テンザンだけど、質問ある?   作:チャーリー江口

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 会場はたぶん幕張○○セ


リュウセイ

「……腕パーツはロングレンジコンバットに換えて……武器はナイフにライフル、と」

 

 

 海浜幕張のカフェで、俺はDコンで機体の最終チェックを行っていた。

 

 俺がテンザンになってから一ヶ月が過ぎ、とうとう全日本バーニングPT選手権大会が始まった。

 

 俺はEOTI機関から大会の参加を指示された。要するに、これで俺がDCで兵士として『使える』かどうかの最終チェックをこれで判断するようだ。

 

 EOTI機関は以前の戦績を知っているだろう。もし『テンザン』らしくない結果を残してしまうと、俺やテンザンの家族が危険になるかもしれない。

 

 狙うのは優勝。少なくとも決勝戦まで勝ち進まなければいけない。

 

 この一ヶ月間はゲームセンターでバーニングPTをし操作技術を鍛え、家では少ない所持金で生き抜くために徹底的に節約生活を送った。……バーニングPTが高ランク者は無料でよかった。

 

 そして、目的はもう1つある。連邦軍にテンザンの家族の安全を確保してほしいと交渉することだ。そのためには、大会後に起きる『アレ』を利用するしかない。

 

 

「そろそろ時間か」

 

 

 残っていたカフェラテを飲みほし、席を立つ。

 

 失敗は許されないし、緊張しすぎてもいけない。ふてぶてしく、テンザンらしくやっていこう。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 決勝大会を俺は順調に勝ち進み、とうとう決勝にまでいくことができた。

 

 

『ただ今より! 決勝戦を開始いたします!!』

 

「よし、やってやるっての!」

 

 

 アナウンサーの声をバーニングPTの中で聞き、俺は再度気合いを入れた。

 

 対戦相手は分かっていた。もし違う人だったらどうなるのかと不安になったが、彼も決勝まで勝ち進んできた。

 

 リュウセイ・ダテ、彼が決勝戦の対戦相手だ。

 

 入場してすぐに互いの筐体に乗ったので顔はちらりとしか見ていないが、確かにゲームのリュウセイと同じ容姿をしていた。

 

 正直、ここまで勝ったのだからEOTI機関は実力を認めているかもしれない。しかし、もうそんなことは関係なくバーニングPTで遊びたいと思っていた。

 

 

「これが最後かもしれねえんだ。思いっきりやらせてもらうからな!」

 

 

 モニターが十秒前だと表示する。……五秒前……ゼロ!

 

 

『試合開始ッ!!』

 

「行くぜええええっ!」

 

 

 モニターに廃墟となった町が映し出され、レーダーに自分とリュウセイの機体が表示された。

 

 俺が乗っているのはシュッツバルトというPTで、ゲシュペンストよりも重装甲なのと両肩に取り付けられたツイン・ビームカノンが特徴的だ。

 

 

(向こうはゲシュペンスト、武器はナイフとリボルヴァーか)

 

「クロスコンバット狙いなら……」

 

 

 俺は広場へと移動し、ライフルを構える。

 

 シュッツバルトは機動性で他のPTに劣っている。動き回るよりもここで待ち構えていた方がいい。

 

 レーダーはリュウセイ機が近付いてきていると知らせている。後数秒で来るーー来た!

 

 

「当たれっ!」

 

 

 角から飛び出してきた瞬間を撃つ。ゲシュペンストの肩に命中し、装甲が弾け飛んだ。中心を狙っていたのだが、リュウセイは予想よりも早く動いていた。

 

 再び弾を込め、撃つ。しかし、この二発目は後ろに跳んでかわされた。

 

 そして次の瞬間、警報が鳴った。

 

 

「ミサイル……!」

 

 

 いつの間に撃ったのか、反撃のスプリットミサイルが飛んできている。

 

 すでに小型ミサイルに別れている。頭部に内蔵されているバルカン砲で何個か撃ち落とすが、その倍くらいの数が降り注いできた。

 

 

ーードドドド……!

 

 

 爆発音が連続して響き、煙によって視界が遮られる。

 

 見失った、そう思う間もなくゲシュペンストがリボルヴァーを撃ちながら突進してきた。

 

 

「ちいっ!」

 

 

 ライフルを破壊された。ツイン・ビームカノンを撃つがリュウセイ機は姿勢を低くしながら急加速し、射線から逃れる。

 

 反射的に取り出したナイフを右手に持ち降り下ろした瞬間、ゲシュペンストのナイフとぶつかり、つばぜり合いの形になった。

 

 

「ぐっ……」

 

 

 シュッツバルトが重装甲とはいえ、すでにミサイルとリボルヴァーによるダメージによって中破レベルにまで損傷していた。

 

 武器の、そしてPTの扱いは完全にリュウセイが上だ。

 

 

「……そんなの、最初から分かってたさ」

 

 

 バーニングPTをやり続けたとはいえたった一ヶ月、上級者レベルにも勝てたのは単にテンザンの直感によるものだった。

 

 しかし、テンザンと互角またはそれ以上の相手と戦うとしたら、瞬間的な動きで対処はとれないと思っていた。

 

 狙うのは、理想の動きによる反撃で一気に逆転すること!

 

 

「肉を切らせてーー」

 

 

 ナイフを放し、左手をーー腕に内蔵されている三連マシンキャノンを突きだす!

 

 

「骨を、断つ!!」

 

 

ーードガガガガガガガ!!

 

 

 弾丸が次々と発射される音とゲシュペンストの装甲に当たる音が合わさり、耳が痛くなるほど響いてくる。

 

 その大音量に負けないくらい大声で、俺は叫んでいた。

 

 

「楽しいなあ、リュウセイ! お前もテンザンも、こんな面白いのやってたのかよ! 今なら分かるぜ。これを知ってたら、本物のロボットだって楽しいものだって思って乗ってもおかしくねえな!」

 

 

 リュウセイはナイフをマシンキャノンに突き刺した。左腕が爆発し、その衝撃で互いに吹き飛ぶ。

 

 ゲシュペンストのプラズマステークが放電を開始し、シュッツバルトのツイン・ビームカノンが狙いを定めた。

 

 

「発射!!」

 

 

 光が走り、亡霊が駆ける。

 

 ゲシュペンストはビームの中を掻き分けるように飛び続けていたが、押し負け、爆発を起こしながら流されていった。

 

 

ーードォン……!!

 

 

 モニターが暗転し、アナウンサーが宣言する。

 

 

『テンザン選手、リュウセイ選手を撃破!! 全日本バーニングPT選手権大会の優勝者はテンザン・ナカジマ選手に決定しました!!』 




次回予告

 つかの間の会話に安らぎ、男は未来を願う

 次回「堕ちてきた虫」

 覚悟しろよ、この虫野郎!!
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