魔入りましたよ 入間さん   作:自堕落無力

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九入

 一部の生徒たちの中で色々とあったがそれでも最終的には無事、飛行試験が終わった一年の『問題児』クラス。担任であるカルエゴは()()()()()を自分の元へ集め……。

 

「それではこれより、位階の発表を始める」

 

 カルエゴがそう言うと彼の右肩へと胸の位置に袋のある鳥、人間界の梟に似た姿の鳥が止まった。

 

「これは位階袋鳥(ランクふくろう)。今までの貴様らの行動を監視考察していた。彼の胸の袋に手を入れれば……」

 

 カルエゴが鳥の紹介をしながら袋に手を入れると……。

 

「この通り、位階の章を授けてくれる」

 

 袋の中から手を出すとカルエゴの位階である (ケト)を意味する魔界文字で書かれたバッジがあった。

 

「では、順に並べ。因みに……」

 

 生徒達へと呼びかけながら、別の方向へと視線を向けた先には……。

 

「そこの最下位共(クズども)は一番最後だ。見せしめだからな、せいぜい笑われたり、小石をぶつけられるが良い」

 

「暖かい気遣いとお言葉、どうも」

 

 カルエゴの陰湿たっぷりの言葉、最後に投げかけた嘲笑に正座用の布が敷かれた場所にて正座させられている入間は答えた。彼の右隣にはアリスが、左隣にはサブノックが、そして入間の膝の上にはクララが座っていて、入間に頭を撫でられている。

 

「なんと、何と羨ましいぃぃぃぃっ!!」

 

 女性に対する欲望に正直なカムイから入間はかなりの嫉妬を受けているが、それは無視している。

 

「くぅ、サブノックを無事に連れ戻した偉大な入間様に対して陰湿な真似を……」

 

「まあまあ。ルール違反で退学とか停学させられても文句は言えないんだしそれに比べれば大分、優しい処罰だから良いじゃねえかアリス。後、二人とも敢えて言わせてもらうが……俺についてきてくれてありがとうな」

 

「勿体なき、お言葉ありがとうございます」

 

「えへへ、どういたしまして」

 

 アリスとクララは入間からの礼を受け取り、それぞれ微笑んだ。

 

「3人とも、巻き込んでしまってすまなかった。特に入間、お前が居なければ己は死んでいた……改めて助けてくれた事、礼を言う。これまでの非礼を詫びよう。そして、今日から我がライバルだ」

 

 サブノックは入間達へと頭を下げて詫びと感謝を送り、入間をライバルと定めた。魔王を目指す者としてのだ……。

 

「なんで、そうなるんだ!?」

 

 アリスは突っ込み……。

 

「それは光栄だが、借りはちゃんと返してくれよ? 命を助けた分、でかいが」

 

「おう、勿論よ」

 

 入間は苦笑しつつ、サブノックへ言えばサブノックは豪快に笑って頷いた。

 

「おい、屑共順番だぞ!!」

 

 何やら良い感じに熱い雰囲気を出している入間達へとカルエゴは怒りながら、位階のバッジを取れと叱責する。

 

 因みに位階袋鳥により判明した入間達以外の生徒の位階は……。

 

 ジャズが(ギメル)、リードにカムイ、ガープにアロケル、アガレス、エリザベッタが(アレフ)、クロケルにプルソンが(ベト)である。

 

「ふむ、こんなものか」

 

「うーん、俺と同じだけど最下位だったからなんだろうなぁ……」

 

 そうして最初に位階袋鳥からバッジを取ったアリスの位階はジャズと同じ『3』で……。

 

「おお、一緒だー」

 

「ぬう、まぁ成り上がるのみよ」

 

 クララとサブノックの位階はクロケルとプルソンの二人と同じ『2』であった。

 

 そして最後、入間の番となり……。

 

 

 

「入間様ならばきっと、我らより遥かに高位階(ハイランク)だろう……」

 

「あるいは案外、変なもの出すかもよ」

 

 皆が今回だけでなく、今まで色々とやらかしていると言ってもいい事をやっている入間に注目していた。

 

「位階袋鳥は厳粛正確。どんな事があろうと決して動じぬわ。この数百年間鳴いた事『ギィエエエエエッ!!』、鳴いたッ!?」

 

 位階袋鳥が鳴きながら慌てる様に飛び去った後、残された入間の右手の中指には……。

 

「バッジじゃなくて指輪なんだが……これはどうなるんだ?」

 

 彼は右手の中指に何故か填め込まれている指輪に戸惑ったが……。

 

「入間ち、後ろのそれは?」

 

「うおっ、この指輪まさか呪われてるのか。外れねぇし」

 

 クララの指摘に後ろを見れば肩のあたりの悪霊染みた者が居て、良く見ればそれは指輪から出ていた。入間は反射的に指輪を外そうとしたが外れない。

 

「ヴォォォォォッ!!」

 

 『うぐううつ……』

 

 そして、悪霊が咆哮した瞬間に入間以外の生徒は皆、悪霊の咆哮に堪らないとばかりに耳を押さえつつ、地面に倒れ込む。

 

「おい、お前が悪霊かどうかは置いておくとしても俺の指に填まっている以上、お前の主は俺だ。大人しくしろ」

 

「っ!?」

 

 入間はアリスにクララ、そしてクラスメイトの皆が苦しんでいる事で悪霊染みた者に対し、怒った。よってその念を悪霊へとぶつけながら言葉でも伝える。

 

 すると悪霊染みたそれは激しく震え……次には敬礼した。

 

「それで良い」

 

 入間は満足げに頷く。入間と指輪の上下関係が決まった瞬間であった。

 

 

 

「流石は入間様」

 

「入間君は絶対に怒らせないようにしよう」

 

「怒った入間君、超怖ぇぇぇ」

 

 アリスやジャズ、リードが入間に対してそう評しながら……。

 

「おーい、爺さーん助けてくれぇぇぇっ!!」

 

 入間が突如、サリバンを声にて呼べば……。

 

 

 

「はーい、孫の入間君に呼ばれて即参上したよー☆」

 

『速っ!?』

 

 0.5秒よりも早くサリバンは登場した。

 

 

 

 

「ついでに私も来ました」

 

「あん……オペラ先輩は来る必要ないでしょうっ!!」

 

「本当は嬉しいくせに……昔から照れ屋さんなんだから、カルエゴ君は」

 

「照れても無いし、嬉しく無いんですよっ!!」

 

「そう言えば、使い魔の姿の貴方は大層美しく、毛並みも良いと聞きました。入間様、後でお願いしますね」

 

「あ、はい。分かりました」

 

「入間、貴様ぁぁ「貴様? 主に対してその口の利き方はいただけませんねぇ……それに滅多に会いに来ないし、お仕置きしてあげましょう」ぐぅおぉ、だから嫌なんだよ、あんたに会うのはぁぁぁぁっ!!」

 

 サリバンに乗じてオペラもついてきており、早速、学生時代パシリとして重用していたカルエゴを弄り始め、弄り倒したのであった。

 

 

「おお、『悪食(あくじき)指輪(ゆびわ)』じゃないか。持ち主の魔力を溜めとく魔具だけど中身が少なくなると無差別に魔力を食べちゃうんだ。だから、こうやってある程度の魔力を込めれば……」

 

 サリバンは指輪から出ている悪霊へと手を伸ばした瞬間、悪霊は膨らむとそのまま指輪の中へと引っ込んでいった。

 

「こんなふうに無害だよ。一回填めたら外せないけど」

 

「おう、ありがと爺さん」

 

 因みにこの後、魔力を込めたのであれば使う事が出来るのではないかと考えた入間はサリバンに質問し、その通りだとサリバンが答えた事である種、浪漫が叶う嬉しさに満ちた入間に気を良くしたサリバンが魔力の出力を3段階に調節、更に特殊な呪文で全魔力を解放できるようにした。

 

 そうして入間は魔術と魔力の扱いを極め始める事になるその切っ掛けが今日、『悪食の指輪』を手にした事であるのは確かである。

 

 ともかく、そうして無事にクラスとしての初の授業は終わったが……。

 

「では、カルエゴ先生。何かあれば」

 

 入間は丁度良いとばかりに景気づけを提案し、クララに頼んでクラスメイト全員分のジュースとコップを出してもらい、カルエゴにサリバンとオペラは取りあえずのお茶とコップ……そして、先ずは担任であるカルエゴに振った。

 

「何かと言われても既にありまくりだろう。まあ、とにかく厳粛に生徒として日々、励め」

 

「はい、という事で……それぞれの未来の実現に向けて……乾杯」

 

『乾杯っ!!』

 

 入間が音頭を取り、景気づけの一杯を皆が飲むのであった。

 

 皆に笑いかけられ、皆へと笑いかける入間の様子に……。

 

「……デルキラ様……」

 

 今は姿を消している偉大な魔王、デルキラに仕えていた側近のサリバンは入間に彼の姿を幻視した。

 

 

 

 

 

 その後クラスとしての初授業は終わったがバッジで無く、悪食の指輪を袋鳥から入手した入間の位階は結局、使い魔召喚での結果が余りにもイレギュラー過ぎて測定不能であり、今回も測定不能の結果という事で一番下の『(アレフ)』に決定したのであった……。

 

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