カプ厨の気持ちが分かったかもしれない。
では、本編どうぞ。
「…やっと倒したぜ、暴食…」
「ま、魔理沙さん…!」
マスターブレードを鞘に直すと、振り返って笑顔を浮かべる。
あの日、幻想郷から旅立った時からずっと追ってきた宿敵をついに討ち倒したのだ。真の意味で解放された結菜の顔はとても晴れやかだった。
「…あーあ、気分じゃなくなったわ。」
「ルーミア…」
「詳しくは分からないけど、ずっとずっと、アイツとの因縁があったってのは分かる。だから…そんな気分になれない。お互いにね。」
フッ、とルーミアは小さく笑う。
「それに気に入らない奴がいるしね。」
「気に入らない奴?」
「アイツよアイツ!なんて言うんだっけ………そう、ガノンドロフって言ったかしら?」
「そうだ、ガノンドロフ!」
その時、結菜が少しふらつく。
「っとと、ちょっとばかり力使いすぎちまったかな…」
「安静にしておいてくださいよ…とりあえず私が向かいます。」
「別にいいんじゃない?行かなくても。」
「「えっ?」」
早苗と2人揃って疑問の声を上げる。
「あの剣士の子、そうとう強いわよ。」
「あの剣士って…理玖の事か?」
「そうよ。あの子が持ってる剣、ずっとピリピリしてて過ごしにくいわよ。あれはアーティファクトとかそういう類ね。貴方が持ってた…マスターブレード?それと同じような物よ。」
「理玖の剣…もしかしてマスターソードか?」
マスターソード。『ゼルダの伝説』で最も有名な剣であり、『退魔の剣』の異名を持つ聖剣。確かに闇の力を使うルーミアとは相性が悪いんだろう。
しかし、今回の特異点ではマスターソードは一切使っていなかった。それどころか見せてすらいない。
「それもあるかもしれないけど、それだけじゃないのよね。なんというか…それに、もう1人の白髪の子からも気配がするというか…」
「…何だって?楓からも…?それについては心当たり無いな。」
「そりゃそうよ。あの子自身も知らないんだし。」
「どういうこと?」
「あの子の力、借り物か何かよね?だってあまりにも力に振るい慣れていない。むしろ力が彼女を振るってるのかも。」
「…転生特典の事か。」
「きっと、何かきっかけがあって力と向き合うことができれば、彼女はもっと強くなるわ。きっと、ね。」
一方、その頃。バレルタワー…跡地。
新宿のアーチャー、ジェームズ・モリアーティを見事倒した藤丸立香。
しかし、その戦闘は未だ終わっていなかった。
「フハハハハ!脆い!こんなものか、カルデアァ!」
「くっ…!」
ガノンドロフ。魔王の名を冠する者ではあるが、ただのサーヴァントだったはず。なのになぜ、これほどまでに強力かつ、強大なのか。
彼には二つの秘宝がある。
一つは、トライフォース。力のトライフォースを宿している。
もう一つは、秘石。持つ者の能力を増大させる秘宝。
その二つによってガノンドロフは強化されているのだ。
「何が目的なの…?」
「何が目的?貴様らの方がよく知っているだろう?盗賊としての俺、獣としての俺、魔王としての俺…しかし、そのどれも目的は一つ。」
『世界征服…だね。』
「そうだ、魔術師よ。俺の目的はただ一つだ。」
ニヤリと笑い、告げた。
「世界を手中に。ただそれだけだ。」
「残念だな、それは叶わねぇぜ。」
剣を担ぎながら歩いてくる人影。
勇凪理玖だ。
「…ほう、偽勇者の小僧か。」
「いやぁ、参ったぜ。まさかお前が裏切るとはな。」
「ククク…その割には驚いていないようだが?」
「びっくりしてるさ、本当だぜ?」
まるで気安い友人間のやりとり。しかし、両者ともいつでも武器を抜けるように構えている。
「さぁ、お前の力を見せてみろ。」
「威勢いいな。その威勢がいつまで続くか…言っとくが、今回の俺は本気だぜ。」
お互いに獰猛な笑みを見せる。
初めはどちらだっただろうか。
気づけば瘴気を纏った剣と聖なる力が宿った剣がぶつかり合っていた。
「フハハハハ!それでこそ勇者よ!」
「マスターソードがめちゃくちゃ光ってやがる…」
「ほう、難儀なものよ。この俺を相手にしないと真の力を発揮できないとはな。」
「真の力を発揮するまでもないからな!」
会話中も剣を振り続けている。バックステップで距離を取り、弓を引き絞るが、放たれた矢はガノンドロフの薙ぎ払いで吹き飛ばされる。ガノンドロフはお返しと言わんばかりに瘴気を纏った矢を数本放つ。しかし理玖も負けじとマスターソードで瘴気の矢を斬り飛ばす。
「す、すごい…」
「なかなかやるようだな、偽勇者。だが、この俺には及ばない。」
「…それはどうかな!サンドロッド!」
足元に砂の塔を作成する。その勢いで大きく跳躍する。
「ファイアロッド、アイスロッド、サンダーロッド!」
炎、氷、雷。3属性の魔法が流星のように降り注ぎ、ガノンドロフに襲いかかる。
「ぬぅ…せぇい!」
瘴気を展開し、魔法を全て打ち消す。
しかし。
「背中がガラ空きだぜ!」
「見えておるわ!」
確実に斬撃が当たる。そう思ったが、ガノンドロフは素早い身のこなしで華麗に避ける。
「嘘だろ!」
「先ほどの言葉、そっくり返そう!正面がガラ空きだぞ?」
「チィッ!」
無理な体勢で攻撃を受ける。盾でダメージを減少させたとはいえ、その威力は並のサーヴァントならば消滅する勢いである。
「理玖さん!」
「…あん?あぁ、俺の名前を思い出したのか…あっちは無事やれたみたいだが…」
ガノンドロフは余裕そうな表情で手招きまでしている。
「舐めやがって…」
「…来ないのか?なら…こちらから行くぞ!」
剣を握り直す。
精神を研ぎ澄ます。
ガノンドロフが大剣を振りかぶった瞬間。
「止まれ!」
ガノンドロフの動きが…時間が止まる。
ビタロック。シーカーストーンの技である。
時間にして、数秒。その数秒があまりにも長い。
目にも止まらぬラッシュを叩き込む。
「…そんなものか。小手調べにもならん。」
「うっそー…マジ…?」
ビタロックが解除され、蓄積されたダメージがあるはずだが、まるで効いていない。あまりにも強い。思わず冷や汗が出る。
「…これで終わりだ。」
「いや、まだだ。」
「ほう?だが、貴様に出来るものは何一つない。次なる策を考えるか?ならそれごと潰してやろう。」
「…………あ。」
今思いついた、そんなような声を出す。
「そういやそうじゃんよ。なんで気づかなかったんだ俺…」
「何か策が思いついたのか?だが無意味だ。」
「それはどうかな?」
「はーはっはっはっは!面白い!ならば、やってみろ!」
「いいぜ、後悔するなよ。」
その言葉の後、黄金のオーラが巻き起こる。
「トライフォースラッシュ…だったかな?」
一閃。既にガノンドロフを切り裂き、背後を取る。
「何ッ…!なかなかやるではないか。ならば、こちらも本気を出そう…!」
赤黒いオーラに一瞬包まれたかと思えば、ガノンドロフの姿が変わる。今までは砂漠の部族らしい衣装だったが、今では魔王そのものと言ってもいいくらい禍々しい衣を纏っていた。髪はより紅く、肉体と服が同化しており常に淡く光っている。
「幕引きの時間だ。」
「…あまり強がっていてもダサいだけだぜ。」
「ふん…どうだかな…」
ガノンドロフは大剣を、理玖はマスターソードと近衛の剣の二刀流で戦う。
「ほう…盾を捨てたか。」
「お前相手じゃ、使っても意味無いからな。パワーで押し切られる。」
「違いない!」
ダメージは可能な限り避けるように。どうしても避けられない時は、局所的にトライフォースの力を高める。
「貴様…」
「え、どうした?」
「…ククク。決定打に欠けると思っていたら、そういうことか。貴様、トライフォースとやらを自身のパワーアップに使っておるな?」
その通りである。
「よく気付いたな…」
「あぁ。…参考になるな。」
その瞬間、さらにガノンドロフのパワーが上がっていく。
「嘘だろ…!」
「これまで大雑把に使っていたがなるほど、確かにこれでは視点が変わる。」
「慢心してくれててもいいんだぜ…?」
「するわけがないだろう。特に貴様はな。全身全霊を込めて潰してやるわ。」
「チッ…」
バックステップで距離を取る。
「トライフォース使ったんだから勝ち確演出来てただろ!」
「知るか。そもそもそうやって油断していたからこうなっているのではないか。」
「お前が言うか!」
「…ククク……そぉら、次だ次!」
どうやっても勝てない。脳裏に浮かぶ。
「クソ…!」
「どうした!諦めるのか?ならば、さっさとくたばるがいい!」
「…やってやるぜ!」
ガノンドロフが近づいた時。巨大な雷が理玖を起点にして発生する。
「『ウルボザの怒り』だ…!」
「ぬぅ…小賢しい!」
「その小賢しさで今までやって来たんだ!次だ!『リーバルの猛り』!」
突風が発生する。そのまま風に導かれるように空へと躍り出る。
「藤丸!何でもいい!俺に強化かけてくれ!」
「えっ!?わ、わかった!『瞬間強化』!」
「サンキュー!」
近衛の剣をガノンドロフに投げる。
「スクラビルド、白銀ライネルの刃角…!」
ティアキンの素材の中でトップクラスに攻撃力が高いライネル、特に白銀のライネルの物をマスターソードにスクラビルドで融合させる。
「マスターソード、覚醒…!」
特に効果はないが、口にする。
自由落下しながらマスターソードを握り直す。
狙うは、霊核のみ。
「決める!」
「…無意味だ!」
「誰が、馬鹿正直に突っ込むと言った?」
カチリ。無数の鎖がガノンドロフの動きを止める。…鎖というのは正しくないだろう。
ビタロック。対象の動きを止めるシーカーストーンの機能だ。
ガノンドロフの体にマスターソードが突き立てられる。
「おのれ…ッ!」
「…終わりだ、ガノンドロフ!」
「終わりだと?………違うな、終焉だ。」
「何?」
「この秘石を使えば、」
「知ってるよ。対策してるに決まってるだろ?」
途端に粉々に砕け散る。
「貴様…!」
「じゃあな。」
霊核を破壊する。
「ク、ククク…」
「…んだよ、急に笑い出して。」
「いや、なに…ここまで来ると、むしろ笑いが込み上げるのだ。」
「は、はぁ?」
「ここで、俺が死ぬまでが計画通りということだ。」
そう言い残して、ガノンドロフは消滅していった。
「………お、終わった…?」
『みたい…だね。理玖くん…だよね。さっきは忘れちゃってたけど。』
「おう。暴食は無事倒せたみたいだな…それより、退去するまでが計画通りとは…」
『彼は大魔王ガノンドロフ。警戒するに越したことはないだろう。』
「だよな。…そういや、聖杯は?」
「あっ。」
周りを見渡すと、無造作に転がっていた。
「聖杯ゲットー…本物だよね、これ?」
『本物だとも。こちらでも解析が済んでいる。特異点の核が消えた以上、それで帰還できる…んだけど。理玖くん、立香ちゃんがこちらに帰るまで警戒を頼めるかな。』
「了解、それくらいなら構わないぜ。」
そして、無事に藤丸立香は戻ることになった。
『………何もないね。』
「何だったんだ?まぁいい、それじゃ俺たちも帰ろうか。」
『…あれ、繋がらない。』
「……え、なんて?」
『いや、異空間ロードを繋げて…と思ったけど、そちらに開くことができない。』
「なんだよ…じゃあ、創真でもいいや。こちらに、」
『………理玖!その場から離れろ!』
その声が響くと同時に、地面が闇に覆われる。
「…なっ!」
言葉を発する前に底なし沼に溺れるように闇に消えていった。
同時期。
「これは…」
「なんですかね、アレ。」
「……うわぁ。」
「何が分かったんです?」
ルーミアかうげえ、とドン引きしながら言う。
彼女らは飛行能力を持っている。なので闇の沼に沈まずに済んだのだ。
「あれを作ったの、悪趣味な奴ね。」
「どういうことだ?」
「行ってみれば分かるわ。…いえ、きっと行かなきゃならない。特に、貴女たち…転生者はね。」
「おい、何があるか教えてくれよ。」
「んー、言えるとすれば………」
随分と悩んだ後、呟いた。
「無かったことになった時間軸。有り得たかもしれない世界。…捻じ曲げられた試練の場所、かしらね。」
「行こう。」
白髪の少女はゆっくりと沈んでいく。
導かれるように。
その黄金の瞳が輝きながら不穏な光を放っていた。
Next, to be continued...
「闇の世界?なんだそれ。」
「過去の特異点に類似している?」
「こちらからの接触がなぜか受け付けない。しかし、君たち転生者だけは向こうに行ける。」
「第二、第四、第五、第六特異点に似てる…というかそのまま?」
「ふむ。完全に正規の英霊しかいないな。」
「……反応が無い。彼女はどこに?」
「セイバー、巡狩。」
「アサシン、巡狩。」
「キャスター、知恵。」
「ルーラー、知恵。」
「アヴェンジャー、知恵。」
「フォーリナー、虚無。」
「プリテンダー、記憶。」
「バーサーカー、壊滅。」
「では、演算を開始しましょう。」
「ルールは破るためにある…なんちゃって。」
※この小説は見切り発車でご提供しています。
頭の中では構想ありますけどね。まぁ何ヶ月もあれば忘れるかもしれませんが、それまでにはメモってます。