※SRXチームの制服は連邦軍のと違うデザインです
リュウセイとイングラムとの出会いは、原作と大体同じ展開なのでカットします。
「お前が初めてバーニングPTを使った時から、こちらは異変に気付いていた。そこから俺の指示によって監視を始め、お前とEOTI機関とのつながりは把握していた」
目的地を告げずーーおそらくリュウセイの所だと思うがーー誰もいない町を歩くイングラム・プリスケンと俺、テンザン・ナカジマ。もしここにいるのが俺じゃなくて『テンザン』なら、こうやって会話をするような関係にはならなかっただろう。
リュウセイは戦闘終了後すぐに俺とクスハを探しに行ったようで、イングラムは町の真ん中で座ったような姿勢で止まっているゲシュペンストには目もくれず会場の方へ真っ直ぐに向かっている。
「異変って、どうやって気付いたんですか?」
「悪いが、それを答えることはできない」
「……まあ、そりゃそうですよね」
間髪いれずに否定してきたことに、どうやらイングラムはこちらの質問には一切答えないつもりだと感じた。
俺がそれ以上何も言わないと分かると、イングラムは再び話をし始めた。
「結論から言うと、軍はテンザン・ナカジマをマークしたものの『プロジェクトに影響なし』と判断し、こちらから何か行動を起こす必要はないと決定した。つまり、お前と連邦軍には何もつながりがないものだと誰もが思っている」
「プロジェクトってーー」
「忠告しておくが、余計なことは言わない方がいい……」
SRX計画。そう言う前にイングラムは遮るように言った。
「っ……」
静かな、そして威圧感のある言い方に俺は黙るしかなかった。
「それでいい。……さて、そろそろ俺の要求について話そうか……」
「……」
「テンザン。お前はEOTI機関に行き、そこで造られている機動兵器を見てこい。……これを持ってな」
イングラムは赤い水晶のようなものを取り出し、俺に渡した。
「これは……?」
「ただこれを持ち歩くだけでいい。本来、体に埋め込むものなのだが……時間がない。ポケットや鞄の中などに入れておけ」
「はあ……」
そう言われ改めて見てみると、この水晶のようなものは『あの姿』になったテンザンの顔にあったものに似ていると思った。
その後、イングラムは何も言わずに歩くスピードを速めた。俺は彼のこちらを拒絶しているような雰囲気に何もすることができず、ただ静かについていった。
◆ ◆ ◆
それからしばらく経ち、俺たちは破壊された会場に到着した。屋根と壁は全体の半分以上が崩れ去り、どこからか何かが焦げたような臭いがしていた。
「クスハ! テンザン! どこに行ったんだ!?」
微かだが、遠くからリュウセイの声が聞こえてきた。イングラムにも聞こえたようで、こちらを振り向いて言った。
「……ここまでだ、テンザン・ナカジマ。お前はこの地区から出ろ」
「え、リュウセイに会うことはできないんですか?」
「それはできない。それと、俺とお前が会ったことは誰にも言わない方がいい。もしEOTI機関の者に知られたら、お前は尋問され行動も制限されるだろう」
一方的に言い、立ち去ろうとするイングラムに俺は声をかけた。
「あの!」
「……何だ?」
「リュウセイのこと……よろしくお願いします」
「悪いが、約束はできない」
「それは、あなたが『イングラム』だからですか?」
「っ!? ……テンザン・ナカジマ。いや、テンザンの体に乗り移った者。お前は何を、どこまで知っている?」
俺の言いたいことを理解したのか、イングラムは驚いた表情で聞いてきた。
俺は確かめたかった。彼は『枷』によってイングラムではなく『あの男』に近い存在になっているのか、どのくらい『本来のイングラム』に近づいているのか。
「約束して下さい、リュウセイのこと。あなたの仲間でしょう!?」
「……」
「……」
しばらく沈黙が続き、イングラムは何も言わずにリュウセイの方へ歩いていった。
「イングラムさん……いや、イングラム!」
「……覚えておく」
一言、そう言ったように聞こえた。
俺はそれ以上追いかけたりはせず、指示通りその場を離れた。
今はイングラムを信じるしかない。そう思った。
「……帰ろう……」
その後、俺は誰とも会うことなく海浜幕張から出て自宅へと戻ったのだった。
……そして後日、迎えに来たEOTI機関の関係者を名乗る人に連れられ、俺は南米付近の太平洋にある島、アイドネウス島へ行くことになった……。
次回予告
アイドネウス島に着いた俺を待っていたのは、厳しい訓練と共同生活、そしてT字だった。
次回「ブートキャンプ」
第二章、EOT&I編へ続く