吾輩は猫である。真名はまだない。   作:生生生

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 皆様、はじめまして。生生生です。

 今回の話は思いつきで書いているので文章構成やら設定やらが滅茶苦茶になっている可能性があります。

 それでも良い方はどうぞご覧ください。


吾輩は猫である

 吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生まれたのか、とんと見当がつかぬ。なんでも、白くてふわふわした獣に連れられ、このヒトの住むよく分からぬ建物にやって来たことだけは記憶している。

 

 吾輩はそこで、始めてヒトというものを見た。後で聞くと、それは『ますたぁ』とかいう人間の中で最も獰悪で、ときに吾輩を取って食うという。そんな奴らが47匹もいるというのだから、吾輩も気を引き締めねばならない。肉は美味いが、明日は我が身である。

 

 白いふわふわを真似、ヒトの足に擦り寄り餌をねだったり、寝床を確保したりすることで今日まで生き延びてきた。こうして吾輩に情を持たせ、吾輩の最期に罪悪感を感じさせてやろうという、せめてもの抵抗である。

 

 獰悪とは言ったが、どうも珍妙な人間もいるものである。吾輩に自ら進んで食事を捧げる黄金色の鬣を生やした長身の男がそれである。もっとも、食事の対価として体の隅々までを撫で回されるのだが、悪い気もしないためなされるままである。猫に小判というものであろうか。

 もっとも、小判というものを吾輩は知らないのであるが。

 

 この黄金色との付き合いは、かれこれ二月となるのであるが、よくも飽きないものである。猫の気は短いというが、吾輩とて同様である。一頻り撫で回された後、吾輩はいつもの様に新たな発見を求めて旅に繰り出すのである。

 それはそうと、あの黄金色から貰った『にぼし』とかいう小魚は非常に美味であった。

 

 いつもの様に天井を歩いていると、白いふわふわに出会った。なんでも、ついてこいとでも言っているようである。他に用も無いため、大人しく頷いておくこととする。しかし、互いに言葉も伝わらぬというのに、何故に会話が成立しているのであろうか。

 

「おや、フォウくんじゃないか。何か用事でもあるのかい? この大天才に何でも言うといい。

 ……と言っても、伝わるとも思えないけどね。」

 

 目の前に佇むやけにカラフルな人間が話しているが、吾輩にヒトの言葉は分からぬ。もっとも、今までに吾輩と会話の成立するものは見たことも合ったことも無いのであるが。

 そう考えると、少しばかり寂しいものである。

 

 目の前のカラフルが、何かを意気揚々と捲し立てるが、吾輩には何を言っているかも分からぬ。よく見れば、先程まで隣りにいたはずの白いふわふわもいなくなっているではないか。であるならばここに吾輩がいる理由も無いのだから早々に撤退するとしよう。

 そう思った矢先、吾輩はカラフルに捕らえられた。まさか眼前のカラフルこそが吾輩を取って食う質のものだったとは。なんまいだーなんまいだー、といつ覚えたのかも分からない呪文を唱えていると、不意に吾輩の腹がぐうと鳴った。こういう場合は、大抵腹の減っていることを表すのである。

 

「おやおや、おなかが減ったのかい? ストレス発散に愛でようと思ったけど、その前にご飯にしようか。何かあったかな〜?」

 

 大人しくなった吾輩を床に下ろすと、カラフルは戸棚をガサゴソと漁り始めた。この隙に逃げられれば良かったが、生憎ながら扉は閉まっていたため、それは叶わぬ願いであった。

 吾輩はここで死ぬのである。せめてもの抵抗として、いつも通り頭をカラフルの足に擦り付けておく。精々、吾輩を食らうことを後悔するがよい。

 

「んん? はいはい、分かったよ。ほら、煮干しだよ。食べるかい?」

 

 突然カラフルが手を差し出してくるから身構えたが、その手には吾輩の好きな『にぼし』が置いてあるではないか。ふむ。どうやらカラフルもあの黄金色と同じ質であったようだ。昼時の選択肢が増えたことを喜びながら、吾輩は今日の食事にありつくのであった。

 

 明日は何処へ向かおうか。




黄金色:キリシュタリア

カラフル:ダ・ヴィンチちゃん

白いふわふわ:フォウ
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