俺たちは王位継承をする為にスタジオへ向かう事となった。訓練場を去る前にシャワー浴び、露店でタコスを購入して食べることにした。良い香りだ。皆んな今にも食いつきそうだ。えーと、タコス一つで300ルトか。
「そういや1ルトって日本円でいくらくらいなんだ?」
俺がそう聞くとキャロが説明してくれた。
「そうっキャね〜。コッチの世界で使うなら大体同じ位だと思うっキャ。つまり1円っキャ!そしてあっちで使う場合は、まぁ大体30分の1くらいで使えるっキャ」
じゃあこのタコスはかなりお得なんだな。一つ300円くらいかぁ。よし。買いだな。
「おっちゃん!13個くれ!」
そう。購入するのは13個だ。お察しの通り一人で十人分食う奴がいやがる。おっちゃんも流石に13個という数に驚いている。
「じゅ、13個!?アンタら4人しか居ないのに大丈夫かぁ?全員沢山食うのか?それとも誰か一人が大量に食うのか?」
「後者だ。おっちゃん。そこの1番ちっこいのが10人前食うんだよ」
「ほぉー。大したもんだ。数が足りんから直ぐ追加で作る。ちぃと待っててくれよ」
そう言っておっちゃんはタコスを作り出し始めた。因みにおっちゃんは異世界テンプレに従って例の如く頭ツルピカだ。居るよね。必ず一人はイカついおっちゃんが。
「みんなゴメンナ。オデが沢山食うせいで王位継承の時間が遅れちゃうんだナ」
モヤモシの申し訳なさそうな様子に俺たちは、
「「「慣れてる」」」
「そっかァ」
はいはい。400パー400パー。
テンプレ。テンプル。テンプラ。
おっちゃん、調理早く無いか?手が八つに見えるくらい速いぜ。恐ろしく速い調理…!俺でなきゃ見逃しちゃうね!
「そういやさ、俺、○○スキーって言うのが世の中には溢れているなって思ったんだよ(唐突)」
「大丈夫ですか?粉塵揉む?」
「粉塵は揉まない(即答)。タコスは通さない。いや、でも実際〇〇スキー族は一定数居るぞ。どの界隈にも。指を捧げる奴らとか。あとは、男を愛する武道家だったり、風呂を愛す奴だったり色々な」
「まぁ確かに一定数いるっキャね〜。で、どうしたい?」
キャロは俺の言いたいことが伝わったようだ。
「ああ。俺も「タコススキー」を名乗りたいなと思ってな」
「確かにオデたちみんなタコスが好きだけどヨ、そんな安直な名前で本当に良いのカ?」
「いいんじゃないかな(確固たる意志)」
かっこ。かっこたるいし。って読むの何かダジャレっポイか??まぁいいや。俺らが幸せの粉を摂取した後の様な会話をしているとおっちゃんがタコスを作り終えた。
「ヘイ!タコス13個だ!沢山買ってくれたからよ、一個分まけとくぜ!3600ルトだ!」
「ありがとうっキャ!ココってクレジットイケるっキャ?」
そう言ってキャロが財布から七色に光るクレカを取り出した。そのカードを見たおっちゃんは目を見開いている。
「使えるが………お嬢ちゃん。もしかして王族か?」
ああ(察し)。なるほどね。完全に把握したわ。実はお偉いさんでしたパターンね。完全に理解したわ。
「そうっキャ。取り敢えず払うっキャ」
キャロはカードを使って決済を済ませた。というか何故異世界にクレカがあるのか。コレガワカラナイ。
「嬢ちゃん……いや、王女。言ってくれればタダでも提供したって言うのに……」
キャロは満足げな顔で、
「コレで良いっキャ。経済を自ら回すのも王族としての役目っキャ!国民の立場になって考えることが一番大事っキャ!あと今までの様に「嬢ちゃん」って呼んで欲しいっキャ」
「へへ。やっぱ、嬢ちゃんには敵わねぇな。にしても驚いたぜ。15年振りだな。髪色も変わっていて気づかなかったぜ」
「ワシだってイメチャンくらいするっキャ」
「それを言うならイメチェンだゾ」
「最近の言葉は使いずらいっキャ……」
「ルーベルトを抜いたら貴方が1番年下なのに良く言えますね」
「ジャガガ。余分っキャ。その言い方だとワシが流行について行けてないみたいになるから辞めるっキャ」
おっちゃんが俺の方をじっと見つめて始めた。数秒後。おっちゃんは歯車が噛み合ったかの様な表情で俺に話しかけて来た。
「気づかなかった……お前、「ボウズ」か。前と雰囲気が違ったせいで全くわからなかったぜ」
「そっか。前世の俺とおっちゃんは知り合いか。悪りぃな。俺、前世のこと、まだ何にも思い出せて無いんだ。てか何で「ボウズ」なんだ?」
「ああ、そりゃあお前が当時見ることの無い種族で頭が禿げてるからな」
「ブーメラン刺さってるぜおっちゃん」
「まぁ、とにかくタコス食べましょうよ」
ジャガガとキャロは今にもタコスにかぶりつきそうだ。モヤモシは意外にもゆったりとして居て空を見てる。あっ、違う。空を見上げてタコスが視界に入らない様にしてるんだ。
「じゃあなおっちゃん!また来るぜ!」
「おう!またな!」
いやぁ。この世界もたまには異世界テンプレに従うんだなぁ。やはり異世界ハゲはいい奴。ハッキリわかんだね。
「あそこで食べましょう」
そう言ってジャガガが指を指したのは巨大な木の下だった。木の下にはベンチが木を中心に四方に配置されている。今は誰も座って居ない。四人占めだな。2組で座ることにした。俺とキャロ。モヤモシとジャガガで別れた。みんなタコスを手に持った。よし。いざ、食事。
「「「「いただきます!!」」」」
大切だよな。感謝は。タコスはやはり美味い。全てが美味いがやはり俺は生地が好きかな。今回はソフトタイプで頼んだからモチモチとしてて美味い。生地が柔らかいことでミートの風味を感じやすい。みんなも各々楽しんでいる様だ。
「ルーベルト。好きなタイミングで飲むといいっキャ」
キャロが俺の左隣に水筒をコトンと置いた。中身は抹茶だ。丁度喉が渇いていたので有難い。ゴクッ。うむ。苦い(当然)。
「「「「ご馳走様でした」」」」
大事だな。感謝は。
「さて、オデたちはその辺で買い物してくるんだナ」
「人の金で食うタコスは美味しかったです」
そう言ってモヤモシとジャガガは人混みに姿を消していった。
「アイツら一緒に行くかと思ってたけど来ないのか」
「いつもそんな感じっキャよ。カッブが待ってるっキャ」
「そうだな」
広場から徒歩5分程度歩いた所にカッブのスタジオがあった。
中に入るとカッブが居た。スタッフと会話している様だ。っと。俺たちに気がついた様だ。
「おっ!主役が来たねぇ。ココは僕が所有しているスタジオだから好きなように使っていいよ!さて、2人とも。コッチで生放送するよ!あ、そうそう。告知は事前にしておいたよ!」
カッブの指示に従って移動すると青背景の部屋に着いた。
「オイ。何で青背景なんだ」
「そりゃあ切り抜いて遊ぶ為っキャ」
「この国はお偉いさんをどんなにオモチャにしても怒られない国だからねー。この青背景は僕じゃなくて、前のルーベルトが設置したんだけどね」
やっぱり前の俺は馬と鹿だわ。
「ハイ!じゃ、本番まで!3、2、1。どうぞ!」
えっ。ちょっ。アイツ急に始めやがった!やりやがった!
え?何言えばいいん?俺が考えているとキャロが話し始めた。
「みんな!久しぶりっキャ!キャロっキャ!ルーベルトを連れ戻して来たっキャ!」
「腹括るかぁ。よう。俺だぞ。前世の記憶はほぼ無いが国王になることになった。よろしくな!」
「ということでルーベルトが返って来ました〜。これからは僕の番組とかにもちょこちょこ出させるから見てね〜!バイバーイ!」
カッブがまとめるとカメラが止まった。
「こんな短くていいのかぁ?めっちゃ雑だったけど」
「そんなもんっキャよ。みんなルーベルトのことは知ってるし、今更感が凄いんだと思うっキャ」
「そうそう。帰ってきたことだけを伝えたかっただけだからね。じゃ!またねー!」
カッブは部屋から出ていった。ホント、この世界の奴らは自由だな。
一応、王になったはずなのに実感が湧かないや。
でも、なんだろう。悪くない。心の底ではこの素敵な国の王になれることが、ちょっぴり。ほんのちょっぴりだけ、嬉しいのかもな。
この物語が本になったらシュールだよな。元々シュールか。
読んでくれて感謝!
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