疼らく境界   作:熾烈

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十二話 

 

 サッ。

 

 

 

 音もなく、一つを二つに別たれた。

 

 

 スッ。

 

 

 音もなく、人形の糸は切られた。

 

 

 

 「…………アンサズ」

 宙で文字を(えが)き、呟く。すると炎が上がる。

 残ったものは灰のみ。跡形も無く消し去った。

 

 魔術を使えるようになった今、元々人外じみた身体能力は異常をきたしていた。

 

 

 その場から離れようとした時。

 

 「動くな」

 わたしの首に剣が迫ってきた。

 誰かがいることは気付いていたが、横槍を入れないだろうと思い無視していた。思惑は外れたわけだが。

 そしてこの細い剣。十中八九、聖堂教会の代行者が所有する黒鍵だろう。

 

 ナイフで黒鍵を弾き、飛ばしてきた相手と対峙する。すると、今度は3本飛んできた。やはりナイフで弾き、避ける。

 「ほう。あれを避けるとは良くやるな」

 

 「動くな、と言うまえに黒鍵を飛ばしていたでしょ」

 「これは失敬。だが問題はなかろう?」

 「はぁ。…………………何の要件かしら、代行者」

 「なんてことはない。依頼が重なっただけよ。それにお前が討伐対象の可能性もあり得る」

 そう言い、カソックの男が構える。

 この神父、目が死んでる。ハイライトが一切無い。

 

 「少女よ、名はなんという?」

 「柊始紀。手合わせ願おうかしら?」

 「ふっ」

 嘲笑し、ダンッと脚を踏み込む。間合いは一瞬で詰められた。

 

 『活歩』

 

 目の前に現れた神父は拳を突きだしてくる。

 

 『金剛八式(こんごうはちしき)━━━━衝捶(しょうすい)

 

 殺人的、いや、破壊的威力の突きが迫ってくる。食らえば肋骨は粉砕され、内臓は破裂までいかなくとも傷つく。

 まさに、マジカル★八極拳。だが、わたしも武術を嗜むもの。(達人レベル)

 

 『化勁(かけい)

 

 相手の攻撃力を吸収、または受け流す。

 一瞬動きが止まった神父。見逃すはずもなく、わたしは追撃する。

 左手で受け流した後、右腕を神父の伸びきった腕の脇下から顔のほうに上げる。彼はバランスを崩し床に打ち付けられた。

 

 「……ふぅ━━━━━」

 

 当然反撃してくる。やられっぱなしの相手ではない。

 受け身をとって、直ぐ様起き上がる。足を掬う低い回し蹴りを貰い、体が宙に浮く。身体をひねり、着地をした。

 隙が出来たところを、相手はしっかり攻撃してきた。

 

 攻撃されては、それをいなす。両者、共に決定打に欠ける攻防だった。

 

 

 

 

 

 

 泥仕合の末。

 

 お互い距離をとって対峙している。

 「私は聖堂教会第八秘蹟会所属、代行者の言峰綺礼」

 いきなり名乗り出し、構えを解いた。

 

 「済まなかったな。元より貴女が討伐対象で無いことは分かっていた。………そうだな、何かあったら此処に来ると良い。冬木の冬木教会に」

 などと抜かす。

 

 「気が向いたらね」

 素っ気ない返事だ。

 

 

 お互いに背を向けて帰るべき場所に向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 「はぁ、代行者と殺りあったぁ?」

 「依頼が被ったのよ」

 

 橙子には大層驚かれ、ここに関することを喋ってないかと聞かれた。勿論一言たりとも口にしていない。

 

 黒鍵が欲しくなったことを言ったら、無理だと即却下。冬木教会へ訪れる理由が出来た。黒鍵は是非とも欲しい。

 

   




 
 ワタシ外道マーボー今後トモヨロシク






 次回、柊始紀の言峰綺礼による傷の切開。


 
 のようなもの。多分。次回でなくとも、その下りをいつか入れる。
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