正義とはこのようなもので御座います   作:dolph

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正義とジャスティスは違います

「あなたにとって正義とは何ですか?」

「私にとっての正義、でございますか?」

 

 開口一番、セバスから飛び出た言葉の意図が分からず、怪訝に首を傾げた。

 

 

 

▼ ▼

 

 

 

 ところは魔導国の首都エ・ランテルにあるアインズ様の居城。

 帝都に滞在していた男は、セバス様から「直接会って話したいことがある」との手紙をもらい、シャルティア様に無理を言ってエ・ランテルに連れてきてもらった。

 エ・ランテルでは知られている男である。帝都にいるはずの男がエ・ランテルをうろつくわけにはいかず、魔法のマントにフードを目深に被って正体を隠し、セバス様の執務室を訪れた。

 現在のアインズ様はここより遠き聖王国にて魔皇ヤルダバオトとハードダンスの真っ最中。留守を預かるセバス様は決して暇ではないはず。貴重な時間を費やして己に何の用かと訪ねたら先の言葉である。

 

『あなたにとっての正義』

 

 それは、「あなたにとっての赤は何色?」と同様の質問なのだろうか。

 赤から想起されるのは血であったり情熱であったり、シャルティア様の好みに添うなら薔薇に最も似合う色とでもなるかも知れない。

 

「強いて申し上げるなら、アルベド様のご意志です」

 

 アルベド様はいと高き世界より真なる美の光によって三千世界を満たす崇高な使命を帯びてこの地に降臨なされた美の化身、いや美の具現、美を司る美神と呼ぶべきか。

 

 自分にとっての正義と言うならこれ以上の表現はなかろうと自信をもって答えたのだが、セバスは眉根にほんの少し皺を寄せて苦笑する。

 望む答えではなかったようだ。

 

「アルベド様のご意志、ですか。確かにあなたらしい答えです」

 

 アルベド様への忠誠をわかっていただき何よりである。

 

「私は困っている人を助けることが正義だと思っています」

「それは善行です。正義ではありません」

「困っている人を助けること。それは私の創造主であるたっち・みー様が正義として行われてきたことなのですよ。それをあなたは否定するのですか?」

 

 セバスの顔から苦笑が消え、怒りにも似た真剣な顔付きとなった。

 セバス達ナザリックのシモベにとって、創造主の否定は自己の否定を遙かに凌駕する侮辱となる。創造主を侮辱されてもセバスが行動していないのは、男の立場を考慮したことよりも、セバスのカルマが明確に善に位置していることの方が大きい。

 以降の言葉次第では、セバスであっても目の前の男を誅殺するのに躊躇しないことだろう。

 

「たっち・みー様がなさったことは正義に違いないことでしょう」

「ふざけているのですか?」

 

 以前のこと。

 この男には自分の言葉を否定され、しかし直後にアルベドが発した言葉は、自分が話したことと同じ内容だったのに肯定していた。

 その時は自分とアルベドとの能力差を鑑み、自分の言葉はアルベドの言葉ほど奥深いものではなかったと納得した。

 しかし、今。自分がしたことは正義ではなく、たっち・みー様がなさったことは正義だと言う。していることは同じだと言うにも拘わらず。

 

「恐れながら、私はセバス様のお人柄を少しは存じているつもりでおります。傷つき病に苦しむ女に手を差し伸べたとも聞いております。ですが、寡聞にしてたっち・みー様については非常に優れた戦士であったとしか存じておりません。たっち・みー様が正義を為された時はご自身の類希な力を発揮なさったのでは、と推測しました。如何でしょう?」

「……その通りです」

「セバス様がなさった『困っている人を助ける』ことがどのような事であったか存じているがゆえに、それは善行であると申しました。反対にたっち・みー様がなさった事はご自身のお力を発揮なさったと推測しましたので、それは正義と申し上げた次第です」

「わかりません。あなたは正義をどのように捉えているのですか?」

「と、申されましても。正義は正義なのではないですか?」

 

 例えるなら、全てが記された一億ページの書物がある。知を得るにはページを開き、読まなければならない。

 デミウルゴスとこの男は、互いが良書であり優れた読者であった。

 二人の言葉はいつまでも互いを飽きさせず、時間を忘れて言葉の応酬を続けたものだった。

 

 しかし、読み方を知らなければ、書物が勝手に開いて目当てのページが出てくるのを待つしかない。

 残念なことに、セバスは優れた読者ではなかった。目の前に良書があっても開き方がわからない。更に残念なことに、書物の方は気の利かせ方がわからない。忖度力が足りていないのだ。

 

「……デミウルゴスが言っていたのです」

 

 これだけは言いたくなかったと、セバスの顔が苦み走った。

 セバスとデミウルゴスの仲は、創造主の不仲を反映してお世辞にも良好とは言えない。

 叶うならばデミウルゴスの名前は出したくなかったと、セバスは思っていた。

 

「デミウルゴス様がなんと仰ったのですか?」

「あなたと正義について話していた時間は有意義でした。セバスも一度聞いてみたらどうか、と」

「!!!!」

 

 その時、男の頭にドラゴンライトニングの如く雷光が駆け巡った。

 

 デミウルゴス様と正義について話したことがある。それは事実だ。

 では、デミウルゴス様は何故セバス様にその事をお話になったのか。

 セバス様は何故デミウルゴス様の言葉に従って己へ正義の話を切り出したのか。

 

 それは、認識を同じにしたいからに他ならない。

 同じものを見て同じように考えたい。お二方ともにそう思っているに違いない。

 それすなわち、デミウルゴス様からセバス様へ、セバス様からデミウルゴス様へ向けてのラブコールに違いない!

 

 お二方の不仲は聞き及ぶことしばし。

 されど内心では心を一つにしたいと思っていらっしゃると言うこと。

 これは、一肌脱がなければならない。

 

 

 

▼ ▼ ▼

 

 

 

「かしこまりました。それでは私が把握している『正義』についてお話させていただきます」

 

「よろしくお願いします」

 

「まず、正義の字義について解説します。これはデミウルゴス様との対話では出てきませんでした。デミウルゴス様とお話させていただいたのは私が神聖語、あるいは日本語と呼ぶべきでしょうか。セバス様たちがお使いになっている言語を習得する以前のことでしたので」

 

「デミウルゴスも知らない話、と言うことでしょうか?」

 

「そうとも言えません。ナザリックの最古図書館にある漢字辞典で学んだことですので、デミウルゴス様がご存じであっても不思議ではありません」

 

「そうですね。どうぞ、続けてください」

 

 ペンを持ち、紙に『正』と書き、隣に『義』と書いた。

 一画書くのに一秒も掛ける。そのくらい時間を掛けないと読める字にならないと散々言われてきた。その気になれば1秒で『正義』と書ける。代償に書いた本人以外には読めなくなる。

 

「正義とは『正』の『義』です。

 『義』から参りましょう。『義』とは『よし』です。良いことを指すわけです。良いことなのだから、それ通りにしようと言うことで。転じて『決まり事』『掟』などを意味するようになりました」

 

「正義とは正しい掟と言うことですね?」

 

「違います。『正』の掟です。

 

 『正』とは『一』と『止』を組み合わせて出来た会意文字です。

 『一』は『□』を省略したものです。口ではありません。四角く囲まれたもの。城壁を意味します。

 

 次に『止』。これは「止まる」ではなく「行く」なのです。

 『止』とは、地に残る足跡を象形化した象形文字です。『歩く』や『走る』にも『止』が入っていることをお気づきになりましたか?

 余談になりますが、『武』とは「戈を止める」だとか「戈で止めを刺す」だとか言われているのは完全な間違いです。「戈を持って進む」。それが『武』本来の意味です。

 では城壁に進むとは何を意味するのか。単に入城するわけではありません。軍をもって進むのです。

 『正』とは、「城に向かって進軍する」ということ。

 『正』の『義』とは、侵略者が被侵略者に課す掟。強制的に税を搾取することを指します」

 

「馬鹿な!」

 

「そう仰られるお気持ちはわかります。

 ですが、「勝てば官軍、負ければ賊軍」との格言も正義本来の字義を補強しています。

 それに先に申し上げた内容はナザリックの最古図書館で得た知識です。

 どうしても信じがたいと仰るなら、該当する書物を紹介いたしますのでご自身の目であたってみるのも良いかも知れません」

 

「是非そうさせてもらいます」

 

「それでは後ほど。

 ですが、言葉とは移り変わるもの。

 『正義』も使われ続ける内に意味が変化していったようです。

 これからお話させていただくのが、デミウルゴス様と対話で出てきた『正義』となります」

 

▼ ▼ ▼ ▼

 

「端的に申し上げれば、正義とは不当な行為を許さない事です。不当な行為の代表は理不尽な暴力でしょう」

 

「その通りですね」

 

「定義こそ簡単なものですが、実際はそう単純なものではありません。

 まず、『誰が』不当と認定するのか。『何を』もって不当とするのか」

 

「心に従えば明らかでしょう?」

 

「ではセバス様が何が不当であるかを定めるとしましょう。その際、他者と対立することもありましょう。仮にデミウルゴス様と対立するとします。デミウルゴス様の行為はナザリックを思ってのもの。しかしそれはセバス様の正義と対立してしまいます」

 

「それ、は……」

 

 その通りの事が起こっていた。

 かつてセバスが人間の女であるツアレを救った時、デミウルゴスを含むナザリックのシモベたちは、セバスの命令外の行動を裏切りではないかと疑った。

 

「セバス様の正義とナザリックの正義がぶつかってしまったわけです。

 このように、正義には階層があります。段階、或いは水準とも言いましょうか。

 個人の正義。集団の正義。国家の正義。種の正義。挙げれば限がありません。それぞれの正義は重複することがあれば、対立することもあります。属する集団が異なれば尚更でしょう。

 ここで『誰が』の話に一定の結論が出ました。誰が不当とするかは、その時々と立場によって変わるのです。

 

 次に何をもって不当とするのか。

 これは至極単純です。

 単純すぎるので、先に最初の例に戻らせてください。

 

 理不尽な暴力によって誰かが傷つくとき。被害者には憐れみを、加害者には処罰を望むものです。

 これこそが正義の源泉なのです」

 

 アインズが真に憐れみを抱くのはナザリックのシモベたちが傷ついたときだけだ。それを察していたから、この男はアインズの正義を「小さな正義」と評した。

 言うまでもなく、ここでの大小が優劣に影響するわけではない。それなのに小さな正義と聞いて怒ったソリュシャンは、人の話を聞いてなかったのかと散々説教されたのである。

 

「加害者への処罰感情。これは怒りです。怒りがどのようなものかを分析していきましょう。

 理不尽な暴力をもたらした加害者への処罰感情。ですが、もしも加害者がアインズ様……、は不敬に過ぎますので、アインズ様と同等の力をもった存在。存在Bとしましょう。被害者は無力な町娘。これを見ていたのは町娘の兄。さて、町娘や兄は存在Bに処罰感情を抱くでしょうか?

 もしも二人がアインズ様の庇護下にあるならばアインズ様へ存在Bへの処罰を望むかも知れません。ですが、二人に偉大な庇護者はなし。

 処罰感情や怒りどころではありません。存在Bから逃げることだけが喫緊にして至上の課題となります。

 存在Bではなく、地震や台風などの天災にしてもよいですね。地震や台風に怒っても仕方ありません。さっさと逃げるべきです。

 怒りとは、自分ならば状況を変えられると思うからこそ抱く感情なのです。言い換えれば、自分より弱者と見なすからこそ湧き出てくるのですよ。

 逃走か闘争か。ここで闘争を選ばせるのが怒りです。

 ここまでよろしいでしょうか?」

 

「……つまりあなたは、こう仰るのですか? 

 自分より弱者へ抱くのが怒り。強者に抱くのが恐怖であると」

 

「その通りでございます」

 

「違います!

 私ならば、たとえアインズ様と同等の力を持つ存在であろうと、正義を胸に立ち向かうことが出来ます!」

 

「それは前提が間違っています。

 セバス様が強者を前に怒りを抱けるのは、セバス様が強者だからです。

 つまらない例えになりますが、仮に存在Bがセバス様すら一蹴する強者であったら。セバス様の後ろにアインズ様たちナザリックの方々が控えることなく、セバス様がたった一人であったら。

 セバス様が存在Bに立ち向かったところで無駄死にです。それでも立ち向かうと仰るなら、それもいいでしょう。それでセバス様の後方にある全ての者が死に絶えることになるでしょうが」

 

「…………」

 

 声なき声がセバスに届いた。それを選ぶのは愚か者に他ならない、と。

 

「話を続けてください。怒りが自分より弱者と見なす者へ抱く感情だと言うことはわかりました」

 

「かしこまりました。

 怒りについてお話しましたが、怒りとはあくまでも『気持ち』です。

 日本語辞書をあたれば、『我慢ならない気持ちになること』とあります。繰り返しになりますが、あくまでも気持ちなのです。

 ですが、正義とは『許さないこと』です。

 言葉で許さないと言ったところで何にもなりません。許さないならば必ずや処罰が伴います」

 

「正義とは怒りに任せた処罰。そう言うことですか?」

 

「一点抜けております。それは何をもって不当とするかです。怒りの原因ですね。先ほど至極単純であると申しました。

 不当とは、『不快』に感じること全てです。

 不快だから不快な現状を正そうと怒りを抱くのです。そして処罰するのが正義。

 ここまでの話をまとめましょう。

 

 自身を不快にさせた弱者を怒りに任せて処罰すること。それが正義の一面です。

 

 ですが勘違いなさらないでください。これは正義の一面に過ぎません。正義には、個人の正義、集団の正義、国家の正義、種の正義、等々。様々なレベルがあると申し上げました。必ずしも怒りの発散とは呼べません。

 また、理不尽な暴力にあった被害者への哀れみや加害者への処罰感情は、正義だけではなく法の源泉ともなりました。

 こちらは、怒りを理性を持って制御した結果と呼べるでしょう」

 

「…………、お聞きします。あなたが『正義とはアルベド様のご意志』と言ったのはどのような意味なのですか?」

 

「アルベド様の敵は私の敵。それ以上の意味は持ちません」

 

「たっち・みー様の行いが正義と言われたのは?」

 

「たっち・みー様であればご自身の力を発揮して正義を行ったはずです。力の行使を正義と申し上げた次第です。強いて申し上げるなら、たっち・みー様は敵を打ち倒すことを正義と称したのではないでしょうか」

 

「それでは法の正義とは何なのですか?」

 

 男の目が、おやと見開かれた。

 

「正義とは処罰感情から生まれた。これはよしとしましょう。そして同じところから法が生まれた。これもその通りなのでしょう。ですが、同じところから生まれ二つに分かれたはずの法と正義を一つにするのはどういうことなのですか?」

 

「素晴らしい着眼点です。私が申し上げた法と正義は、方や怒りを理性によって制御したもの、方や怒りに任せて力を行使する。両者が同居するのは、セバス様が仰るとおりに自己矛盾です。ここでの正義とは、先に申し上げた正義とは違うものです。これからお話ししようと考えておりました」

 

「正義には力の行使以外の意味がある。そう言うことですね?」

 

「その通りです。やや遠回りになりますが、違う言葉を解説させて頂きます。

 私がナザリックの最古図書館で見つけた超長編ダークカタナテックジェノサイドノワール小説「グレート・モンド・ダウンヒル」に『人非人』と言う言葉が出てきました」

 

「超長編だーくかたなてっく…………ダウンヒル?」

 

「それは本筋とは関わりませんから忘れてくださって結構です。ですがとても面白い作品ですので、ナザリックにお戻りになりましたら是非手にとってください。私はこの作品からラウンドムーンキリングテックを越える剣術を…………、失礼いたしました。『人非人』についてです」

 

「意味は知っています。外道のことですね」

 

「仰るとおりです。人にして人に非ず。人なのに人ではないわけです。明らかな矛盾に見えますが、これは一番目の『人』と二番目の『人』の意味が違うのです。

 一番目の『人』は生物的な人のこと。二番目の『人』は人間を指します」

 

「人と人間は同じ意味ではないのですか?」

 

「最古図書館では様々な小説を読みましたが、どれも『人』と『人間』を無意識的に使い分けているようです。辞書をあたれば一目瞭然です。

 『人間』は『にんげん』以外に『じんかん』とも読むようです。意味は『人が住むところ、世間』とありました。意味を丸めてしまえば、人間とは同じ世間を共有する人のこと。仲間と言い換えてよろしいでしょう。

 『人非人』とは、人であるが仲間ではない。そのように理解しております。

 法の正義も同様です。言葉は同じでも意味が違うのです。

 ここでの正義は『ジャスティス』を由来とする正義です」

 

「ジャスティス……」

 

「神聖語の中でも日本語とは違う英語と言う言語のようですね。

 『justice』、発音がこれで正しいのか不安ではありますが、このジャスティスを日本語に翻訳した言葉が正義となります。

 ですが、ジャスティスの意味は正義が元々持っていた意味とは違います。ジャスティスとは社会全体の幸福と秩序を維持すること。辞書にはそうありました。

 法の正義とは、ジャスティスとしての正義なのです。どうやら法とジャスティスには密接な関係があるようです。最古図書館にはジャスティスについて論じた書物が多数あるようですので、新しいことがわかり次第お知らせいたします。

 ただし、このジャスティスであっても様々です。何が社会の幸福なのか、土地と時代によって違うのですから当然の事と言えましょう」

 

「正義は……ジャスティスなのですか?」

 

「その時々の文脈によりけりとしか申し上げられません」

 

「たっち・みー様の正義はジャスティスだったのですか?」

 

「たっち・みー様による力の行使が法を根拠としたものであるならばジャスティスと言えましょう」

 

 リアルのたっち・みーは警察官だった。リアルのたっち・みーならジャスティスを行っていたと言える。しかし、ゲームであったユグドラシルではどうなのか。

 たっち・みーに創造されたNPCであるセバスには、そこまではわからない。

 

「正義とは……良いものではないのですか?」

 

「正義を行使する者と同じ陣営にいる者からすればよいことでしょう」

 

 陣営が違う場合。

 仮に侵略者による税の収奪を正義とすれば、侵略される側にとっては悪行であり理不尽な暴力に他ならない。しかしそれでも、税を収奪する側に立てばよいこととなる。

 なお、搾取と収奪は意味が違う。

 搾取は搾取する者と搾取される者との合意によって成立するが、収奪とは暴力を背景にした一方的なものとなる。税を払う事を拒否すれば、暴力によって奪われるか拘束される。あれもこれも所詮は理性ではなく暴力を元にしてなりたっているのだ。

 

「もしやセバス様は、普遍的正義があるとお考えなのですか?」

 

「…………」

 

 正義とはよいことである。セバスは素朴にそう考えていた。

 

「普遍的とは、いつでもどこでも誰にとっても、と言うことです。

 私にとっても正義。セバス様にとっても正義。アインズ様にとっても正義。先の戦争でアインズ様が屠った万を超える死者にとっても正義。私が昨日食べた子牛のステーキにとっても正義。

 断言します。普遍的正義はアインズ様の手ですら余ります」

 

「……子牛は関係ないでしょう」

 

「でしたら、普遍的正義(但し子牛は除く)と注を付けねばなりません」

 

「そんなものはない。そう言いたいのですか?」

 

「逆です。究極のリアリティを想定するなら、普遍的正義はありえます」




いつか二話を投稿するはずです
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