サッ。
音もなく、一つを二つに別たれた。
スッ。
音もなく、人形の糸は切られた。
「…………アンサズ」
宙で文字を
残ったものは灰のみ。跡形も無く消し去った。
魔術を使えるようになった今、元々人外じみた身体能力は異常をきたしていた。
その場から離れようとした時。
「動くな」
わたしの首に剣が迫ってきた。
誰かがいることは気付いていたが、横槍を入れないだろうと思い無視していた。思惑は外れたわけだが。
そしてこの細い剣。十中八九、聖堂教会の代行者が所有する黒鍵だろう。
ナイフで黒鍵を弾き、飛ばしてきた相手と対峙する。すると、今度は3本飛んできた。やはりナイフで弾き、避ける。
「ほう。あれを避けるとは良くやるな」
「動くな、と言うまえに黒鍵を飛ばしていたでしょ」
「これは失敬。だが問題はなかろう?」
「はぁ。…………………何の要件かしら、代行者」
「なんてことはない。依頼が重なっただけよ。それにお前が討伐対象の可能性もあり得る」
そう言い、カソックの男が構える。
この神父、目が死んでる。ハイライトが一切無い。
「少女よ、名はなんという?」
「柊始紀。手合わせ願おうかしら?」
「ふっ」
嘲笑し、ダンッと脚を踏み込む。間合いは一瞬で詰められた。
『活歩』
目の前に現れた神父は拳を突きだしてくる。
『
殺人的、いや、破壊的威力の突きが迫ってくる。食らえば肋骨は粉砕され、内臓は破裂までいかなくとも傷つく。
まさに、マジカル★八極拳。だが、わたしも武術を嗜むもの。(達人レベル)
『
相手の攻撃力を吸収、または受け流す。
一瞬動きが止まった神父。見逃すはずもなく、わたしは追撃する。
左手で受け流した後、右腕を神父の伸びきった腕の脇下から顔のほうに上げる。彼はバランスを崩し床に打ち付けられた。
「……ふぅ━━━━━」
当然反撃してくる。やられっぱなしの相手ではない。
受け身をとって、直ぐ様起き上がる。足を掬う低い回し蹴りを貰い、体が宙に浮く。身体をひねり、着地をした。
隙が出来たところを、相手はしっかり攻撃してきた。
攻撃されては、それをいなす。両者、共に決定打に欠ける攻防だった。
◇
泥仕合の末。
お互い距離をとって対峙している。
「私は聖堂教会第八秘蹟会所属、代行者の言峰綺礼」
いきなり名乗り出し、構えを解いた。
「済まなかったな。元より貴女が討伐対象で無いことは分かっていた。………そうだな、何かあったら此処に来ると良い。冬木の冬木教会に」
などと抜かす。
「気が向いたらね」
素っ気ない返事だ。
お互いに背を向けて帰るべき場所に向かったのだった。
◇◇◇
「はぁ、代行者と殺りあったぁ?」
「依頼が被ったのよ」
橙子には大層驚かれ、ここに関することを喋ってないかと聞かれた。勿論一言たりとも口にしていない。
黒鍵が欲しくなったことを言ったら、無理だと即却下。冬木教会へ訪れる理由が出来た。黒鍵は是非とも欲しい。
ワタシ外道マーボー今後トモヨロシク
次回、柊始紀の言峰綺礼による傷の切開。
のようなもの。多分。次回でなくとも、その下りをいつか入れる。