メイデーア転生物語 ~二人の紅の魔女の物語~ 作:メイデーアアニメ化して下さい
この作品を通じて、少しでもメイデーア転生物語を好きになってくれる方がいたら嬉しいです。
メイデーア。
それは、誰かが最初に叫んだ、この世界の名前のこと。
南の大国ルスキア王国。
大国なだけあって、その東端に位置するデリアフィールドのヒース荒野ですら、目の奥まで染みる様な朝焼けはとても綺麗だ。
この日、荒野の真ん中にポツンと建つ、槍のようなとんがり屋根のお屋敷、オディリール家で、一つの新たな生命が産まれた。
「まぁ......見て、あなた。可愛らしい子達ね......」
「そうだな、ジュリア......これはきっと、お前のように美しく育ってくれるぞ......」
「まぁ、ほんとお上手ねぇ」
「あ痛っ!?......ジュ、ジュリア、出産直後でも凄まじい力だな」
「そんな事はどうでもいいわ、あなた。......この子の名前、決めちゃいましょう?」
「そうだね......綺麗な薔薇色の髪だ。この子達の名前は──」
◇
「ほらぁ~、アリア! こっちよ~」
「はいっ!」
私の名前は、アリア・オディリール。
今現在、絶賛お父様とお母様に甘やかされながらすくすくと育っている、
そして私の目の前で両腕を広げ、よたよたと歩く私をふにゃと崩れた笑顔で受け止めようとしているこの人は、ジュリア・オディリール。
正真正銘、私の大好きなお母様だ。
よし、なんとなくこの体での歩き方のコツが分かってきたぞ。あっあともう少し。やったぁようやくお母様の胸元へ大胆にダイブ!
「おかあしゃま!!」
「アリアちゃぁん!!」
ぽすっと、まだ幼い私の体がお母様の体と腕によって抱き締められる。
あっお母様の素晴らしいものが顔面に直で感じられます。
お母様ほんと大好き。
「ジュリア......少し甘やかし過ぎじゃないか?」
「あら、貴方こそ私が
「そうだよー!」
「ア、アリアまで......それを言うか!」
お父様が、更にお母様にオディリール家に遣えている皆が知っていることだと伝えられて、大の大人だと言うのに顔を赤らめて膝から崩れ落ちて床に伏せる。
「ほら、そう崩れてないで、あなたもマキアと遊んであげて! 私は今、アリアと愛を確かめ合っているんだから!」
「おかあしゃまと、けっこんしたい!!」
「やぁ~ん! この子ったら~!!」
「す、凄いなアリアは......マキアは今寝ているんだから、もう少し静かにな?」
はいもちろん分かっておりますよお父様。いやでもお母様のこの素晴らしい感触は全力で表さないと私の気が済まない。
わりと本気でお母様と結婚したいんです、私は。
なんて、しょうもない事を思っていたら、お母様が私を抱きすくめて立ち上がった。おっどうしたんですか、ついに私の思いに気付いてくれましたか!?
......と思っていたけれど、どうやら私に寝ている妹を見せたかったらしい。
「ほら見てアリア、この子があなたの妹のマキアよ、可愛いでしょ?」
「......! うんっ! かわいいね!!」
「でもあなたも、マキアに負けないくらい可愛いわよ~!!」
「わぁ~い!!」
おかあしゃま、あ間違えたお母様が私の脇下へ手を入れ、高い高いのポーズでくるくる私を回す。確かに楽しいんだけど、あんまりやられるとゲr......リバースしてしまいそうだからやめてほしい。
私を好きなだけ愛でている最中のお母様を横目に、わたしはベッドで可愛らしく寝ているマキアへ目をやる。
うん......改めて、マキアを見ていると自分の転生した世界について再確認させられる。
いやぁにしても可愛いなぁ、マキアは。赤ちゃんの頃からこう、私の心にぐっとくるドストライクな可愛さを秘めているとは......
そんなこんなで、私達の一日は終わる。
月明かりが部屋の中を照らす頃、私達はお母様に抱き締められながら寝転がった。
私はお母様の暖かい抱擁を肌で感じながら、布団の中で思考を巡らせる。
つい、ぽろっと言葉がこぼれ落ちた。
「さて、まじゅ、まずはどうやってまほうをならおうか......」
ちくしょうまた噛んでしまった......脳内シュミレーションでは完璧なのに、いかんせん体がついてこない。これが才能か......
そんな事はどうでもいいとして。
どうやら私は、前世から大好きだった作品『メイデーア転生物語』の世界に転生したらしい。
メイデーア転生物語。
それは、この作品の主人公でありヒロインでもある女の子、マキア・オディリールが、前世から想いを寄せていた人、トール・ビクレイツと二度目の世界で想いを伝えようとする、恋愛ファンタジーな異世界物語だ。
最初は王道な異世界系かと思っていたが、たまたま一巻だけ買ってみたらあら不思議。
心の内に秘めているものは同じの筈なのに、身分や世間からの目によってすれ違い、どちらもその思いをどうしても形にする事が出来ないメイデーアのストーリーに魅せられてしまって現時点での全巻、漫画を揃えたのは記憶に新しい。
そんな『メイデーア』の世界に転生したと私が気が付いたのは、お父様とお母様がお互いの名前を呼びあって会話していた時。そう、産まれてわりとすぐの時だ。
私ぐらいのファンになったら、名前で分かっちゃうんです。
「ふふ、ふふふふ......」
「ん、まだ起きていたの?......アリア、子どもは早く寝なきゃ駄目なのよ......?」
「う、うんっ! わたしもすごくねむたい......」
「ふふっ、良い子ね......」
あっぶない!
今の謎の発言と私の怪しげな笑い声をお母様に聞かれてしまうところだった。きっと聞かれた暁には、『やだこの子もう将来の事を考えているわ! やっぱりうちの子は天才ね!』と私を......あれ、意外といいんじゃないか?
でも、このお母様に抱き締められるベストポジションは、たとえどんなに可愛いマキアと言えど譲ら.......いや、上目遣いで頼まれたら譲っちゃうかな......
とにかく、私はこの世界で生き延びなければならない。
最初は「あれ? これもしかして私マキアに
が、どうやら姉、もとい双子のお姉ちゃんポジションだったらしい。
原作のマキアは一人っ子だったから、びっくりしたよほんと。
そぉして、双子のお姉ちゃんとなったからには、目指す未来はただ一つ......
「ふふふ......とにかく、まきあとしあわせにくらす......」
口に出してみると、かなりしょぼい。
しかし私は、わりと本気でマキアとお付き合い、いやあわよくば最終的には結婚したいのだ。あっやめて、そんなに石を投げないで。
もちろん私もマキア&トールコンビが最強カップル! そして最強に尊い存在だと言うことは心の底から存じ上げてますよ!
......でも、結婚まではいかなくともこう、いい感じのところまで行きたい。
あれ、そもそも同性同士のいい感じの所とは、一体どこだろうか。これもしかして私が入る余地ない?
「.....いや! そんなことはかんけぃない!!」
だって! マキアのあの目尻のつっているキリっとしている目元なのに、弱々しい性格の所為で可愛く垂れ下がっている目!
ぱっちり二重と長い
おしゃれなリボンで飾った薔薇色の長い髪!!!
もう、可愛いの化身ではないか!! いや可愛いなんて生ぬるい!! 美しい!! 美しい&可愛らしいの神!!! あざといの具現化!! 結婚してぇ!!
おっと。つい興奮してしまい、語彙力とものを考える力が年相応のレベルに成り下がっていた。気を持ち直せ、私。
まぁ、最終的にどうするかは後々考えていくとして、とりあえずは就寝だ。寝ないことには何も始まらない。
いや寝たら何も始まらないな。
ちなみに私も、自分でも気に入っている海色の瞳、そして艶のある束ねてもよし、そのままにしておいてもよしな薔薇色の髪という、自分で言うのもあれだが中々に可愛いらしい容姿をしているのではないだろうか。
唯一違うのは、目元ぐらいだろうか。こうなんというか、キリっとしているのはマキアと同じなのだが、私の目元は勝ち気というか、そう、気の強い感じの目元なのだ。
これだけ言ってるけどもちろん一番可愛いのはマキア!!愛する我が妹だがなっ!!
「あらあら、マキアと結婚だなんて! ちょっとアリアには早いわね~......ほら、早く寝るのよ......」
「は、はいっ!」
.......私、結婚したいなんて口に出してたっけ?