テンザンだけど、質問ある?   作:チャーリー江口

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 初戦闘シーン、初ホ。


バーニングPT

 歩いて5分、ゲームセンターはすぐそばにあった。

 

 さっそくバーニングPTのコーナーに行きプレイ。このゲームは一定以上のランクを持っていると無料で遊べるという太っ腹なルールがあり、テンザンは最高ランクを持っていた。

 

 つまり、テンザンの姿になっている俺も無料で遊べるのだ。

 

 

「テンザン・ナカジマ、いくぜ!」

 

 

 PTのパイロットになりきって叫ぶと同時に、画面が市街地へと変わっていく。俺がいた世界のテレビ画面とは比べ物にならないほどの高画質に、まるで本当にロボットに乗って外へ飛び出したような気分になってきた。

 

 今俺が操作キャラとして選んでいるのは『ゲシュペンスト』というスパロボOGでお馴染みの機体だ。

 

 初心者は性能バランスが良く、装備も遠距離用のスプリットミサイルから肉弾戦で使えるプラズマステークと色々あるこれが最適らしい。

 

 

「敵は戦闘機が4、戦車が2か。まずは戦闘機だな」

 

 

 ジェット噴射を利用してジャンプし、ビルの上に登った。レーダーには近づいてくる戦闘機がはっきりと表示されている。

 

 そして、ゲシュペンストの頭部カメラでも戦闘機たちの姿を捉えた。

 

 

「スプリットミサイル、発射!」

 

 

 先頭の一機に狙いを定めて、大型のミサイルを撃つ。ミサイルは途中で割れ、中から複数の小型ミサイルが飛び出し敵から逃げ場を奪っていく。

 

 

ーードォン……!

 

 

 スピーカーから爆発音が響き、戦闘機が墜落していくのが見えた。

 

 

「まずは一つ! お次はーー」

『回避』

 

「ホ!?」

 

 

 画面に回避と表示された瞬間、ゲシュペンストはビルから飛び降りた。その直後、さっきまでいた場所に他の戦闘機が撃ったミサイルや機関砲の弾丸が降り注いだ。

 

 どうやら、無意識の内に回避行動を選択していたようだ。

 

 

「落としたヤツに注目しすぎたな……。それで、これが『TC-OS』か」

 

 

 バーニングPTにはこの世界で実際に存在する人型ロボットPT(パーソナルトルーパー)と同じくTC‐OSというOSが組み込まれている。一度行動を選択すると、それに最適な動きをPTが自動でやってくれるシステムだ。

 

 テンザンはこのTC‐OSを熟知し、素早く動かせるように体に覚えこませていたのだろう。

 

 

「これぞ精神コマンド直感……なんてな。さて、ここからは俺の反撃だっての!」

 

 

 旋回し、また近づいてくる戦闘機三機が見える。今度は一番遠くを飛んでいる機体を狙う。

 

 

「ミサイル発射! そしてマシンガン!!」

 

 

 今度はスプリットミサイルの行方は見ない。直ぐに武器を選択し、マシンガンを撃ちまくる。

 

 

ーードォン……!

 

ーードドォン!!

 

 

「よっしゃあ!」

 

 

 戦闘機が全て撃ち落とされたのを確認し、ゲシュペンストを移動させる。行き先は戦車がいる方向だ。

 

 角を曲がった瞬間に戦車二両をまとめて発見。撃たれる前に跳び、エネルギー出力を最大まで上げていく。

 

 

「一気に決めてやるっての! プラズマステーク、セット!」

 

 

 ゲシュペンストの左腕にある近接武器を選択。戦車からの砲撃を上昇することによって回避。プラズマステークが青白く光り、放電し始めた。

 

 そして、戦車の真上目掛けて降り下ろす!

 

 

「ジェットマグナム!!」

 

ーードン!!

 

「そして、もっかいマグナム!!」

 

ーードン!!

 

 

 片方を潰した後、近距離の爆発に慌てず確実に最後の一両にステークを当てる。破壊した瞬間、軽快な音楽が鳴り画面に『GAME CLEAR』と表示された。

 

 

「これがバーニングPTか……楽しかったけど、ちょっと疲れるな……」

 

 

 その後、似たようなステージを何回かやった後に一人用モードは終了し、俺はゲームセンターから出た。

 

 

「とりあえず、今日はここまでにして家に帰るか」

 

 

 目の辺りを指でほぐしながら、さっきまでのことを考えた。

 

 どうやら、夢なんかじゃなく本当に俺はテンザンになっているようだ。ホッペつねったら痛かったし。

 

 記憶は完全に『俺』だが体はテンザンとしてこの世界で生きてきたことは確かで、バーニングPTの細かい操作のコツやとっさの反応は、このゲームをやりなれた人間のものだった。

 

 それと、テンザンじゃなかった頃の俺よりも短気になっている気がする。カルシウム不足かもしれない。

 

 そんなことを思いながら歩いていると、ふと後ろから声をかけられた。

 

 

「テンザン・ナカジマさんですね?」

 

「え? あ、はい……そうですけど、誰ですか?」

 

 

 話しかけてきたのは、どこにでもいそうなサラリーマン風の男性だった。

 

 しかし、男が言った言葉に俺はとても驚くことになった。

 

 

「私、EOTI機関の者です」




次回予告

 突然の誘い、余裕のない現状。何をするべきか、男は悩んでいく。

 次回「極東」

 伊豆、行こう
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