元々、何事においても卓越した才能を有しており、更に魔界の悪魔の中でも随一の弓使いである『バルバトス家』のバチコの弟子である入間にとって『的当て』は簡単すぎるものだった。
アクドルのリンとなりながらもその卓越した弓の技を使って全ての的を射抜き、観客も実況と解説も参加していたアクドルさえ見惚れさせたのである。
こうして『デビムス』は更に他のアクドル事務所からリードしてみせたが……。
「く、はあああっ!!」
「う、ああああっ!!」
現在、『しっぽ綱引き』に参加しているメルンと最終対決をしているのはくろむとリンに挑戦だけでなく、婚約まで叩き付けたギャリーである。
どっちも相手の尻尾を全力で引っ張っており、勝負も伯仲していた。
「くらりんにリンさんまで勝っているのに私が負けるわけにはいきませんっ、絶対に勝ちますっ!!」
「っ、へ、やるじゃねえか……それでも勝つのはあたし様だぁぁぁっ!!」
メルンはくらりんとリンの二人が勝利したのに自分が負けるわけにはいかないと勝利への意欲を燃やして力を出していく。
対してギャリーも勝利への意欲を燃やしてメルンの尻尾引きに対抗していく。
「(あたしは絶対に勝つ。勝って、くろむと結婚してリンを愛人にしてやるんだぁぁぁっ!!)」
ギャリーは自分の欲望すらも燃やし、力を出すための燃料に変えていく。
そして、悪魔は何より欲望を力とする生物であり、ならば必然……。
「きゃあっ!?」
メルンとの尻尾による綱引きに勝利しながら、自分の元へと引き寄せ……。
「勝負、楽しかったぜ」
「あうぅ……」
優しく抱きながら、下ろした。
『伯仲したしっぽ綱引きが決着ぅっっ!! とても熱く、素晴らしい勝負でしたぁぁっ!!』
『アクドルは良いものだ……』
実況のマチャラと解説のゴンテツが勝負の終わりを告げ、実力伯仲だった勝負を観客たちもアクドル達も讃えたのであった。
「すみません、負けてしまいました」
「でも、良く頑張ったわ」
「そうですよ。私達のためにっていうのが良く分かりました」
「どんまい」
自分達の元へと申し訳なさげに来るメルンに対し、リンとくろむにくらりんがそれぞれ声をかけた。
「想像以上に良くやるじゃねえか、流石だぜくろむ、リン!!」
しっぽ綱引きが終わるとギャリーがマイクを持って叫ぶ。
「でも、良いか絶対にこの大武闘会で優勝して、くろむと結婚し、リンを愛人にしてやるからなぁぁぁっ!!」
凄い爆弾発言を大人数がいる前でギャリーはかました。
「勝手な事を言わないでギャリー、私は貴女とは結婚しない。何故なら私はリンさんと結婚するから」
「あら、大胆」
くろむも会場内に入るとリンの手を引きながら、マイクを持って爆弾発言をした。
「ごめんなさい、後で誤解は解いておきますから」
「それは別に良いけれど……どうしたの?」
会場から去るとくろむは顔を真っ赤にして、頭を抱えながら入間へと謝る。
入間が理由を聞くとギャリーにとって、くろむは憧れの象徴で欲しがっている宝石。
くろむが輝けば輝く程、ギャリーも手を伸ばしてアクドルとして輝いていく。
そんな輝くギャリーを特等席で見るがためにくろむはギャリーに手に入れられないようにしているのだと明かした。
「十分、貴女は我儘なアクドルね。くろむ」
「えへへ」
「それなら猶更、勝ちましょうか」
「はい、よろしくお願いします」
新たに勝利への意欲を入間にくろむは燃やしていくのであった……。