疼らく境界   作:熾烈

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十三話 柊始紀/3 矛盾螺旋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 両儀式と柊始紀は似ている。

 

 死に寄り添って、それに抗うことでしか生を感じられない破綻者。

 

 

 

 また、巫条霧絵も似ていた。しかして非なる属性だった。

 

 死に寄り添って、死を通してしか生きてる実感がなく、死ぬことでしか生を感じられなかった。

 

 

 

 また、浅上藤乃も似ていた。これもまた非なる属性だった。

 

 死に触れる事でしか快楽を得られない。人を殺し、その痛がる過程と優越感でしか生きていることを感じられなかった。

 

 

 

 柊始紀と両儀式は似ている。

 

 二つの心に一つの肉体を持った能力者。そして、同じ起源を持つ者。

 

 

 

 

 

 始紀と言う存在は、柊始紀と言う肉体に、「 」から与えられた人格に過ぎない。故に、その魂は「 」である。

 

 根源を通り、生まれ落ちたもう一つの'いのち'。それは、柊始紀の死をもって産声をあげた。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わたしは転生し、この世界に落ちた者。

 

 ストーリー原作を曲げるつもりは無い。しかしこの言い方は正しくないだろう。既に死ぬべきひとりの女性は生きている。ストーリーに関わるつもりはなかった。

 

 

 

 わたしが生きるため、わたしが壊れないため、それだけにわたしはストーリーに関わる事になってしまった。

 

 だが、それは必然だったのかもしれない。もしくは宿命なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレは両儀式の模倣か? 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寒くなった夜、いつものように人気のない路地を歩いていた。

 

 「…………は?」

 

 何かに拘束された様に体が動かない。

 

 

 

 「━━━━貴様は何者だ?」

 

 重い、声がした。

 

 すぅと幽霊のように現れた黒いコートの男。

 

 

 

 

 

 

 

 ━━━━━━━━わたしはこの男を()っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「━━━━その両儀式と似ている身体カタチ。その在り方、性質。まるで、ただ写した人形のようだ。

 

 柊始紀のことは調べた。二年前、柊始紀は死に至る重傷を負った。生き残る、生き帰る確率は零にも等しいながらも今、ここに立っている。…………………だがそれは違う。柊始紀は死んだ。あれは死んだも同然だった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━━━━━━━荒耶宗蓮(あらやそうれん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………………………………………………」

 

 痛い所を突いてくる。

 

 

 

 「━━━━柊始紀は死んだ。では、お前は何だ?」

 

 

 

 煩い。

 

 

 

 「…………………………………黙っていればベラベラと煩いわねぇ。

 

 ねわたしが何者か? …………………………………………わたしは、わたしが解らない。

 

 だけど、わたしは、今の自分を柊始紀(わたし)としか表せない。

 

 これで満足?」 

 

 

 

 「、答えになっていない」

 

 「答えるつもりなんてない」

 

 

 

 しばらく無言のにらみ合いがあった。

 

 「……そうか、駒にするか迷ったが不確定過ぎる、ならば不穏分子は消すべきか」

 

 魔術師は呟いた。

 

 「━━━━柊始紀、お前には死んで貰う」

 

 

 

 動けないでいたわたしの身体は反応できなかった。

 

 

 

 「うぐっ!」

 

 首を捕まれ、易々片手で持ち上げられた。

 

 呼吸が出来ない。首が締まり、命が薄れていくのを感じる。

 

 抵抗しても万力のような手から逃れられない。

 

 「はな………し………….て」

 

 視界から色が消えてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドスッ! ガンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 緩んだ手を振り切り間合い、結界の範囲から離れる

 

 「っげっほげっほ。はぁ━━」

 

 

 

 

 

 魔術師の腕には細い、一メートル弱の剣が刺さっていた。また、足はその剣で貫かれていた。

 

 

 

 「━━━━黒鍵、だと?」

 

 

 

 黒鍵。それは死徒の体に無理やり人間の頃の自然法則を叩き込んで上書きすることで、元の肉体に洗礼し直して浄化して塵に還す「摂理の鍵」。

 

 

 

 だが、目の前の魔術師は死徒ではない。それでも、二百年を生きる人間など存在しない。つまり有効な攻撃なりうるのだ。

 

 死の線が視えない相手に効果覿面となる。

 

 

 

 

 

 何故黒鍵なぞ持っているか? それはこの前の事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日前 某日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 電車を乗り継ぎ数時間かかるここ冬木市。に、車で来ていた。

 

 大火災の名残が未だ伺える。

 

 坂を登り丘の上の教会を挑む。

 

 教会の扉は開いていた。

 

 

 

 「ようこそ冬木の教会へ」

 

 胡散臭い神父、言峰綺礼が中で待ち構えていた。

 

 

 

 「あの日以来ですね」

 

 「それで、 この前の借りを返してもらいに来たのか?」

 

 「ええ。単刀直入に言うわ。黒鍵を譲って貰えないかしら? ついでに扱い方も教えて欲しい」

 

 

 

 「━━━━━━━━ふむ。良いだろう」

 

 彼は少し考える素振りを見せた後に了承した。

 

 

 

 

 

 「これだ。魔力は扱えるな?」

 

 普段身に付けている黒鍵の柄を取り出した。そして、しゅっと刀身部分が現れた。

 

 

 

 柄を手に取り魔力を流す。刀身をイメージしながら魔力を編み上げてゆく。

 

 柄から刀身が現れた。

 

 

 

 「この技術は一朝一夕で習得できるものでは無いのだがな…………」

 

 微妙な表情の神父はポツリと漏らした。

 

 「では、扱い方だが…………………………………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「綺礼よ、今日は面白い娘を連れ込んでいたな」

 

 

 

 誰もいない所から声がした。

 

 それはゆっくりと姿を現わした。金色の髪の毛、恐ろしく美しい造形。赤い目はこちらを見透かしているかのよう。

 

 

 

 「ギルガメッシュ……………あの少女に見るべき所があったのか?」

 

 疑問を呈する。

 

 「お前が見逃すとは珍しい。あれも己の在り方と存在に懊悩する愉快な奴よ」

 

 

 

 一見、普通の少女に見える………魔術なぞに関わっている時点で普通ではないが、危うさや、重い詰めているようには見えなかった。

 

 

 

 「そうか……………………………そうか。

 

 もし、またこの神の御家を訪れることがあったら、その時は━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━━━━━━彼女の傷を切開しよう」

 

 

 

 

 

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