疼らく境界   作:熾烈

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 なにか、オリジナルのストーリーを考えなければ。
 ただ物語をなぞっても面白くならないしね。


九話 柊始紀/

 

 紀行を始めに向かって遡る。

 

 夢はいつも、途中で終わってしまう。遡っても、遡っても、何かに繋がれているように、現在に引っ張られて、連れ戻されてしまう。

 

 あと少し先、遥か先まで行けたのに・・・・・・

 

 

 

 

 目を開けると、わたしの顔があった。

 

 否、私の顔ではなく両儀式の顔だった。

 「起きたのか。………こいつはいつまで寝ている気だ?」

 

 いつの間にか、伽藍の堂で寝てしまったようだ。日付は寝た日から2週が経とうとしている。

 

 隣のソファーでは幹也が寝ている。彼はわたしが寝た時には既に眠っていた。

 

 式は彼が起きなくてイライラしているようだ。

 

 

 「・・・・・始紀、何処へ行っていた?」

 橙子が聞いてきた。彼と同じ状態だと思ったらしい。

 

 

 「・・・・・・・・・遠く、遠く、遥か向こうへ行こうとした。遡って、遡って、遡る途中まで行った。でも、先に行けなかった」

 寝起きで、霞む思考の中答える。

 

 

 「・・・・・・」

 橙子が黙り考え始める。その間、始紀は欠伸をしてソファーから立ち上がる。

 

 

 

 そうか、もうこんな時期だったか。カレンダーを見れば既に8月下旬。

 

 「じゃあわたしは帰るわね」

 と言い残し、ここを出た。

 

 

 

 涼しい風が襲ってくる。霞んでいた思考はそれでも晴れない。

 足を動かす。帰路につかず、その足は何処へ行くのか。

 

 

 気付けばとある路地にいた。見覚えがある。

 

 あの冬の夜、偶然出会った屍鬼。灰になって消えたのだろうか、そこには何もなかった。

 

 

 そして、気が付けばそこはわたしが倒れた場所だ。

 

 事故注意の看板が置いてある。わたしの家の目の前の道。

 空を仰ぎ見ると、真っ青な蒼穹が広がっている。吸い込まれそうな程透き通っていて、目がおかしくなりそう。

 

 「痛い」

 首が疲れてしまったので、目線を戻す。

 

 

 

 「おい」

 後ろから声をかけられた。

 「・・・・・・橙子、どうしたの?」

 そこにいたのは橙子だった。

 

 「いやなに、心ここに在らずな様だったのでな、車に引かれてないか心配になった訳だ」

 「驚いた、貴女が心配した? ・・・・・・・そんなこともあるのね」

 

 橙子はムッとして

 「私でも従業員の面倒ぐらいみるさ」

 

 「給料は?」

 「うっ・・・・・」

 

 痛い所を突かれた彼女は苦い顔をする。

 

 「とにかくだな、黒桐の奴なら寝ている理由は解るが、お前の方だ。お前は2週間も眠っていたわけだ。気にはなるだろう」

 「そんな話をするまで、ここにやって来たの?」

 

 事務所でそういう話しはして欲しかった。

 

 「そんな嫌そうにするな。その話しがしたい訳ではない。・・・・・いや、聞きたいことはあるが、最初に言った通り、少し心配になっただけだ。気にするな」

 

 と、少々早口でまくし立てた。橙子も自分の柄でもないことを言っている自覚があるのだろう。

 

 わたしは、彼女をポカンと見つめた。

 

 「・・・・・・・・・貴女、本当に蒼崎橙子なの?」

 

 「失礼だな、おい」

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 柊始紀はどうして死んだのだろう? わたしの身代わりにまでなって。

 

 わたしは彼女に出来たもう一つの人格。主人格は彼女であったのに、副人格のわたしに鉢がまわってきたのか。

 

 

 カワラナイ、カワラナイことだらけ。

 

 

 彼女は何お思っていたのだろうか?

 

 

 

 

 

 「どうしてお前は死んだんだ?」

 

 口から出た呟きは、誰かに届くこともなく宙に溶けていった。

 

 

 

 

 




 読者の皆様、今後も宜しくお願いします。

 絶賛迷子中です。ストーリーのアイディアが思い浮かびません。
 なにか、「こういうのが良い」などリクエストがありましたらお教え下さい。
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