86−エイティシックス 戦争が生んだものとは 作:梅輪メンコ
任務
アルガニア連邦
民主主義国家でギアーデ帝国とサンマグノリア共和国と国境を接している国。ギアーデ、サンマグノリア両国国境付近には山脈が、南側には海を有している。そしてこの国は周辺国よりも優れた科学力を有し、周辺国はその恩恵を授かっていた時期もあった。しかしこの国は星暦2130年に突如、国家間高速鉄道を閉鎖を宣言、さらに周辺各国との国交を断絶。いわゆる鎖国状態となった。国境には二重の柵と分厚く高いコンクリート壁に張り巡らされた武装、それに見張り台が敷かれ常に監視の目が届いていた。しかし鎖国から二十年近く経った今でもアルガニア連邦から亡命をした人物はだれ1人もいなかった。そして星暦2139年アルガニア連邦はギアーデ帝国より宣戦布告を受けた。しかし、アルガニア連邦は優秀な科学力を使い連邦立特別艦隊 通称“空中艦隊”を結成、これによって押されていた戦線はすぐに取り返すことに成功。勢い付いた連邦政府は領土拡張を目論み、ある命令を発した
とある日、アルガニア連邦国境付近では数機の有人戦闘機械が空軍基地にて待機していた
「あぁ〜、こういう時は伸び伸びするに限るねぇ〜」
そう言って有人戦闘機械から翠緑種の女性が腕を上げて伸びをしているとそこに同じ翠緑種の男性が両手にコーヒカップを持ってやってきた
「ジル、コーヒーだ。お前の好きなジークス産のコーヒ豆だぞ」
「ありがとう兄上」
そう言ってジルと呼ばれた女性はコーヒーカップを受け取ると少し息を吹きかけ、冷ましてからコーヒーを飲みはじめた
「ふぅ、やっぱりジークス産のコーヒーは美味しいね」
「ああ、そうだな」
そう言って二人はコーヒーを飲みながら空を見ていると遠くからエンジンの様なものの音が聞こえた
「あれ?今日来るなんて珍しいね、兄上」
「ああ、何かあったのか?」
そう言って空から降りてくる”空中艦隊“を見てそう言うと空中艦隊は空軍基地の横に着陸し、そこから軍服を着た数人の人物が降りてきた
そして空軍基地の司令室に呼ばれた男性は敬礼をした
「リチャード・スミス少佐。ただいま参りました」
「ああ、すまないねいきなり押し掛けて」
「いえ、大丈夫であります。トーマス・スミス中将殿」
そう言うとトーマスは少し笑うと
「なに、親戚なんだ少しくらい緩くてもいいじゃないか?」
「いえ、ここは軍です。いくら叔父上でもそれはいけません」
「はぁ、相変わらずだな。まぁ、今日きたのは司令部からの新しい命令だ。まぁ、正直に言って私はあまり乗り気ではないのだが・・・」
そう言ってトーマスは紙を渡すとリチャードは内容を見て驚いていた
「これは・・・もう決定された事なのですか?」
「・・・ああ、司令部で決定された」
そう言ってリチャードは再び紙に目を通した。そこには『特務命令:アルガニア連邦外地域の遠征偵察を行え。なお、この作戦は重要度Aと判断し、第235特務部隊には最大限のバックアップを行う』
「しかし中将殿、この作戦は非常に危険と判断します。まともな地図も分からないまま外に出るのは味方との連携がしにくくなります。それに今はレギオンが徘徊をしています。なぜ今更そんな事を」
「いや、地図に関しては問題ない。それに過去、軍と政府はレギオンとの戦闘に関しては問題ないと見ている。そうだろ?」
「そ、そうですが・・・それでも外はどうなっているか分かりません」
そう言ったがトーマスはこの命令は政府の決定事項で動かすことはできないと言った
「そうですか・・・わかりました、私は軍人です。命令を受領しました」
「すまない・・・また面倒な事を押し付けてしまって」
「いえ、ジルがいれば大丈夫です」
「そうか・・・気を付けろよ。今度は水入らずで会える事を願っている。それに今回は新しい機体での出撃だ、楽しみにしてくれ」
「分かりました叔父上」
そう言うとリチャードは司令室を出た
「兄上〜!」
「ジル!」
「兄上、さっき叔父上が来ていましたが何か新しい命令ですか?」
「ああ、新しい命令は連邦の外の様子を見る任務だよ」
「本当ですか!嬉しい、初めて外の世界を知ることができるわ」
「ははっ、そうはしゃぐな。まずはみんなの所に行って報告をするよ」
「分かった。兄上」
そう言うと二人は部隊の全員を集めた
「どうしましたか隊長」
「また新しい命令ですか?」
そう言って青玉種のジョージ・アンダーソンと黒珀種のセシル・シルバーの二人がそう聞くと
「ああ、そうだ。新たな命令が下った。我々は連邦外地域の偵察を行う事となった」
その言葉に全員が驚いていた
「なんと!」
「では、あの壁を越えるのですか!?」
「凄いぞ、そんな事があるのか」
などと言って騒然とした場をリチャードは抑えると続けてこう言った
「ああ、みんなが思っている通り、今回は壁を越える。それに、長期にわたる作戦になる。それに外はレギオンの支配下だ、油断せずに行くぞ」
「「了解!!」
そう言って徐々に部屋から人が出ていく中、月白種の眠たそうな顔をした女性が近づいてきた
「あれ、ルミ。どうしたの?」
「隊長、外に出たら『アインタークスフリーゲ』が居ると思われますが。私謹製のレーダーを持っていきますかぁ?」
「ああ、それが無いと敵の場所がわからなくなるからな。持っていく事前提だったぞ」
「分かりましたぁ。それじゃあ積み込んでおきますぅ」
そう言って眠たそうな声で部屋を去って行った
「よし、それじゃあ俺たちも準備をしようか」
「はい、兄上」
そう言って二人は外に出ると駐機している有人戦闘機械に集まっている様子を見て
「やっぱりみんな初めての事だからワクワクしているみたいだね」
「それはそうですよ、なんせ連邦は二十年ほど前に外交を閉じて外との連絡を途絶したのですから」
「まぁ、空中艦隊なんて代物が出来たら、そうなるか」
「はい、私も正直に言うと嬉しいです。今まで外の世界は資料などでしか分かりませんでしたから」
「ああ、そうだな」
そう言って二人は歩いていると並んでいた機体の中で一番大きな機体の前で足を止めた
「これが新しい機体『ビートル』か・・・」
そう言って目の前にある深緑色に塗られた巨大な機体を見てそう言った。するとジルは送られてきた資料を読んだ
「46式超重量級 ビートル・・・武装は45口径183mm、副砲に25口径88mm砲と12.7mm重機関銃二丁・・・と重武装ですね」
「ああ、それに装甲も桁違いに大きい。正面からなら抜かれることはないんじゃ無いか?よっぽどの砲じゃ無い限りは」
「はい、前面装甲は電磁装甲も加えて一番分厚いと300mmですからね。相当なものだと思いますよ」
「これを動かすのか・・・」
「はい、私も前の機体から新しくなって足が速いやつになりましたよ」
「だからって無理に行っちゃダメだぞ」
「分かっていますよ。兄上」
そう言うとジルは隣に止まっているビートルより遥かに小さい機体に乗り込むと六本の足が立ち上がり、軽く動かしていた
「ジル、どうだい?」
「ええ、やっぱり最新のコルーチクは凄いわ。動きが遅く無い」
「それは良かった、なんせ“ビートルに搭載”出来るからな」
「え!そうなんですか?」
「ああ、だから普段は一緒に乗るんだよ」
そう言うとジルは兄と一緒に入れることに喜んだ
「じゃあ兄上と一緒に入れるんですね」
「ああ、そうだよ」
そう言って喜んでいるとリチャードは後ろから声をかけられた
「あの、隊長」
「ん?どうしたジョージ」
「いえ・・・今回の作戦・・なんか不思議に思えて・・・」
「何処がだ?」
「なぜ二十年近く鎖国をしていた政府はいきなり偵察をすると言い出したのかと思いまして・・・」
「ああ、そう言うことか。うーん、正直言ってわからんが政府はレギオンを押し返した勢いで領土を増やすつもりなんじゃ無いか?」
「だとしてもなんか火事場泥棒みたいで嫌ですね」
「まぁ、そう言うな。この偵察は周辺諸国がまだ生きている事を確かめるのも入っている。もしかすると新しい文化を観れるかもしれんぞ」
そう言うとジョージは少しモヤモヤした様子で去って行った
「・・・さて、こっちも準備をしないとね」
そう言ってリチャードは準備をした
数日後、リチャード達第235特務部隊はアルガニア連邦国境の壁を超えて周辺国家の偵察任務の旅を始めた
兵器紹介
46式超重量級 ビートル
武装
45口径183mm砲
25口径88mm砲
12.7mm重機関銃
ウインチランチャー
大きさ
全長43.8m
横幅11.7m
高さ8.4m
特徴
鹵獲したレギオンのディノザウリアを元に開発した機体。五対十本の脚を持ち、後ろ側には47式軽量級コルーチクを格納する場所がある。装甲には電磁装甲に最大300mmの装甲圧となっている。なおこの装甲のせいで動きと加速率が悪い(それでも時速100km程出る)
47式軽量級 コルーチク
武装
75口径75mm滑空砲
7.7mm重機関銃
電磁波ブレード
ウインチランチャー
大きさ
全長5.8m
横幅1.2m
高さ2.5m
特徴
三対六本の脚を持ち、ビートルとは打って違いこの機体は主に偵察を意識しているので機体自体が小さく、装甲は他機に比べると薄い(しかし、ジャガーノートと比べると装甲は数倍分厚い)。なお、機体は軽くバッテリー容量が少ないため。ビートルに搭載をしながら充電をし。必要な時に切り離しを行い、先に偵察などに向かわせる
砲口径はインチ派か。センチ派か
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インチ派
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センチ派