柔らかい世界と硬い世界。………あと河童ァ!   作:マスケーヌ/東風ますけ

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こんにちわ。更におはようございます。あるいはこんばんわ。今日はタコスが綺麗ですね。


第8話「食の有難さ」

異世界に行って言いたい台詞と言われて何を思い浮かべるだろうか。俺は「待たせたな!」かな。え?異世界物の主人公はそんな台詞言わない?ダンボールに詰めるぞだって?やかましい。それが良いんじゃないか(天邪鬼)。

では逆に異世界に行って言われたい台詞とは何だろうか。俺の場合は「……見ない顔だな。旅人か?」だな。やっぱりこの台詞は王道で言われたら嬉しい。

 

そう思っていた時期が私にもありました(白目)

 

「「「「「……見ない顔だな。旅人か?」」」」」

 

「国王だよ!!!」

 

前言撤回。1ミリも嬉しくねぇ。そう、俺は道ゆく人々から煽り散らかされていた。正直泣いた。隣でキャロが笑い散らかしている。正直わからせたい。そういえば、いや、そういえばで済まして良いのだろうか?

 

えー。ワタクシルーベルトの「相棒」が消えておりました。ナニとは言わん。この世界に来た瞬間に消滅したらしい。何処に消えたのかキャロに問うとどうやら前世で俺は生き返る代償に「相棒」を指定したらしい。誰に「相棒」が行き渡ったかだって?カッブだよ………。アイツ元々女の子だったらしいがある日男の子に憧れたらしく、丁度俺を利用して「棒」をゲットしたらしい。ということでカッブが両性で、俺は無性ということが判明しましたとさ。とどのつまり、

 

「ルーベルトはワシをわからせられないという事っキャ!」

 

「と思っていたのか?俺は河童だぁ(暗黒微笑)」

 

「なん………だと……?」

 

「河童には、キュウリがあるじゃないか!(満面の笑み)」

 

「あっ(察し)。ま、まぁ、ルーベルトは紳士だからそんなことをする筈が無いっキャ。………そうであって欲しいっキャ」

 

「いつから俺が紳士だと錯覚していた?」

 

「ナン………だと……?」

 

「カレー食いに行く?」

 

「行く!」

 

善は急げ。急がば回れ。遠廻り=最短。QED。証明完了。

カレー屋へ向かう途中も俺は国民に煽られ続けた。しばきたい。しっかりと曲がる必要の無い角を曲がり、遠廻りしてカレー屋を目指した。今目指しているカレー屋は前世の俺が大変気に入っていた店らしい(キャロ談)。っとココか。

 

「いらっしゃいませアル!」

 

「カレー屋の挨拶とはとても思えないね。とても気に入った」

 

内装は何かカラフルだ。なんだ?この国はカラフルなモノばっかりだな。(主にクレカ)。機会があったら俺も自分を虹色に発光させようかな?(俺はクレカ)

 

席に着くとメニュー表が渡された。どれどれ。うーむ。どれも美味しそうだ。

 

「キャロは決まったか?」

 

「ふっ。失笑。ワシは入店する前から決めていたっキャ。入店前に決めておかないとは。ルーベルトもまだまだっキャねぇ」

 

「いや俺初めてなんすけど」

 

「うるさいっキャ。ルーベルトがどうしてもって言うから仕方なく教えてやるっキャ。(言ってなくね?)………ワシはこの「7種のスパイス入り!レインボーカレー」っキャ!」

 

「スルーしやがった。ま、俺も同じモノにしようかな」

 

2人ともメニューを決めたのでベルを鳴らす。ピンポーン。電子音が鳴り響く。うむ。ファンタジー感がどんどん削れてく。

 

「ヘーイ。お二人のことだからレインボーカレーを頼むと思ってたネ。もう作っといたアル。今回はお得意様が戻ってきた記念で無料サービスアル。楽しむアルよ?あ、ナンはおかわり自由だから好きなだけ食べるアル」

 

イケメンだ!イケメンが居る!!チャイナドレスを着たカレー屋のイケメンが居る!!!

 

「ありがとうっキャ!」

 

「ありがとう!えーと…」

 

「あ、名前を名乗り忘れてたアル。ルーベルトは忘れていることを忘れていたアル。ワタシは「ナン」と呼ばれているアル」

 

「ありがとうナンさん!また来るぜ!」

 

「ハハハ!その時は有料アル!」

 

「勿論だ!本当にありがとうな!」

 

「いいアル。冷めないウチに召し上がれアル」

 

「おう!それじゃ、せーの!」

 

「「いただきます!!」」

 

感謝は忘れない。必ずだ。

先ずは………ナンを何もつけずに一口食べてみる。美味い。生地がふわふわとしていてそれでいて絶妙な硬さがある。味も良く単品でもイケる。コレをカレーに付けたら………ゴクリッ。

カレーをディップする。そして口に運ぶ。この動作にさえ幸せを感じる。それくらいこのナンとカレーは美味しいのだ。きっと。

ナンが口に入る。瞬間。俺は言葉を失う。美味いという感情よりも感動が先行して感じる。正直、想像以上だ。アダムとイブが食したという禁断の果実よりもきっとこのカレーとナンは美味いだろう。まずカレーの辛さがきて、その後にスパイスの風味を感じる。次にナンの甘さが口を癒してくれる。そしてカレー単品では味わえないボリューム感も同時に味わうことが出来る。コレはもう禁忌。そんなレベルだ。キャロもほっぺいっぱいに頬張っている。小動物の様だ。可愛いな。俺たちは時間を忘れるほど無我夢中になりながら食べ続けた。

 

最後の一口!コイツは一気に口に入れる!そして目一杯噛んで味を感じる!

最後の一口を食い終えた俺は手を付けなかった水に手を伸ばして一気に飲み干した。

 

「「ご馳走様でした!!」」

 

久々だな。こんなに感動したのは。

食物。生産者。そして料理人のナンさん。全てに感謝だ。ありがとう。

 

幸せな気分で俺たちは店から出ていった。

 

カレーとナン。最高!!!




さくしゃはかれーがだーいすき⭐︎

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