねぇヴンダー」

ヴンダー「ん?どうした?」

茜「そんなに吹雪の事心配?」

ヴンダー「....もしかして顔に出てた?」

茜「うん、態度に出てた」

ヴンダー「そうか、気を付けるよ」

茜「え、えぇ」

ヴンダー「....」ソワソワ

茜(ダメだこれ...完全に過保護になってる...)

その後、吹雪の練度が充分なものとなるまでこの無意識の過保護は続いたのだとか.....

■艤装改修後の吹雪のスペック

火力面
艦砲は改修によって弾速及び貫徹力の強化。
そして冷却時間の短縮によって連射能力の強化、装弾数も増加している。
魚雷は装填数が増加、また威力も向上している
因みにプログレッシブナイフも装備している

装甲面
艤装に特殊装甲板を使用しているのでモロに喰らっても戦艦の砲弾を弾くほど

航行面
擬似S2機関を補助として使うことによりヴンダーくんと同速の移動と高速戦闘が可能になった

アンケートの結果かなりの大差で出して欲しい票が入ったので出す方針で行きたいと思います
あわよくばヴンダーくんvsNHGシリーズの演習とか書きたい...

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