三人はナイスネイチャと出会い、案内されながら村の中へ。ギルドで冒険者登録をすませたあと、近くの森で依頼を解決しに行くことに。ネイチャと村の人たちとの関係性に驚きを覚えながらも一行は森の中へと入っていくのだった...
「確かこの辺に…あーあった。皆さん、ここでーす。」
ネイチャに案内されて森の茂みについた。一見なんてことない場所のように見えるが、ここが依頼で出されていた薬草の群生地体のようだ。
「じゃあ1本試しに抜くから、見ててね。茎をこんなふうに持って、根っこから抜いてください。……あ、タキオンさん取るのは花のつぼみが大きくなってないもので!」
「何か理由でもあるのかい?」
「花が咲いてるのは薬にしたときに効果料が落ちてるらしいんです。こんな花を咲かせようと思ったらだいぶエネルギー使いそうでしょ?」
「確かに…この植物の花、とても大きいですね…。」
「そうそう。だから、若いやつを取ってくださいというわけです。」
「よいしょ…こんな感じでいいのか?」
「あ、そうです!そんな感じで大丈夫でーす。そこの箱に寝かせておいてください。」
そうして箱の中に必要な本数の薬草が手に入った。ネイチャ曰く、
「抜きすぎたら花が咲くやつがなくなりますし、そうしたら次に私達も取りに来れないでしょ?だからちゃんと必要な分だけ取るってわけ。……まぁこれお姉さんの受け売りなんだけど」
らしい。確かに抜きすぎて薬草になる植物が育たなくなったらダメだろう。とにもかくにも、薬草集めは順調に終わった。にしても不思議な森だ。モンスターを全く見かけない。だがどこか不穏な空気を感じる。
「モンスターっぽいものを全然見かけないんだが、この森にはいないのか?」
「この辺りにはそんなにモンスターはいないんですよ。これから行く魔蜘蛛の住処には魔蜘蛛がそれなりにいますけど、アタシ達が森に深く入らなければ強いモンスターとは会わないと思いますよ?」
「なら問題ないか…じゃあ次は魔蜘蛛の回収に行くのか?」
「その通りです。じゃあさっきみたいについてきてくださーい。」
そうして一行は一旦途中まで戻ると今度は別の方向、森の更に奥に向かって歩みだした。植物も不思議なものばかりで見てて飽きない。木々が更に生い茂り、陽の光もあまり入らなくなった場所に来た。辺りの木々にはところどころ糸が貼っていて蜘蛛の住処であることを教えてくれている。
「着きましたー。ここが蜘蛛の住処です。」
「なんというか…静かな場所ですね……」「ここの木が魔力を含んでるらしくて。葉っぱとかの方が他のご飯より美味しいのかわかんないけど、ここの蜘蛛は気性も穏やかだから捕まえるのは難しくないですよ。」
「じゃあ試しに捕まえてみますから、見ててくださいね。店のおっさんから貰ってきた餌と液を木の葉っぱにつけて…よし、こんなもんでいいかな。」
そう言いながらネイチャは何かの液体を葉っぱに塗って、籠に入れた。少し柔らかい香りが薄く漂う。
「依頼されてるおっさんから貰ってきた特製の液と餌です。要するにこれでそのへんの蜘蛛を誘導して、その籠の中に入れちゃおうってわけです。結構匂いには食いついてきますから、勢いで葉っぱを食べられないように気をつけてくださいね。では、お願いしまーす。」
「わかりました…。」
そうして蜘蛛を捕まえはじめたが、なかなか難しい。蜘蛛に上手いことチラつかせながら箱の入り口に誘導する。籠の口が返しになっているので蜘蛛は中から出てこれないが、そこまで誘導するのが難しい。
「蜘蛛を集めるってのはなかなかに難しいね…全く、骨が折れるよ。」
「蜘蛛さん、こっちです…。」
「おー、カフェさん上手い。ちゃんと誘導できてますね。あ、トレーナーさんそうじゃなくてこんな感じでちらつかせて…」
「お、こうか?」
「あっそうです、いい感じです。そのまま籠までゆっくりで。」
そうしてネイチャに教えられながら、なんとかそれなりの数の蜘蛛を集めた。籠は2箱あるが、まあこれだけあれば問題ないだろう。
「ふいーっ。お疲れ様です。大体こんぐらいでいいんじゃないんですかね。」
「よし、じゃあ疲れたし一旦休憩しないか。」
「そうですね…私も疲れました…。」
そういうと4人は近くの岩に腰をおろした。なかなかの重労働だったため、トレーニングにはなったんじゃないだろうか。ふと改めてステータスを見てみると、驚いたことにステータスが伸びていた。
◎トレーナーのステータス
●レベル5 スピード:21 スタミナ:25 パワー:20 根性:18 賢さ:75 無属性
レベルはスライムと戦ったときから少し上がり、特にスタミナと賢さの上昇量が高い。
「なぁ…いまステータスを確認したらレベルとか賢さとかが勝手に上がってるんだが…どういうことなんだ?」
「それは本当かい?私達も見てみようじゃないか。」
◎アグネスタキオンのステータス
●レベル8 スピード:100 スタミナ:94 パワー:96 根性:90 賢さ:102 光属性
マンハッタンカフェのステータス
●レベル8 スピード:93 スタミナ:111 パワー:100 根性:89 賢さ:92 闇属性
「本当ですね…ステータスが上がってます。何故でしょうか……?」
確かに、この森ではまだ戦闘を行っていない。だから鍛えることができるシーンとなると…
「この辺って魔蜘蛛以外にもモンスターはいるか?」
「いや、このあたりはあまりいないと思うけど…それがどうかしました?」
「いや、どうかしたってわけじゃないけど…じゃあ今のうちに聞くか。おーい、ブルボン!」
「お呼びでしょうか、トレーナーさん。」
すると今回も、透明なモニターが現れてブルボンの顔が映し出される。
「来てくれてありがとう。この森なんだけど……ってあれ、固まってるけどネイチャどうした?」
「いや、ブルボンさんが映ってるけど何で!?」
「もしかして…ブルボンさんのことを知らないとか……?」
「いや、流石にブルボンさんのことは知ってるんだけど…アタシがこの世界に来てから、この浮いてる画面を通して誰かと話してる人、初めて見たわ…」
正直意外だった。皆のガイドをしてるのだと思ってたのだが、どうやらその恩恵にあずかっていたのは俺達だけだったらしい。
「最初にもおっしゃいましたが、『私はあなた達のサポートを』するこの世界のガイド、ミホノブルボンです。通信をしたり転送ができるのはあなた達に対してだけなのです。私も試したのですが他の方々に交信を取ることやアイテムを転送することができませんでした。」
「ふぅん…意外だったな。だとすると、ネイチャくんはどうやってこのスキルのことを知ったんだい?」
「アタシは…確かこの世界に来てから周りを見渡してたら目の前に浮いてる画面が出てきたんだよね。」
「私は何も行っていません。ですので、おそらくこのゲームのシステムだと推測します。」
「なるほど、ブルボンは俺達以外に干渉できないんだな…」
正直なぜブルボンがガイド役としているのかはわからない。だが考えても仕方ないのでとりあえず聞きたかったことを聞くことにした。
「なぁブルボン、ステータスについてなんだが『グルルォォォ!!!!』『ぎゃーーーっ!!!』
突然森の奥から何かの獣の鳴き声と、悲鳴が聞こえた。鳴き声は底に溜まるようなような、気持ちの悪い音だ。
「これは…なんの声だ?」
「アタシが聞いた限りでは、この森にそこまで凶暴な魔物はいないはずなんだけど…なんかイヤな予感がするんだよね…」
「戦闘になるかもしれません……。襲われている方の声も聞こえましたし、すぐに行きましょう……!」
「正直逃げたほうが楽なのだが…全員がその気なら仕方ない。私に任せたまえ。強化してあげようじゃないか。」
そういうと、急に体が身軽になったように感じた。これが【超光速の粒子】の力か。今なら森の中を早く走れそうな気がする。
「さあ時間はない…すぐに向かおう。」
「方向は私がサポートします。前方の木々の隙間を進んでください。」
それを聞くと、タキオン達は走り出した。流石の速さといったところだ。俺は皆より少し遅く着くだろうが、仕方ない。蜘蛛の籠と薬草の箱を置いておき、そこに少し残ってた蜘蛛用の液も葉も乗せておくと、急いで追いかけるように走り出した。
「はあっ!」
「おりゃー!!」
「う、うーん…」
「マチタン、しっかりしてよー!」
ネイチャを除くカノープスメンバーとテイオーは4人で依頼で森の奥の魔物討伐をしにきていた。今回はその帰りだったのだが、突然この魔物が現れて一行を襲った。
「くっ…二人となるとなかなかキツイですね…」
「なんでこんなタイミングで…もしかしてずっと狙ってた…!?」
魔物が吠える。思わずたじろぐが、怯むことなく二人は剣を振る。魔法を放つ。
「うぉりゃああああ!!!」
「燃えよ!」
トウカイテイオーの攻撃!
???に45のダメージ!
イクノディクタスのフレイム!
???に47のダメージ!
しかし攻撃はあまり効いてない。それどころか魔物を更に刺激してしまったのか、
『グルルッ!!!』
「イクノッ!!!」
「!?」
すんでのところで躱した。だが掠ってしまったのか吹き飛ばされてしまい、近くの茂みに突っ込んだ。
「くっ!!」
避けきれない。イクノも判断が鈍っていたわけではなかったが、相手の速さが凄まじかった。
「今動けるのはボク一人…この状況でどうすればいいの…?」
イクノは先程の攻撃でしばらく動けない。マチタンは最初の奇襲攻撃でダウン。
ターボはマチタンに必死に呼びかけていて周りの声が聞こえていない。
「くうっ…ボクにもカイチョーみたいな強さがあれば…!カイチョーみたいに皆を守ることが出来たら…!!」
今まで無敵の帝王として皆の前でカッコよくあろうとしていた。だが実際はどうだ。友達すらも守ることができない。こんなことで何が帝王か。
「でも…ボクはもう諦めないって決めたんだ…!」
魔物がテイオーを捉える。最後の1匹を狩ろうとする捕食者のような瞳で。だがそれでもテイオーは立ち向かう。
「どんな時でも決して諦めない!ボクは無敵のテイオー様だあぁぁっっ!!!!!」
魔物がテイオーに襲いかかろうとした刹那。
「どんな時でも決して諦めない……それが君か。面白いじゃないか。」
「テイオーさんのその姿勢、会長さんもきっと誇りに思ってますよ…。」
「どんな状況でも決して諦めないって…そんなテイオーがやっぱりカッコイイよ。」
『グルゥ!?』
突如魔物に白黒の魔法と弓矢が直撃した。突然の出来事にわけがわからず魔物は吹き飛ぶ。
「テイオー、大丈夫?…って無敵のテイオー様はこんなの問題ないでしょ?」
「ネイチャ!!」
「まさに間一髪と言ったところだな…走りながらの魔法…中々難しいな。」
「の割にはタキオンさんはたくさん喋ってましたよね…」
「それを言うなら君も喋りながら放ってただろう!?」
ネイチャに続いてタキオンとカフェも到着する。そしてトレーナーも遅れながら到着した。
「はぁ…はぁ……やっと着いた………状況を見る限りギリギリセーフ……ってところか……?」
「皆さん、魔物が起き上がってきます。迎撃の準備を。トレーナーさんはスキルで魔物の確認を。」
[[rb:了解! > ラジャー]]
カフェ、タキオン、ネイチャ、テイオーが構え直す。魔物が起き上がってこちらを見た。俺は急いで【天性の観察眼】でステータスを確認する。
◎大魔牛のステータス
●レベル20 スピード:220 スタミナ:480 パワー:236 根性:217 賢さ:194 地属性
「こいつは大魔牛!地属性だ!このまま押し切れ!」
「わかりました…!必ず倒します…!」
「私の実験台になってもらおうか!」
「やるよテイオー!」
「うん、ネイチャ!」
大魔牛が現れた!
ナイスネイチャが戦闘に参加した!
アグネスタキオンが戦闘に参加した!
マンハッタンカフェが戦闘に参加した!
大魔牛の攻撃!テイオーは37のダメージを受けた!
タキオンのウィンド!
大魔牛に45のダメージを与えた!
カフェはお友達を召喚した!
カフェとお友達のスタミナグリード!
大魔牛に53ダメージを与えた!
テイオーの攻撃!
大魔牛に52ダメージ!
ネイチャの攻撃!
大魔牛に48のダメージ!
前衛と後衛のバランスはともかく、テイオーが攻撃の的を引き受け、カフェとタキオンが魔法で応戦。位置を変えながらネイチャが弓矢で確実に削るという連携の強さは出ていた。特にテイオーは身のこなしが軽いのか、敵の的を引き受けているのに軽々と避けている。あの特徴的なステップだろうか。
「もうすぐだ!削りきれ!」
「もちろんだとも!持ってくれたまえよ私のスタミナ…!!」
「まだ…いけます…!」
最後の力を懸命に振り絞って必死に削り切る。大魔牛の抵抗も激しいが、俺達に不思議と恐れはなかった。
「風よ切り裂けっ!!!はぁ…はぁ……」
「ふっ…はぁ……後は任せました……。」
カフェとタキオンが魔力を使い切った。お友達ちゃんも消滅してしまったが、あとは大丈夫だ。
「ここで決める!」
「必ずきめるよ!」
『うぉりゃあああああああ!!!!!』
トウカイテイオーとナイスネイチャのダブルアタック!
大魔牛に103ダメージを与えた!
大魔牛を倒した!
大魔牛のツメを2つ手に入れた!
大魔牛のツノを手に入れた!
トウカイテイオーはレベル17にあがった!
アグネスタキオンはレベル13にあがった!
マンハッタンカフェはレベル13にあがった!
ナイスネイチャがはレベル17にあがった!
「マチタン!!大丈夫!?」
「えへへ〜〜ごめんね先に倒れちゃって。でももう大丈夫だよ?」
「本当に大丈夫ですか?」
「まぁ見た感じ大きな怪我はないからね…ほんとよかったよ…」
「それよりネイチャ!さっきのめっちゃカッコよかったぞ!!レースの時よりカッコよかったかも!!」
「嬉しいけど、なんか複雑だなそりゃ…」
「森の奥にこんな魔物が…一体何故でしょうか……?」
「ネイチャも森の奥にこんな魔物はいないって言ってたし、何が起きてるんだ…?」
「それは調査してみるしかなさそうだねぇ…ともかく無事に勝てたことだし、負傷者の手当をして帰ろうじゃないか。余韻に浸っているうちに日が暮れてしまうだろう?」
確かに、村を出発してからそれなりに時間が立っている。夜の森は危険だと聞くし、早く帰るべきだろう。
「じゃあ、帰りますか!アタシ達も薬草と蜘蛛も回収して報酬貰わないといけないからね…」
「ターボお腹空いたんだけどー!この牛のお肉って食べたら美味しいのかな?」
「『ぐるるるるぅぅ......』!ごめん!今日疲れちゃったからお腹空いちゃって…えへ」
「ターボにマチタン、本気で言ってる…?」
「せっかく倒したのに持って帰らないのは損かもしれません。食べられなかったらその時ですし、私が持って帰りましょう。」
「イクノ、アンタまで…しょーがない、村で牛飼いしてるおっちゃんに相談してみますか…」
「わはは!ターボが持ってくー!」
こうして突然の大魔牛戦は終わった。怪我こそあれど、特に大きくなく全員無事に帰ってこれたのはラッキーだった。皆が互いを労い、肩を貸しながら帰路につく。それはトレセン学園で見た彼女らの姿と同じだった。
「……?」
森の奥の方で何かが光った気がした。
漏れた夕日だったのか、それとも…
「トレーナーさん…?早く帰りましょう…。」
「ああすまん。今行く!」
あの光は何だったのだろう。まぁ夕日か何かの見間違いだろう。そう思いながら籠の置き場に戻ると…
「あれ?なんかさっきより蜘蛛の量、結構ふえてないか?」
「うわー!蜘蛛がたくさん入ってるー!」
「恐らくですが…残りの葉や液につられて入ってきたのかと……。」
「ふぅん…これは運が良いというか何というか…ネイチャ君の特性の効果かい?」
「これ、私の能力なんですかね…ともかく、おっちゃんから報酬は多めに貰えそうだね。」
「大魔牛の肉も手に入って報酬もたくさん貰えて、今日はラッキーだな。よし、みんなー!今日は御馳走だぞー!」
「わーい!ご馳走だー!」
「やったー!ターボも食べるー!」
「タンホイザさんにターボさん!牛だって頂いてるのにご馳走まで頂くのは…」
「まーまーイクノ、大丈夫だって。せっかく皆で戦って勝ったんだから、楽しまないと損でしょ?」
「ネイチャさんがそういうなら…わかりました、ではご相伴に預からせて頂きます。」
「よーし!僕もお腹空いてるしたくさん食べるぞー!」
「ふふっ…今日はとても夕食が賑やかになりそうですね。とても疲れましたが…。」
「私も今日は疲れてしまったよ。トレーナーくん、おぶってくれたまえよー。」
「ただでさえ今は籠背負ってるんだから無理だろ。頑張って自分で歩いてくれ。」
こうして俺達の初依頼は終わった。初めてにしては中々上々ではないのだろうか。そう思いながら俺達は村へと帰るのだった。
こんにちは、作者です。今回は森の中に入ったところからです。
もう一日かニ日は早く仕上げたかったんですけど、想像以上に森の中とか魔蜘蛛くんの話で時間がかかりました。まぁ一番の要因はレーシングカーニバルが始まったからってのもあるんですが。
戦闘シーンはとても楽しく書けました。
文字数はどのくらいが読みやすいですか?
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5000文字以下
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5000~7500文字
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7500~10000文字
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10000文字以上