目覚め
「あり得ねえっての」
今の状況を確認した俺は、そう呟いた。
昨日までは普通だった。いつものように大学へ行き、アルバイトをし、確かに自分の家に帰って寝たはずだ。
しかし、今朝目が覚めると馴染みのお部屋じゃなくゲーム機やらよく分からない何かのパーツやらが散乱した汚い部屋に布団も敷かずに寝転がっていた。しかも鏡を見れば別人の顔が映されている。
慌てて外に出てみれば知らない町で再び部屋に戻り色々と探した結果、どうやら俺はテンザン・ナカジマという人になっているということが分かった。
「夢か何かか……? それにしても、何でテンザンなんかになってるんだよ」
テンザン・ナカジマ。あの『スーパーロボット大戦 OG(オリジナルジェネレーション)』というゲームに登場する敵キャラで、戦争とバーチャルの戦いを混同して好き勝手やっていた男。戦いの中で人の命について悩んでいたリュウセイとは対照的な存在だった。
その最期はひどく、ヴァルシオン改というロボットに搭載されていたシステムのせいで発狂。
ヒャハハハとか白目むいた顔で笑ったり潰してやるぜプチプチっと! とか叫びながら戦った末に撃墜された。
ちなみに、アニメだとそこでそのまま戦死したが、ゲームではその後で異星人(?)に捕まって洗脳&改造。記憶を消されてゲーザ・ハガナーと名乗って主人公たちに襲いかかった。
黒い髪は何故か緑色になり、身体中に色んな物が埋め込まれた顔。そしてやっぱりヒャハハだのプチプチだの言った挙げ句、最終決戦の前に戦死。最期は記憶を取り戻し、明日はゲームの大会の決勝だと言いながら爆発した。
個人的には様々な組織に振り回された悲しい存在という印象だったヤツなのだが、何故自分がそのテンザンになっているんだ?
さっきまでそれを考えていたのだが、考えても答えが出てこないので、一度忘れることにした。
「そういえば……お、あったあった。これが『バーニングPT』の会員カードか」
バーニングPTとはゲームセンターに置かれている某ゲームと同じく、ロボットのコクピットみたいな物に入ってまるで本当に操縦しているかのような気分を味わえることを売りにしたゲームのことだ。
実はバーニングPTは本当の人型ロボットPT(パーソナルトルーパー)と同じコクピット、同じ操縦方法となっていて、ゲーマーの中から『念動力』が高い者と、操縦センスのある者を選び出していた。
そのバーニングPTの達人だったテンザンは念動力という能力はないが、操縦センスはあったためEOT機関、後のDCからスカウトされ兵士になったのだった。
ちなみに、高ランクのプレイヤーは無料で遊べる上に、大会に勝つと賞金がもらえたりする。
「せっかくだし、やってみようかな?」
そして、俺はあくまで軽い気持ちでゲームセンターへと向かった。
……後に、俺はこのことをひどく後悔することになるのだった……。
次回予告
自分が夢ではなく本当にテンザンとなったことを知った男。しかし、実感を得たときには既に遅かった。
次回「バーニングPT」
遊ばなければ、生き残れない