ヴンダー、発進!!~~~神殺しの船の艦隊勤務~~~   作:ゴマだれ

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ヴンダーくんとほっぽちゃん

ヴンダーside

 

「「「....」」」

 

遠征組の救難信号を受けて俺達は救助に向かった

仮にも練度では他のメンバーと遅れを取らない編成であるにも関わらず非常事態を伝える救難信号を使うあたりよっぽどの事があったのだろうと思いながら向かっていたが着きた時には....いや、確かに非常事態と言えるかもしれないが....

 

「....何、この状況」

 

うんグラーフ、気持ちはわかるぞ。

今の状況をわかりやすく説明すると、凄い疲れた顔をしている天龍も困惑している龍田、そして唖然とする駆逐艦組そしてなにより....

 

「....オマエラノ鎮守府ニツレテケ」

 

天龍は人質と言わんばかりに天龍の上に肩車されている北方棲姫と言えばわかるだろう

 

「そうか」ジャキ

 

「待て待て、天龍ごとやる気か?!」

 

「大丈夫だ、綺麗にやる」

 

「そうじゃない!そっちの方向じゃなくて引き剥がす方向で行こうよ!?」

 

「それがねぇ....引っ張って引き剥がそうとしても取れないのよ...無理にやろうとすると天龍ちゃんの毛根が消えそうなの」

 

「えぇ....」

 

というか、鎮守府に連れてけってどういう事だよ?

 

「何かこの子ちょっと目的ズレてない?」

 

「別ニ、戦イニ来タワケジャナイ」

 

「え、そうなの?」

 

「家出シテキタ」

 

「家....なんて?」

 

は?家出?深海棲艦が?....職場環境の問題かな?

 

「え?何で?」

 

「オネエチャンガホッポノプリン食ベタ。底ノホウニ名前モ書イテアッタノニ....」

 

いや、どういう事なの....

 

「...まさか、態と外してたのか?」

 

「どういう事?」

 

「実はコイツが俺の頭に取り付く前に艦載機の攻撃にあってな、かなり狙いがガバガバだったんだ」

 

「つまり...最初から天龍の頭に乗って移動しようとしてたのか」

 

確かに、鎮守府に行くという目的はこれで達成できるし

家出という言い分が本当ならそれも納得がいく、ただ...

 

「俺達とは何で戦わないんだ?もしかしたら俺がお前の要求を拒否するかもしれないのに」

 

「ホッポタチ...戦イニ疲レテ逃ゲテキタ」

 

....あれ?これなんか俺地雷踏んじゃった奴かな?

 

「家出とは別だよね...?」

 

「ウン、逃ゲテキタ先ノ家カラ家出シテキタ」

 

(マスター)、1回鎮守府に戻った方がいいんじゃないか?」

 

「そうだな...すまんが天龍、そのまま帰るぞ」

 

「えぇ...首疲れてきたぞ....」

 


 

「成程ね...深海棲艦の脱走兵なんて聞いたことないわよ」

 

「ですよね....」

 

ホッポ()()と言っていた事から複数、下手したら姫級または鬼級の可能性もある...うん、それは置いといてだ

 

「まずは天龍の頭から引き剥がす方法から考えましょう」

 

「だな...力づくは天龍が禿げちゃうからな...」

 

「試行錯誤しましょうか」

 

まずは烈風で釣る

 

「行けるのそれ...」

 

「でも興味深々だったしワンチャン...という訳で加賀さんよろしくお願いします」

 

「...まぁ、やってみるわ」パシュ!

 

加賀さんの撃った矢が航空機に変わる

今回はあくまで見せることが目的なので武装などは付けていないが...どうだ?

 

「... !レップウ....」キラキラ

 

「お?いいんじゃないか?これ」

 

興味深々の様子、これで後は降りてもらえば....

 

「ネェ、レップウノ方ニイッテ」

 

「...いや、降りるという選択肢はないのか?」

 

「動カナイナラ髪引キチギルヨ」ブチッ

 

「痛たたた!!わかった、わかったから!」

 

ダメか...この様子だともので釣ってもどうしようもない感じが....いや待てよ?

 

「...これなら行けるかも」

 

「え?何か策があるの?」

 

「ちょっと時間が必要だがな、少し待っててくれ天龍」

 

「早くしてくれ...俺の髪がなくなる前に....」

 


 

1時間後

 

「待たせたな」

 

「随分遅かったわね....え、ケーキ?」

 

「そ、ケーキ」

 

「まさか、作ってきたの?」

 

「スポンジは事前に作ってあったから、後はクリームと組み立てだけだったからな」

 

俺が持ってきたのは大きめのショートケーキのホールである。因みに味の方は自信があるから大丈夫。

 

「それでどうするの?」

 

「フッフッフ...任せたまえ。残酷な方法を取らせてもらう....」

 


 

「北方棲姫!お前はもう包囲されている!無駄な抵抗を止めて天龍の頭から降りてこい!」

 

「ソレ以上近ヅクナ!近付イタラコイツノ髪ヲ引キチギルゾ!!」

 

「何...あれ?」

 

「完全に立てこもり犯みたいな感じになってる.... 」

 

「いや、ある意味立てこもってるよ」

「そうか、今頭から降りてきたらこのケーキをホール一個分やろう」

 

「ケーキ...!」キラキラ

 

「そうだ、わかったら天龍の頭の上から降りてくるんだ」

 

「イヤダ!オイオマエ!ケーキノトコロニイケ!」

 

「おっと天龍を動かすのは無しだぞ!」

 

「ナ!?ナラ、ソノケーキヲ持ッテコイ!サモナイトコイツノ髪ヲ引キチギルゾ!」

 

「やっぱだめかしら....」

 

「そうか、なら没収だ」

 

「エ?」

 

「髪をちぎろうとする悪い子にはケーキは没収だ。こいつは六駆のみんなにあげようか」

 

そう、これぞ『悪い子にはあげない』作戦である

これならこちらの優位は覆ることも無い

 

「お?効いてるぞ」

 

「ワ、ワカッタ...オリルカラ没収シナイデ...」ウルウル

 

「え、あ、うん。それじゃ降りようね...よっと」ヒョイ

 


 

取り敢えず天龍の毛根が枯れ果てる前にほっぽちゃんを引き剥がすことに成功した

ちなみに今は俺の膝の上でケーキ食べてる

 

「どう?美味しい?」

 

「ウン、ヴンダーガ作ッタノカ?」モグモグ

 

「おう、中々好評のようで良かった」

 

最近料理にハマって試しにスイーツ作ってたら時津風&雪風に見つかってそこから駆逐艦のみんなに作ってとせがまれる事が多くなった。まぁ、今日のは完全に自分で食べる用と長門とかと食べる分だったんだが....

 

「ヴンダー...これどういう状況だ?」

 

「お、矢矧か実は━━━━━━━━━━━━━━━」

 

「成程...お前も大変だな」

 

「まぁな...ほらほっぽ矢矧お姉ちゃんだぞ?」

 

「ン?....ヤハギ....」

 

「ん?どうした?」

 

「イヤ、ナンデモナイ(スゴイウラヤマシソウナ目デ見テクル....)」

 

「?そうか?」

 

さて、どうしようかな...提督からは一先ず面倒見てやれと言われてる手前、放置する訳にも...

 

「...ネェ、ヴンダー」

 

「ん?どうした?」

 

「プリン作レル?」

 

「プリン?その程度ならできるぞ」

 

「ジャア作リ方教エテ、オネエチャントイモウトニアゲル」

 

おおう...割といい子だな...いや、いい子なら家出もしないし天龍の髪の毛引きちぎったりしないか

 

「いいよ」

 

「ヤハギモイッショニ作ロ」

 

「え?」

 

「ダメ?」ウルウル

 

「うっ...」

 

「いいじゃん、矢矧たしかこの後予定無かっただろ?」

 

「まぁ、いいか」

 

「ワーイ!」ピョンピョン

 

信じられるか?かわいい女の子みたいだろ?あれが人類を脅かす深海棲艦の1人なんだぜ?

 


 

「それじゃ、作っていきましょう!」

 

「オー!」

「それで、最初は何からするんだ?」

 

「まずはカラメルだな...」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「モウスコシカ?」

 

「いや、もういい感じかな後はプリン型に入れちゃって良いと思うよ」

 

「はい、火傷しないようにな」

 

「はは、何か矢矧お母さんみたいになってるぞ」

 

「ジャア、ヴンダーハパパダネ」

 

「な!?」

 

「おう、お父さんはお母さんを大切にしなきゃな」

 

「子持ちって....その...///」

 

ジュ-

 

「ア」

 

「ちょ!火消して!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「はい、牛乳いれるぞー。泡立てないようにしろよー」

 

「ハーイ!」

 

「....何だか見てて微笑ましいな」

 

「そうだな...」

 

「デキタゾー!」

 

「よし、じゃあ...」

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「デ、デキタ!」

 

おー結構上手にできたな、後は箱とかに移して冷蔵庫に保管しとけば大丈夫だな

 

『ヴンダーは北方棲姫を連れて執務室に来るように』

 

ん?呼び出し?しかもほっぽ繋がりっぽいな

 

「よし、行くぞー」ダキアゲ

 

「ハーイ」

 

「(完全に父親だな....)」

 


 

コンコン

『どうぞー』

 

「失礼しま...え?」ガチャ

 

執務室のドアを開けたと思ったら誰かいる...見た感じ深海棲艦か...?

あ、もしかして

 

「オネエチャン!」

 

「ほっぽ!探したわよ!」

 

やっぱりお迎えか...というかメッチャ言葉流暢だな...

 

「提督、この人って」

 

「うん、あの子の姉ね。1番上の姉らしいわ」

 

「ってことは姉2人に妹1人か」

 

「...なんでそんなことまで知ってるの?」

 

「ほっぽから聞いた、後あの人めっちゃ言葉流暢だな」

 

「元有人島の島に住んでるみたいで残ってる雑誌とかテレビとかで勉強したみたいよ」

 

へぇーすっごい...因みに名前も把握済み

確かに港湾棲姫だったっけ?

 

「さ、帰るわよ」

 

「ア、チョット待ッテテ」テクテク

 

〈数分後〉

 

「ジャーン!」

 

「それは...?」

 

「ヴンダート作ッタプリン」

 

「頑張って作ってましたよ、後で褒めてあげてください」

 

「すいません、お世話になりました」スイ-

 

「バイバーイ」スイ-

 

「じゃあな」

 


 

「深海棲艦にもああいうのいるのね」

 

「...だな」

 

「実は港湾棲姫と少し話してたんだけど、その時何で人間を攻撃するのか聞いてみたのよ」

 

「何て言ってたの?」

 

「『分からない』よ」

 

「...は?」

 

「詳しく言えば元々は目的があった...でも戦いの長期戦化によっておそらくそれも忘れ去られたんだと思うわ」

 

「...」

 

滑稽だな...今や誰もが怨念や恨み、そして的外れの目的を殆ど分かってないなんて。しかもお互いに引けないところまで来てしまっている。

 

「...この戦争、もしかしたら講和になったりするのかな?」

 

「さぁ、でもあるかもね」

 


 

〈後日〉

 

「マタ遊ビニ来タ!」

 

「アネキ待ッテクレヨー!」

 

「えぇ...」

 

何かまた1人増えたぞ....妹?

 

「ほっぽ!お前俺に捕まろうとするな!妹を見習え!」

 

「天龍ちゃん、送迎バスと化したわね」

 





■おまけ
<ちょっと前>

テレビ「完成です、それでは本日使った材料を....」

ヴンダー「料理か...そう言えばやったことないな...ちょっとなにか作ってみよう」

━━━━━━━━━━━━━━━

ダークマター「やぁ」

ヴンダー「oh...これはどうにかしなくては....」

<一週間後>

カルボナーラ「すごい美味そうだろ?美味いんだぜ」

ヴンダー「間宮さんのレッスンのお陰でそれなりになんとかなったな....何かスイーツでも作ってみるか」

この後駆逐艦達にスイーツ作ってるところを見られて全部食べられるのは言うまでもない
ヴンダーくんの料理スキルは専門店より下ですが手作りにしては超美味しいみたいな感じです。
この作品ではほっぽちゃんの家系図は
長女港湾棲姫、次女飛行場姫、三女北方棲姫、四女北方棲妹みたいな感じです

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