魔王――それは魔界の全悪魔を統べる王である。
しかし、今の魔界に魔王はいなかった。現代の魔王であったデルキラは城から出かけたきり、そのまま帰ってきていないのだ。
そうして、『消失の魔王』と呼ばれるようになったのである。
魔王がいなくなった事で悪魔たちは攻めて、三傑の誰か一人が魔王になってくれないかと思っているが、三傑の中でデルキラの一番の側近であったサリバンは今もデルキラが帰って来るのを信じているし、待っている。
だからこそ、デルキラが帰って来てもすぐに受け入れられるように特に魔界の環境を変えていないし、変える事に慎重であったりするのだ。
「(許せねえっちゃ許せねえよなぁ)」
デルキラの話を度々、サリバンから聞くと嬉しそうにデルキラの事を語るが、やはりいなくなった事がショックであるのは間違いないので悲しい表情も最後には浮かべるのだ。
「(意地でも帰って来いよ。デルキラさんよぉ)」
入間はサリバンの孫となり、魔界に連れてこられそうして人間界とは違い、充実しているし楽しく生活できている。
だからこそ、サリバンには本当に感謝している。そんなサリバンを悲しませているデルキラに対して入間は怒りを抱いてもいた。
入間は魔王になろうとしている。
それは勿論、目指すなら上であり、その果てが魔王だからこそ目指す。
魔王になる事で悪魔たちに自分が与えられた喜びや幸せ、温もりとそうした恩を返すために魔王になる。
色々、やれる事をやりたいから魔王になる。
本当にいろんな面から魔王を目指しているが、一番は自分が魔王になる事でサリバンを喜ばせたいという想いだった。
「(もっと、魔王の事を知るか)」
『13月』にて招待された『13冠の集い』にて自分と同じ三傑の令孫であるレヴィアタン・レイヂにベリアール・ベリィ・ラズベリィも魔王を目指しており、最後にはレイヂが出した指に自分とラズベリィが同じく指を付きつけ合って、魔王になるため、勝負をする誓いを交わしたのだ。
因みにレイヂは「なぜ、指を付ける?」と困惑はしていた。挑戦をすると言いながら、指を出したので入間もラズベリィも空気を読んで付けたつもりであったのだがレイヂ本人はそういうつもりじゃ無かったようだ。
ともかく、13冠の集いによって魔王になる事を更に意識する事になった入間はうってつけな『師団』に向かった。自分のクラスメイトで宿敵関係のサブロが所属している魔王に関する文献を集め、魔王について語り尽くす『魔王師団』の教室へと向かったのであった……。