では、本編どうぞ。
他のメンバーが続々と集まっている中。
勇凪理玖は単騎で戦っていた。
「瘴気解放…限定再現・瘴気の手!」
地面が災厄に染まる。いくつか瘴気で出来た手の化け物が現れる。それらは終末獣はいとも簡単に引き千切る。
「触ったな!そおら、弱体化だ!」
瘴気の残滓が終末獣の動きを鈍くさせる。
「というか、なかなか倒れないな!流石に辛くなってきたし…まだまだ体力はあるが、決め手が無い。瘴気解放は微妙か…」
戦術としては使い辛い。そう判断を下し、瘴気を断ち切る。
「なら、次はこれだ。」
ティアキンのものからブレワイに。
厄災ガノンの怨念。その力を使う。
元々、ガノン側の力はむしろ使えなかった。
だが、第七特異点でケイオスタイド…黒泥に侵食された際に黒泥を瘴気として判定し、ラウルの右腕を携えて復活した理玖。トライフォースも使用し完全に消え去ったと思ったが実情は違う。理玖の体に黒泥は残っていたのだ。もちろん、黒泥そのものではない。
黒泥から変化し、厄災として。
黒化ではなく、反転として。
勇者を反転し、魔王として。
その力を使えるようになったのだ。
「来い、怨念のゴーレム!」
ブループリントで作成した簡易的なゴーレム達。それらに怨念を宿らせ、意思のない兵隊に。
「かかれ!」
剣、槍、さらには大砲まで。様々な武器を持つゴーレム達が終末獣に特攻する。
「戻して…聖剣覚醒!」
厄災モードを終了し、勇者の力、マスターソードを持つ。
緊急時に備え、常時覚醒出来るようになったマスターソード。
それにウルトラハンドでさらに強化する。
「食らえ!スカイウォード!」
マスターソードを空に翳す。
エネルギーを溜め、そして一気に振り下ろす!
光の斬撃が終末獣(と周りにいたゴーレム)を切り裂く。
トライフォースで強化された斬撃は終末獣を倒し切った。
「はぁ…はぁ…やっと、か。」
大の字で倒れ込む。
「はぁー…!疲れた。後は野となれ山となれ。とりあえず俺が出来ることは無さそうだな…」
この数分後、楓達に会い、また戦闘要員として使われることを知らない。
「……ん?」
「どうかした?」
「いや、気のせいかもしれないけど、過去特異点群に何か発生した気がして…」
今後について話している最中、突如結菜がそう呟いた。
「第六感のようなものかしら。私もそういう経験があるんだし。」
「なるほど。とりあえず、みんなと合流しようか。」
そう話しながら次元の裂け目からポップスターへと戻る。
流星が瞬いた。
「あー!見つけたー!」
「うわ、ボロボロ。何したの?」
「あー…戻って来たか。楓もいるのか。いや何、つい後先考えずにバトってな。」
「そこまでの敵だったの?」
「あぁ。それはともかく、マルクはどうだった?」
「やっつけたよ。」
「やっつけた!?」
「まぁ、目ぼしい情報は持ってなかったからね。骨折り損だよ。」
「そうか…」
「あ、回復薬渡しておくね。」
「おう、助かる。」
モンハン製の回復薬を飲み干すと、さっきまでの傷が嘘だったかのように起き上がる。
「よし、復活!」
元気よく叫ぶ。
「…で、今の状況は?」
「行き詰まってる。聖杯を持ってる元凶は全く分からない。」
「そうか…。」
「そういえば、花火は?」
「…えっ?」
「花火?」
「確かに、気づいたらいないな…」
「ごめん花火って和服の花火?」
「知ってるのか楓?」
「知ってるも何も、私の転生特典元のキャラクターだし。にしても、花火か…」
「歯切れ悪いな。どうした?」
「いや、花火って愉悦陣営の仮面の愚者っていう、簡単にいうと愉快犯みたいな奴なんだけど、」
「ネタバレは厳禁だよ!狩人ちゃん!」
「…話をすれば。」
「狩人ちゃん…?」
「それはいいから。ちょうど良いところに来たな。今、聞きたいことが…」
「それって、これのこと?」
黄金の盃、願望器。聖杯を取り出す。
「聖杯…!」
「欲しかったらこっちに来てみなよ〜!あなた達が、最初に降り立った場所に!」
「え?」
「…狩人ちゃんは例外だよ。」
「あ、そう…」
「じゃ、彼女が待ってるからね〜!聖杯も…持ち逃げしようと思ったけど、彼女に渡しておくよ。頑張ってね〜!」
そう言うと、花火は仮面だけを残し消えた。
「最初の場所…特異点群の事か?」
「特異点群?」
「後で説明してやるから…」
「とりあえず、向かうか。けど、あの3人はどうするか…」
「…あ、あそこ!」
指差した方向には、3人が空を飛んでやって来ていた。
「到着、と。やっと合流できたな…」
「あ、楓。久しぶり…でもないか。一年位会ってないような気分だけど。」
「一年…?」
「こちらはポップスターアタックの元凶を倒したよ。そっちは?」
「色々あってな…」
花火の事を話す。
「なるほど…その話に間違いはなさそうだ。結菜が第六感のようなもので特異点群に何かある、と感じたみたいでな。」
「なら、さっさと向かおうか。戦いっぱなしだったからそろそろ休みたいし。」
そう言って、皆揃って移動する。
「オーロラカーテンって地味に最強能力かもね。」
「それはそう。…早速見慣れない建造物があるな。山?」
「ものすっごい階段。登るの大変そうだな…」
まず早速目にしたのは、今まで見た事ない景色。見慣れない山に上には何らかの日本式の建造物。
「………!」
わなわなと震え、一目散に駆け出したのは結菜だ。流れるように箒に乗って頂上へと向かっていく。
「は!?ちょっ、待って!?」
「もう!私も先に行くわ!」
「星奈まで!」
移動系の能力を持つ星奈、楓、創真は結菜の後を追いかけていく。
「…とりあえず、この階段登らないといけないのか。」
「大変そうだな…」
「いや、移動能力は遅いが大きいリフトみたいなものは作れるぞ。」
そう言って、板、プロペラ、浮遊石、操縦桿で即席の飛行機を作り出す。
「よし、乗れ!」
「…お前も大概チートかもな。」
「着いた!」
私は境内に降り立った。とても、見慣れた景色。毎日のように訪れていた場所。
賽銭箱の前に、彼女は立っていた。
「…よう。」
声をかける。
「…あら、遅かったわね。そんなに異変解決に手間取ったの?」
「……そうだな。今回は大変だったぜ。誰かさんがやられちまったからな。」
「それはごめんなさい。私も存在を奪われるとは思わなかったし?でも、貴女がやってくれたのでしょう?」
「あぁ。と言っても、私1人ではやれなかったけどな。周りの奴らが優秀でな。」
「へぇ。…さてと。」
そこに、星奈、楓、創真が追いつく。誰がいるか分かったのか驚きの声を上げる。
「久しぶりね、魔理沙。少し雰囲気変わった?」
「久しぶりだぜ、霊夢。今は、高野結菜って名乗ってるんだ。」
「そう。良い名前ね。」
「ありがとう。」
「結菜、まさか彼女は…!」
「あぁ。私がよく知ってる霊夢だ。お前達に分かりやすく言うと、かつて『暴食』に存在を奪われた博麗霊夢だよ。」
「『暴食』…!?」
第一特異点オルレアン、第四特異点ロンドン、亜種特異点新宿において現れた転生者。ただし、ロンドンでは表沙汰になる事なく秘密裏に処理されていたが。
「しかし、どうしてお前が…」
「それはね、」
「私の仕業だよ〜!」
「花火…」
神社の屋根に座る和服の少女、花火。複数の仮面をひらひらと浮かばせている。手に持つのは、聖杯。
「どうせなら、知り合い同士でバトらせようって思ってね!」
「…とまぁ、簡単に言えばそんな感じ。紫に送られてね。」
「…なるほどな。」
「そういうわけで、準備はいい?」
「あぁ、もちろんだぜ。」
後ろにいた3人が臨戦体制に入る。
「「スペルカード発動。」」
「霊符」「恋符」
「夢想封印!」「マスタースパーク!」
強大な光弾と極太レーザーが相対する。
着弾地点で大きな爆発が起こる。
すかさず、追撃の弾幕を撃つ。しかしそれは向こうも同じ考えのようで、煙が立ち込める中、弾幕が打ち消し合うのが感覚的に分かった。
「行くぜ、アストラ。手加減は無しだ。」
小竜アストラを左手に巻いて、右手にマスターブレードを持つ。
「いつもの八卦炉じゃなくなってるわね、ソレ。」
「新しい私の相棒だ。」
「へぇ。あの時よりはマシな顔になってるじゃない。」
「…そりゃあな。」
最後に会った時。それは『暴食』にやられて今際の際だった時。
「じゃあ、次行くぜ!」
「そうね。次、行きましょうか。」
弾幕を張り続ける。後続の仲間なんて気にしてられるか。そんな事に気を取られては霊夢に勝てない事は、私がよーく知っている。
一方、後ろで見ていた楓たち。
「ちょっ、いきなりすぎだろ!?」
「これだけ継続して弾幕があるとなると、手を出すのも却って逆効果かも。どうする?」
「どうするも何も…あっちをとっちめるしかないじゃない?」
聖杯を持つのは花火。極論、花火の持つ聖杯さえ奪取出来ればこの特異点は終わるのだ。
「結菜には悪いけど、さっさと聖杯を…!」
「だね。行くよ、『サフェル』!」
コインを空高く投げ、音も光も置いていく。
「取った…!」
花火の持つ聖杯に手を伸ばす。
瞬間。
全方位を囲むように配置された無数のナイフが現れる。
「うわぁっ!?」
楓は思わず止まる。咄嗟に特典を切り替え、ランスの盾と大タル爆弾を召喚し起爆。爆発の勢いのまま被害は最小限に後退する。
「今の戦い方、もしや…!」
「サーヴァント・アサシン。名を、十六夜咲夜。懐かしき者に会う為に参上したわ。」
「…やっぱり。時止めの力を持つのは、限られてるもんね。」
「別の私に会ったのかしら。…それはそれとして、私だけではありません。」
「えっ?」
「サーヴァント・セイバー。魂魄妖夢と申します。…ただ、別の世界の、とは付きますが。」
黒い髪の庭師が。
「まぁ、呼ばれたからには仕事はします。色々大変な時期なんですが…」
「分霊のようなものだから大丈夫だよ〜!」
「…まぁ、何とかなると思いましょう。」
「黒い妖夢…?」
「分かった(分かってない)。とりあえず、黒い妖夢は星奈と楓で、」
「まだまだいるよ?」
「は?」
影が降り立つ。
「サーヴァント・バーサーカー。…本当にクラス合ってるか?」
箒に乗った金髪の魔女。服は白黒ではなく、白と赤。
「あえて名乗らせてもらうぜ。紅夢の魔女、霧雨魔理沙だ。」
「霧雨魔理沙…!?」
「なんだ、別に驚くことでもないだろうに。別の世界から来訪するなんて、よくある事だ。お前達も似たようなものだろ?」
「それは…そうか。」
「輪廻を外れて転生したんだろ?だったら、その元の世界から渡ってこの世界に来たって事だ。なら、異界渡りのようなものだよ。」
「ふーむ。…本当にバーサーカーか?」
「それは私が1番思ってる。ま、話をするのは悪くないんだが、そろそろ時間稼ぎも出来たろ。」
「時間稼ぎ?」
「…やっと、着いた!」
「飛行船出してくれるのは嬉しいけど遅くない?既に…どういう状況?」
「やっと来たな。」
「まさか、そのために…」
赤い魔理沙は八卦炉を持ち直す。
「あの2人はあの2人でやらせてあげたいんだ。私はそういうのよく分かるから。もちろんお前達の気持ちもよく分かるぜ。でもな…そこに入るのは不粋だろ?」
「だから、私達が召喚されました。」
「…正直、あの2人は幻想郷の中でもかなり実力が上。あの中に向かうと逆に怪我しちゃうのよ。だから、私は別の理由だけれど、貴方たちを止めさせてもらうわ。」
「そうかよ。なら、押し通るしかないな!」
星奈、楓は赤い魔理沙。
理玖、出流は黒い妖夢。
絵留、創真、琴葉は咲夜。
それぞれ分担して戦闘を開始した。
「早速だけど、本気出すよ!」
「合わせなさい、楓!」
星奈、楓ペア。
跳弾する銃撃とファイアやアイスなどの属性攻撃を放つ。
「へぇ。いいパワーじゃないか。並大抵の奴ならこれで負けてるな。」
「だが、私には及ばない。『赤偏 アルタースパーク』!」
赤いレーザーが2人の攻撃ごと飲み込みながら放たれる。
「『ミラー』…!いや無理!反射しきれない!」
「危なかった〜…今のまともに食らってたら…!」
「なら、そのまま倒し切るぜ。」
「『初恋符 ファーストサンライズ・マスタースパーク』!」
赤いレーザービームが辺りを焦がす。
「『ビッグバン』!キャプチャー!」
両手を突き出して、迫り来る極太光線を吸収していく。
「おおっと、それはマズそうだな。早めに対処するに限るぜ。『巨星 アンタレス』!」
隕石が堕ちて来る。
「は…はあああぁぁぁぁぁ!?!?!?そんなのありぃ!?」
「ありだぜ!そっちも本気出したらどうだ?これくらいなんて事ないだろ?」
「その本気を出す隙を与えてくれないくせに!『景元』!」
超巨大なユニット『神君』を呼び出し、隕石を叩き切る。
「や、やばい…もう吸収し切れない…!」
「なら、このまま倒れろ!」
「ならば、それを真似る!『花火』!」
姿を黒髪ツインテールの和服少女に近くなる。そして、エネルギーで出来た八卦炉を突き出す。
「『恋符 マスタースパーク』!」
「何?そんな事も出来るのか。だが、甘いな。本家本元を見せてやるぜ!『恋符 マスタースパーク』!」
同じ光、同じレーザーがぶつかり合う。しかし、その太さは段違いである。
「うおおおお!ま、負ける…!」
「押し切るぜ!うおおおお!!
「キャプチャー放出!」
星奈は吸収した分のエネルギーをさらに赤い魔理沙へ放出。
「…あーもう!能力切り替え、『フルバレットファイア』!」
複数のガンランスを召喚し、高火力の砲撃をぶっ放す。
「おっと!危ない!」
スペルカードを取り止め、空中へと後退する。
「…なるほど、二つの力があるのか。…だが、力の底は見えたな。」
「赤い魔理沙…強すぎる…!」
「…あちらは派手にやっているようですね。」
「余波が来ないかヒヤヒヤするぜ。」
「同感。」
理玖、出流ペア。
「…来ないのですか?」
「めちゃくちゃ警戒してるくせによく言うぜ。」
会話の裏で、隠れて起動していたレーザー付きの自走ゾナウギアを召喚。
黒い妖夢に向かってレーザーが光線が放たれるが。
「…見えていますよ。」
と、対してその方向を見ずに光線ごとゾナウギアを真っ二つにする。
「…マジかよ。」
「私に対して、そのような小細工は効きませんよ。」
「みたいだな…」
「私は、彼女のようなお遊びはありません。最初から最大火力で行きます。」
「風を斬り、宙を舞う鋒からは逃れられない。ゆくぞ、楼観剣。」
「瞬光の如きその一閃、雷をも斬り伏せる。ゆくぞ、白楼剣。」
二つの刀、それぞれで違うスペルカードを発動する。
「同時発動!?」
「マジかよ…!」
「『始怪 草早楼観剣』」
「『始怪 雷切白楼剣』」
炎を竜巻を起こし、雷の如き速さで近づき刀を振るってくる。
その突撃をハイリアの盾でガードする。
「近接はこちらの間合いでもある!これでイーブンだな!」
「分かっています。ですが、その程度で討ち取れるとは思わない事です!」
「…ただのメイドに3人がかりとは…」
「十分に警戒してる証拠だよ。」
「正直、他のサーヴァント達は言ってしまえば詰む点はない。でも、十六夜咲夜。君は違う。他とは違う、時間停止の技。これは、単純明快で非常に強力なんだ。」
絵留、創真、琴葉ペア。
「おやおや…」
そう言って咲夜は肩をすくめる。
「そんなに警戒しなくても、他の方々とは違い、ただの人間ですのよ?」
「ただの人間が吸血鬼に仕えられるはずがない。」
「…まぁ。」
「なので…道を開けてくれないのなら。力づくで通るしかないんだよ!」
『グランドジオウ!』
「変身!」
「空白の栞、セット。ヒーロー召喚準備完了。」
「セイバー、キャスター。準備はいい?」
「…はぁ。では参りましょう。『幻符 殺人ドール』」
無数のナイフが現れ、飛んでくる。
「いきなりか!」
「任せて!『ドロシー!』」
ヒーローの召喚ではなく、力のみの使用。銀色の靴の力。
銀の靴は3度かかとを打ち鳴らす事で世界中のどこにでもあっという間に移動できる。
銀の靴を使った短距離の空間転移。それによってナイフを避ける。
「あら。空間転移ですか。珍しい能力を…いや、その『銀色の靴』ですか。」
「…さて、それはどうかな。」
「しかし、その程度では次から避けられるか心配になってしまいますわ。」
「言ってくれるね…!」
「絵留、煽りに乗るな。」
「とにかく、協力しないと倒せなさそうだね。」
「ふふふ…」
咲夜はナイフを3本ずつ、両手に持つ。
「弾幕ごっこ、とは違いますが。楽しませてもらいましょう。」
発動中の能力が、途切れない程度に。
「懐かしいな。私とお前で、最後にやり合ったのっていつだったか?」
「さぁ。どうだっていいじゃない。前より気軽に、とはいかないけどこれからいつでも出来るのだし。」
「…そうだな。」
周囲で巻き起こる轟音や衝撃。なぜか不思議と気にならない。
「さて、宣言するぜ。今から使うスペルカードは、5枚だ。」
「加えて、無敵になるような能力、もしくは詰みになるような能力は使わないわ。完全に、技量で勝負よ。魔理沙。」
「今は結菜だ。…そういえば。」
「何よ?」
「お前との勝負、確か私が一勝勝ち越してたよな?」
「冗談はほどほどにしなさい?私が勝ち越してるのよ。」
「…ははは。」
「…ふふふ。」
「「じゃあ。」」
「行くぜ。」「行くわよ。」
「「スペルカード、発動!」」
「『霊魔符 シールドレヴァリエ』!」
「『夢恋符 砲魔陣』!」
『夢想封印』を模した星型の直線型弾幕。
『マスタースパーク』を模したレーザー型の魔法陣型弾幕。
それぞれが衝突し合い、炸裂する。
「…そのスペルカード。」
「…やっぱり、考える事は同じね。戦術も、真似る所も。」
「…ハハッ!最高だぜ、霊夢!」
ブラフとして置いた弾幕、本命の弾幕。逃げ道を塞ぐように雑多に並べる弾幕。
その全てが懐かしくて、それでいて新鮮。
「なぁ。霊夢。」
「なぁに?魔理沙。」
「今は…いや、いいか。」
昔の霧雨魔理沙。今の高野結菜。どちらも私で、それに違いはない。幻想郷の白黒の魔女か、転生者としての魔法使いか、どちらに重点を置くかの違いで。
「そうだ…私がこの旅で成長したのは、弾幕の腕だけじゃないんだぜ?」
地面に降り立ち、構えを取る。
「来いよ、霊夢。私と一緒に踊ろうぜ?」
「魔法使いの癖に利点を捨てるの?…踊りには一家言あるわよ?」
お互いに徒手空拳の構え。
ジャブとして軽いパンチを繰り出すが、霊夢はそれをいとも簡単に避ける。それは本人のセンスか、それとも偶然か。反撃として顎に向かって拳が振り上げられる。
それは、第七特異点に向かう前。
『はぁ…はぁ…!』
『まぁ、よくやった方じゃないか?そもそも、魔女が前線に立って物理で戦うなんて、その状況が既に負けだろうに。』
『うる…せぇ…』
『…ハァ、とにかくな。超高校級の格闘家、合気道部、体操選手等その他諸々の才能を持つ俺によく近接で戦おうと思ったな。どう言う風の吹き回しだ?』
超高校級の希望を転生特典に持つ男、佐藤出流に模擬戦を挑んでいた。
『…それでも、私は欠点を補いたい。今は力押しで何とかなってるが、そのうちパワーだけでは対処できなくなる可能性がある。インド異聞帯のようにな。』
『…確かに。というか、アレは例外な気がするが…パワーアップする分には俺も賛成だ。』
真の狙いはそこではないが。もちろん未来、強力なエネミーを対処する目的もあるが、私の第一目的は、幻想郷を襲ったあの男を殺す事。その為には、どんな事でもやらなければならない。
『とりあえずアドバイスするとしたらだな…お前、先制で攻撃するのは向いてないだろうな。カウンターキャラ、もしくは反撃タイプと言えばいいか?』
『反撃…』
『とりわけ向いてるのは…合気道かもな。攻撃を受け流して、抑え込む!幸い、ここにはサーヴァントがたくさんいる。もちろん俺たちもな。だから、練習しておいて損はないんじゃないか?』
振り上げられた拳を受け流し、そのパワーのまま床へと叩きつける。一瞬、霊夢は呆気にとられたような表情を浮かべる。しかし、すぐに立ち上がり、カーフキックをしてきた。
「…嘘でしょ。アンタ、そんなに動けたの?」
「良い師匠がいたものでな!」
キックを最低限のダメージで抑える。しかし、その痛みは誤魔化されるようなものではなかった。
「いつつ…そっちこそ、神社で寝てるだけかと思ってたのに。」
「異変解決をするには運動できないとね。それにライバル神社もあるし。」
「あぁ…早苗んとこの。」
しかし、どうするか。
その時、気にすらしていなかった周りの影響が起こり始めた。
「…これは。」
「それはね〜、あのメイドちゃんが頑張ってくれてたんだよ〜!」
「花火か。」
推定、特異点の主。
「そう…もっと戦いたかったんだけど。」
「同感だな。…もうすぐであいつらもこっちに来ちまうか。」
咲夜に、黒い妖夢。そして、赤い…
「あの赤いの、私か?」
「そうみたい。正確には、別の世界の魔理沙らしいけど。」
「マジか、うわ…なるほど、あのスペルカード、参考になるな…」
「…じゃあ、名残惜しいけど、締めにしましょうか。」
「あぁ。結局、スペルカードほとんど使わなかったな。」
「肉弾戦やってたもの。使う暇なかったわよ。」
「悪いな。私もこれだけ強くなったんだってところを見せたくてな。」
「じゃあ、やるか。」
「ええ、手加減はしないわよ。」
「する必要も無いよ。」
「「ラストスペル。」」
使わなかった全てをその最後のスペルカードに込める。
「…そうね。そういえば、あんただったわ、魔理沙。これに名前を付けたのは。…行くわよ、魔理沙!」
「あの夜を裂いた流星に今一度祈るぜ。あれから、随分経ったけどやっと私は、お前の隣に降り立てる。…行くぜ、霊夢!」
「『夢想天生と名付けられた弾幕』!」
「『プレイアポンアブレイジングスター』!」
広範囲、高威力。お互いに全力を出し合う。ラストスペル。
持てる全てを使い、勝ちに行く。
この後のことなど、全く考えずに。ただこの勝負に、命を賭ける。
「私の…勝ちだぁー!!!」
高密度の弾幕を潜り抜け、一発。されど一発。威力も大したことのない、凡庸な弾。それが、霊夢に当たる。
「…へへ。私の勝利、だな。」
「…そうね。私の負けよ。」
頬に、一筋の傷。
それを以て、決着となった。
次の話を投稿したら一旦お休み。
ツイステやブルアカの方を更新していきます。流石にずーっと更新してないのはマズイ…
あと転生者で行くブルアカなんですが、転生者複数と単体バージョンをそれぞれ作ろうと思います。また更新頻度が落ちる。…嘘です。多分。