獣族に捕まって数日たったある日。
ルームメイトが出来た。
それは猿顔の男で見るからに何かやらかしそうな雰囲気を醸し出していた。
いやまあ、捕まっているということは何かやらかしたのだろうけども。
ちなみに、人間裸で過ごしていると裸を見られてもなんとも思わなくなるもので、男が来たというのに俺は涅槃仏のポーズで彼を出迎えた。
「ようこそ、人生の終着点へ」
男は俺を見て、一瞬顔を赤くしたが、直後に青くなった。
そして、毛皮のベストを投げてきた。
ふむ、赤くなるのはともかくとして、なぜ青くなる。
「と、とりあえず、それを着てくれ」
「…………えっと、たぶんだけど、着ない方がいいよ?後悔しない?」
いいから着てくれ!と叫ぶその男に従って俺はそのベストを着る。
彼の渡してきたそれは俺の予想通り俺の体を覆い隠せない。
これは彼が多少細身なことも関係あるかもしれないが、俺のこのワガママボディが問題なのだろう。
……おそらく、子供だから着れると考えたのだろうが胸囲で測定すればそう変わらないのではないのだろうか。
とりあえず、言われた通りに腰にヒモを巻いて着終わったので声をかける。
「言われた通り着たよ」
「ん?ああ、ありがー」
男は俺の姿を見て固まった。
そりゃそうだ。
これは俺の数十年のオタク知識から言語変換するならば、『ワイシャツ借りたけど胸が大きくて閉まらないタイプの彼シャツ』だからだ。
しかも、ノーパン。
人によっては全裸よりエロいとされる伝説の装備。
……あれ?これワンチャンおかされないか?
密室、何故か今見張りはいない、彼シャツのロリ巨乳、猿顔の男。
何も起きないわけはなくー!?
「それ以上近づいたらぶっころしますよ!!」
「さっきまでの余裕はどこにいった!?」
さっきまでは常時全裸だったから無敵モードだったんだよ。
服を着て少し冷静になったからこそ現在のヤバい状況に理解が回った。
とりあえず、自分と男の間に水の壁を作って牽制をする。
すると、男は疲れたように首を横に振るとため息を吐いた。
「……まあ、安心してくれ。絶対に手は出さん」
「…………信じられません」
自分で言うのもなんだが、俺は間違いなく美少女だ。
それもかなり特上のロリ巨乳の美少女だ。
それが、ほぼ全裸の状態で据え膳。
この状態でこの男が手を出さない理由はー。
「――ホ モ な の か」
「違うわ!」
そう否定した男は「お前が昔の知り合いに似ててそんな気分にならないだけだ」と吐き捨てるように言った。