ルディ子スレに投稿していたSS+α   作:ルディ子の髪留め

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迷宮都市にて

迷宮都市ラパン。

 

パウロがゼニス救出のために向かったその都市に、俺達はやってきていた。

とある事情により、予定より大人数での出発となった俺達は様々な困難を乗り越えてようやくたどり着いていた。

 

今回この遠征のために組まれたパーティは俺、エリナリーゼ、フィッツ、アイシャの四人。

アルスとクリスがいる以上本当はこんなに大人数で来るつもりはなかった。

ノルンとクリフ先輩には本当に迷惑をかけてしまっている。

一応、俺やエリナリーゼの知り合いの冒険者に声をかけてきたのでフォローはしてもらえると思うが、全て終わったらお礼をしに行こう。

 

さて、とりあえずここに着いたからにはまずは手紙を送ってきたギースを探さなければならない。

『ゼニス救出困難、救援を求む』

そう書かれた手紙を見て、みんなで話し合った結果このメンバーで向かうことになったのだ。

もちろん。いるであろうパウロでも構わないが。

 

とりあえず、冒険者ギルドについた俺達はギースかパウロについて聞こうとして、見覚えのあるサル顔を見つけた。

何か揉めている様子だが、どうやらギースが劣勢のようだ。

そのままギースが話していた相手はどこかへ行ってしまった。

 

「ギース、あんな顔できたんですね」

「あら、わりとあんなもんてすわよ」

 

きっと大人ぶってたんでしょうね。と言ってエリナリーゼはギースを呼びつけた。

ギースはきょろきょろと周囲を見回して、こちらを見つけるとよろよろと歩いてきた。

 

「お、おお!エリナリーゼ」

「遅れましたわね」

「いや、早すぎるくらいだぜ。いや本当に早すぎる。手紙と入れ違いになっちまったか?」

「そのことはあとで全員で共有いたします。ゼニスはどうなっています?」

 

エリナリーゼが聞くと、ギースは顔を曇らせた。

 

「芳しくねえ。こっちも詳しくは合流してからにしよう」

「そうですね。とりあえずは父さんのところに案内してください」

 

そう言った俺を見たギースは目を丸くした。

そして、何を言っていいか考えているのか口をパクパクとさせて慌てていた。

それを見て、まあ、そうなるよなあと思いながらもギースを急かしてパウロのもとへ向かった。

 

///

 

パウロ達が泊まっているという宿に到着し、その入り口まで来たところでギースは振り返った。

 

「いいか、パウロは相当参ってるからな。エリナリーゼよ、おめぇも言いたいことはあるだろうが、今回はちっとばかし抑えてくれ」

「……まあ、ルディアのこともありますし、善処しますわ」

 

ギースはその言葉に苦笑いをしながらこちらを向いた。

 

「先輩もだ。今の先輩なら前みたいな喧嘩は絶対しないと思うが、あんまり責めないでやってくれ」

「はい。わかっています」

 

一応、覚悟しておこう。

前回の時といいパウロは折れるときはあっさりと折れる。

まあ、だからこそ、このメンバーで無理やりやってきたのだ。

セラピーの準備は万端である。

 

「……ねえ、ルディ。僕どういう顔で会えばいいんだろう」

「別に、そのままでいいと思いますよ?」

 

昔、パウロからはエリオットとフィッツのどっちと付き合うというようなことを言われていたくらいだ。

別に結婚したからと言って何か対応を帰る必要はない。

しいて言うならお義父さんと呼んでやればいい。

アイシャは何も言わないが、リーリャに会えるのが楽しみなのか心なしかソワソワしている。

 

「じゃあ、入るぞ」

 

ギースに導かれて宿に入る。

パウロは一目でわかった。

テーブルの上に突っ伏している男だ。

 

「……えっ!?」

 

パウロの近くから驚く声が聞こえてきた。

こんな土地でもメイド服を着込んでいる。

リーリャだ。

少々疲れたように見える彼女は慌ててこちらに駆け寄ってくると、俺を心配してきた。

 

「あの、ルディア様?大丈夫なのですか?アイシャ、これはいったい……」

「はい。ですが、あんまり時間がないので父さんを叩き起こしてもらえますか?」

「ルディお姉ちゃんなら大丈夫らしいよ?私も話で聞いただけだからよくわからないけど」

 

そんなことを話ながらパウロの方へ近づいていくと、正面に座っていた女性が立ち上がって席を譲ってくれた。

正直助かる。

確か、ヴェラさん?シュラさんだったかな?

経理の人だ。

彼女もまた疲れた顔をしていた。

彼女の開けてくれたパウロの正面に座ってパウロを起こしてもらう。

 

「旦那様!ルディア様がおいでなさいました!」

「ん……?」

 

ゆっくりと顔をあげたパウロはそれひどい顔をしていた。

清潔さはあり、以前のような酒臭さはない。

けれど、目の下のクマ、全体的にやつれた姿。

気配からも疲労感が滲み出ていた。

これを見ただけでも急いで来たかいがあったと言うものだ。

 

「ルディ……?」

「父さん。お久しぶりです」

 

パウロはまだ夢うつつなのかぼんやりとしている。

手は出さないと言っていてあれだが、これでは話が進まない。

手っ取り早く顔面に冷水をぶっかけて叩き起こした。

 

「……わっぷ!?何しやがる!……あ?ルディ!?」

「……目は覚めましたか?父さん」

 

俺の行動に周りはワタワタしていたが関係ない。

こちらとしてはそんなに時間がないのだ。

 

「リーリャ。どれくらい眠ってた」

「ほんの一時間ほどです」

「そうか、悪かったな。ルディ」

 

パウロは大きく伸びをするとこちらの話を聞こうと姿勢をただした。

なら、とりあえず時間の短いことから始めていこう。

 

「父さん。色々話し合いたいんだけど、その前にリーリャさんにお願いが」

「は、はい。なんでしょう?」

 

父さんにとっては寝起きの目覚ましだと思ってもらおう。

 

「出産できる場所用意してもらってもいいですか?」

 

///

 

というわけで、急遽宿屋にて行われる出産。

正直ここまでもつか不安しかなかった。

アルスとクリスのことで判明したのだが、俺の出産周期は他の人よりも明らかに早い。

具体的にはおよそ半分ほどである。

それがわかったのは、初めてで一回しかしていないのに半年ほどで出産したことに起因する。

他のタイミングでヤってない以上はそういう体質なのだろう。

あと、エリナリーゼに確認したら出産直後に普通に冒険者やってるのは異常とのことなのでおそらく出産に特化した呪子なのだろう。

初めての出産以降母乳が止まらないのもおそらくそのせいである。

そんな体質であるため、出産してからここに来るという案もあった。

だが、状況がわからないなら早く行ける分には早い方がいい。

何より、疲労困憊であろうのパウロへの特効薬になると考えたのだ。

そうして行われた妊婦強行。

周りからさんざん止められながらも無事たどり着いた。

 

ここまできたなら出産に関しては何も心配していない。

出産特化型の俺、ベテランのリーリャ、その弟子のアイシャ、万能のエリナリーゼ。

この布陣で億が一にも失敗することはない。

そして、本当に何の問題もなくするすると双子が産まれた。

……また双子か。

まあ、男の子と女の子なのでそれぞれの名前を考えていてよかった。

先に産まれた女の子がルーシー。

後に産まれた男の子がジークハルト。

そう、名前をつけた。

 

「…………まさか、本当に元気なんですね」

 

ルーシーを抱きかかえながら、笑う俺を見てリーリャが驚いていた。

俺はもうすたすたと歩いてみんなに見せてまわっている。

……まあ、普通はそういう反応になるみたいなんだよなあ。

俺としては初めての時からこういう感じだったからおかしいという実感はないのだが。

それにしても可愛い。

自分の子供とはいえ本当に可愛すぎる。

 

「……どうしよう。本当に嬉しい」

 

俺の隣ではジークを抱きかかえながらフィッツが涙を流していた。

ありがとう。ありがとう。と繰り返し言っている。

…………ありがとうはこっちのセリフなんだけど。

 

「…………いつも、そばにいてくれてありがとう」

「……え?ルディなんか言った?」

 

何にも言ってません。

それより、早くパウロに孫を見せなければ。

初孫というわけではないがジジババには孫という存在は可愛くてたまらないもののはずだ。

後片付けはリーリャとアイシャに任せて俺はパウロを探す。

あれ?エリナリーゼさんが手招きしている。

近づいていくと、部屋の端っこをを指差した。

見ると、父さんが蹲っている。

 

「父さん?どうかしましたか?」

「……なんかな、親のいないところでも子供はしっかり育つんだなあって思ったらどんな顔で孫に会えばいいかわからなくてな」

 

……何言ってるんだこの人。

パウロはしっかり親をしているじゃないか。

 

「父さん。親がいないというのはですね。種だけ仕込んで居なくなるようなクソヤロウのことを言うんです。父さんは複数箇所に仕込んだだけでずっと居てくれました。立派な父親ですよ」

 

あんまり、こういうことは言いたくないが。

それでも感謝はたくさん言うべきだ。

この数年、周りに助けられる毎日だったからそう思うようになった。

 

「父さん。今日までありがとうございました。これかも末永よろしくお願いします」

「……え、あ、おう。わかった」

 

パウロは意外そうにこっちを見て、とりあえずそう言ったようだった。

別に、真面目に答えられても俺達らしくない。

そんな感じにさらっと流してくれ。

 

「ねえ、父さん。私の娘です。抱いてもらえませんか?」

「ああ!わかった!」

 

こうしてパウロは私の娘を抱いたのだ。

パウロにとって孫にあたるその赤子を。

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