現在、【アクドル大武闘会】の種目である『しっぽ綱引き』においては『デビムス』はくらりんから大自然生まれで農地育ちの関係から体力や腕力などフィジカル的に強いメルンに代わって挑ませていた。
「てやあっ!!」
「ふぶうっ!?」
そしてメルンは男性アクドルとの勝負にも負けず、勝っていく。
そうしてメルンが挑んでいる『しっぽ綱引き』と同時進行で別の競技が行われていた。
「こんにちは!! 僕は【ハイスピード的ちゃん】。一番速くて、一番得点が高いんだ」
会場の空中を悪魔の翼が付いた的たちが浮かぶ中、一つだけ可愛らしい外見の小型悪魔が特殊な装飾の的を抱えて飛びながら、声を出す。
女性アクドル達はそれに対し、武器や魔術による攻撃で的に当てようとするが俊敏にして巧みな動きで回避していく。
「っ、この、当たれよこのおぉっ!!」
「避けるんじゃねぇ、コラ!!」
「舐めやがってぇっ!!」
【ハイスピード的ちゃん】は鼻を鳴らして女性アクドル達の攻撃を回避しており、それにイラついたために女性アクドル達は全魔界中継なのも忘れて暴言を吐き始めた。
『アクドルの皆さん、全魔界中継なの忘れないでください!! 暴言は駄目ですよー!!』
なのでマチャラがしっかりと注意した。
因みにこの的当ては中央のサークルからはみ出したら失格なのでこれもあって、アクドル達は足元にも気を付けなければならないためにイラついているのもある。
『さて、ゴンテツさん。どの遠距離攻撃が気になりま……お―っとぉっ!! ゴンテツさんも武器を構えているぞぉーっ!! 完全に私物です』
マチャラがゴンテツへと話を振ったが、そのゴンテツはカメラを持って的当てに挑んでいる女性アクドル達を撮影していた。
「一つたりとも逃がさん」
『ゴンテツさん、凄い集中力だぁぁっ!! いや、ちゃんと解説してくださーい!!』
ゴンテツはまるで狙撃手のような風格を出しながら撮影に集中しており、マチャラは仕事が出来ないのでツッコんだ。
そうして的当てに挑んでいる女性アクドル達の中でずっと的を観察している者がいた。
「オッケー、もう全て把握したわ」
それはリンであり、彼女は的の全ての位置に【ハイスピード的ちゃん】の動きを観察しつつ、必中のイメージを作り上げていたのである。
そして、それが終わった。
「じゃあ、終わらせましょうか」
腰に備え付けていた羽を手に取って大きな美しい悪魔の翼の形状である弓に変えると次に複数枚取った羽を矢に変えて弓に番えて引き絞り……。
「ばちっこん!!」
『っ!?』
全ての的へと矢を放てばそれぞれ複雑な軌道を描きつつも【ハイスピード的ちゃん】が持っていた的も含めて全ての的を射抜いた。
「私は狙った獲物は逃がさない主義なのよ」
『……ふあぁ……』
妖艶な笑みを浮かべたリンのそれに周囲の女性アクドル達は魅了され、虜になった。
『なんという射撃技術と美しさ、私の心も射抜かれちゃいました。ね、ゴンテ……気絶しています。しかし、なんというプロ根性でしょう。シャッターを押す手は止まっていない!!』
マチャラも見惚れていて、ゴンテツに話を振れば、ゴンテツは満足気な笑みを浮かべて気絶していたがカメラのシャッターは押し続けていたのであった……。