インフィニット・ストラトス〜厄災の担い手〜 作:ユークレース
「……これはどういうことだ」
俺の目の前にはボロボロにされたオルコットと鈴が倒れていた
「どういうことも何も……この通りだ」
「なら質問を変えよう。何故このような事をした?」
「猟牙、落ち着いて……」
分かってるさシャル…落ち着け俺……冷静に…熱を帯ずに…
「ふん、自分の男を罵られた程度で冷静さを欠いて2対1で負けるとは……中国とイギリスも大したことはないな。いや、そいつらが雑魚なだけか。愛だの恋だのと言っているからこうなるのだ」
「……」
〜遡ること1時間前〜
「ふう、ありがとうセシリア。手伝って貰って」
「いえいえ、私も良い訓練になりましたわ」
二人は簡単な模擬戦を行った様で汗を拭っていた
「どうする?そろそろ帰る?」
「そうですわね」
すると、客席に居た生徒が声を上げた
「ねえ、あれってドイツの第三世代じゃない?」
「うそっ⁉︎まだトライアルの段階だって聞いたけど?」
彼女達の視線の先には黒いISを纏ったラウラが居た
「なるほど、それが中国の甲龍にイギリスのブルー・ティアーズか。データで見た方が幾分か強そうだな。まあ、乗り手が乗り手だから仕方ないか」
「セシリア、私にはどうぞ殴ってくださいって聞こえたんだけど」
「あらあら鈴さん、彼女は共通言語をお持ちになってないようなのであの程度の戯言に反応してはいけませんよ」
「頭だけでなく耳も悪くなったか。あんなくだらん種馬をに媚びへつらっているようでは当然か」
「……なんですって?」
「……よく聞こえませんでしたわ」
「くだらん種馬に媚びへつらっているから弱いと言ったのだ」
「ふざけんじゃないわよ‼︎」
「ここに居ない方を侮辱するとは……常識も礼儀もなってないのですね…!」
「あんたは絶対に許さないわよ‼︎覚悟しなさい!」
「ふん、貴様ら有象無象ごとき幾ら束になろうと高が知れている。かかってこい」
そして結果は鈴とセシリアの惨敗
彼女達の身体もISもボロボロにされていた
代表候補生といえども15、6歳の少女
本物の軍人に敵うはず無かったのだ
「つまり鈴が怒ったのは俺や一夏のためか……」
「ふん、そう取ろうが勝手だがな」
「そうか……」
俺は鈴の元へと行き
「ありがとうな、鈴」
そう言って鈴を撫でた
「り、猟牙……」
「私と勝負しろ白峰猟牙!私は力を得て強くなった!お前に負けないくらいな!」
「……そうか、やっぱりまだ『力』を『強さ』だと思ってるんだな」
「何?」
「いいや、何でもないさ。かかっておいで、相手をしてあげるよ勘違いばかりの
※みんなはドイツの人に言わないようにね。本当に怒られるよ
「貴様…‼︎」
「だが、その前に……」
俺はセシリアの頭にも手を置き
「この馬鹿共が‼︎」
ガン!ゴン!
「痛ったぁぁぁぁあ⁉︎」
「怪我人になにするんですの⁉︎」
思いっきり拳骨を食らわせた
「その怪我の原因を作ったのはお前たちの慢心だ。俺や一夏を侮辱されて怒ってくれたのは嬉しい、だがな相手は軍人だ。実力でお前らが敵うはずはない、そうだろう?」
「で、でも!」
「でもじゃない鈴、それでもしお前が死ぬことになっていたらどうする?俺を侮辱されたから死んだ、そんなことを聞かされた俺はどうしたらいい?自分のせいで大切な人が死んだと言われた俺はどうしたらいい?」
「そ、それは……」
「だから二度とこんな無茶はしないでくれ」
俺の意図を汲み取ったかのようにパンドラがプライドを起動する
「仇は俺が討つから」
そしてそのままギルトに変形した
本当に分かってるなパンドラ
「ふん、今回は貴様には負けん」
ガシャン、と肩のレールカノンが俺の方を向く
「消えろ」
「ちっ……!」
レールカノンから発射された弾丸を俺は切り裂いた
「何⁉︎くそっ‼︎」
「くだらんな」
4本のワイヤーブレードを飛ばして俺を捕まえようとする、しかし俺はそれをかわしてワイヤーを斬る
「鋼鉄だぞ⁉︎何故斬れる‼︎」
「お前には関係ない、お前は俺を怒らせた!ソードマスター‼︎」
ギルトを深く構え、一気に近づく
「こうなればAICで……」
「無駄だ……『目を逸らす』…発動」
俺の目が赤くなる
するとボーデウィヒの視線が別の方向にいく
目を逸らす能力
物質の透視能力を持つ(オリジナル)
自分が透視するだけでなく他人の視線から自分を逸らすことも出来る
つまり、自分限定だが目を隠す能力と似たことが出来る
AICは相手に集中していなければならない
つまり、俺に視線を向けなければならないのだ
だから俺はボーデウィヒの視線から自分を逸らし、相手から見えないようにした
「何っ⁉︎ど、何処に行った‼︎」
「何処を見ている、俺は目の前だぞ?」
「何っ⁉︎」
俺はその一瞬でボーデウィヒとの距離を詰める
「オラオラオラァ‼︎」
5連続の斬撃を浴びせ
「まだだ!」
次に高速の突きをぶつける
「ミリオンスタップ!」
肩、鳩尾、脚などの装甲を連続で撃ち抜きダメージを与えて行く
「ぐぅっ!」
「これで終わりだ」
ギルトを構え直す
「ミッドナイトパニッ「そこ!何をしている‼︎クラスと出席番号を言え‼︎」…ちっ」
邪魔が入ったか
ミッドナイトパニッシャーがボーデウィヒに当たる寸前に管制室から通信が入り中断された
「……っハァ…ハァ…」
「良かったなボーデウィヒ、お前負けてたぜ?」
「くっ……‼︎覚えていろ!」
ボーデウィヒは三下発言を残して帰っていった
「り、猟牙……」
「ん?どうした」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、それも俺があんな奴に負けるとでも思ってんのか鈴」
「そうじゃなくて、猟牙の怒ったときの感じ……いつもの猟牙とは違ってたから」
「仕方ないよ、猟牙滅多に怒らないから」
「そう…」
「猟牙が怒るってことはそれだけ鈴が大切だったってことだよ。猟牙が怒る時は大抵大切な仲間が傷つけられたときだから」
「自分に好意を寄せてくれているなら尚更だな」
『マスター』
「何だパンドラ」
『後ろ』
「へ?」
俺が後ろを向くと出席簿があった
ドゴォ‼︎
「っづぁぁぁぁぁあ⁉︎」
いつもよりも痛え⁉︎
「理由はどうであれISの無断使用、私闘による騒ぎ……白峰、貴様は学年別トーナメントの参加を禁止する」
「「はぁ⁉︎」」
「デュノアは織斑と組め、以上だ」
「ちょ、ちょっと待ってください織斑先生!どうして猟牙だけなんですか?あの女の子だって……」
「白峰は先ほどボーデウィヒの命まで奪おうとしていた。あれはやりすぎだ、それ故の処罰だ。それと白峰、お前は後で私の部屋に来い」
そう言って織斑先生はアリーナを出て行った
あー、そっちが本件ってことね……
処罰は口実か
なら、乗ってやろうじゃないの
「…分かりました」
「猟牙⁉︎」
「いいんだよシャル。一夏が足引っ張らなきゃお前は負けないんだから、俺の分まで頑張れよ」
「う、うん……」
「一夏、シャルのこと頼んだぞ。それの、変なことしたら……」
俺は右手の親指を自分の首に当て、横にスライドさせて首を切るジェスチャーをした
「こう、だぜ?」
「分かってるよ、俺も全力で戦う」
「さて、それじゃあ後で織斑先生の部屋に行くかね」
何があるんだか……
〜その日の夜・教官室〜
「来たか」
「相変わらず散らかってますね…
ってか、その格好はなんですか!」
「うん?私は自室ではこうだ。お前も見ていただろう?」
織斑先生はタンクトップのような服に下は下着のままだった
「それで、何のようですか?わざわざ処罰って言って俺を不参加にさせたのは何か理由があるんですよね?」
「目を逸らすな……それより聡いな。何故分かった?」
「当然。やりすぎって言うならボーデウィヒの方がやりすぎです。あれはダメージレベルが良くてC悪けりゃDです。あいつが処罰受けなかったってことはあいつ関係ですか?」
「ほう……では、話すとしよう。先日こういったものが送られてきた」
すると織斑先生は俺に茶色い封筒を渡した
「これは?」
「中を見てみろ」
「……何だこれは」
その封筒には写真が入っていた
その写真には黒い影が写っていた
「ドイツの工場の中だそうだ」
「ドイツ?」
「しかも、VTシステムの研究らしい」
「VTシステム……確か研究、開発を禁止された違法品でしたっけ?」
「ああ、どうやらボーデウィヒの機体に搭載されている可能性がある」
「ふーん……だが、完全に黒でない以上調べる事も出来ない。だから向こうが動くまで待っておくってことですか?」
「ああ、自力で発動するにしても暴走して発動するにしても止められる可能性があるのはお前だけだからな」
「いやいや、先生達もお願いしますよ」
「我々教師は万が一の場合は生徒を逃がすことを最優先に行わなければならい。それ故、恐らく学年で最強のお前に頼んでいるのだ」
「はあ……分かりましたよ。なら俺は当日アリーナの中に居て警備でもやっておきますよ」
俺は立ち上がり部屋を出ようとした
「ちょ、ちょっと待て」
その時俺は気づかなかった
「うおっ⁉︎」
足元に先生の服があることに
織斑先生はその服を引っ張り俺を転かそうとした
不意打ちをくらい俺は体制を崩してしまった
ボフン
「なっ!なななななななななな⁉︎」
そして、織斑先生の胸にダイブしてしまった
ガチャッ
「ふぅ……やっと仕事が終わりました…あれ、織斑先生帰っていたん…です…か……」
山田先生が帰ってきた
今の状況を整理しよう
タンクトップに下着の織斑先生
そして織斑先生の胸に顔をうずめている俺
「お、お邪魔しました……」
「「ま、待って山田先生‼︎」」
山田先生の誤解を解くのに1時間かかりシャルに詮索されたのは言わずもがなである
トーナメントは後1、2話先です