魔入りましたよ 入間さん   作:自堕落無力

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百六十話

 

 

 入間のクラスメイトであるアンドロ・Ⅿ・ジャズにはとある秘密がある。

 

 そんな彼は自分の教室である『王の間』ではなく、普通の校舎の廊下を渡っていた。

 

「お、ジャズ。珍しいな一人で」

 

「まあねぇ、っと、ごめん。盗っちゃった」

 

「あっ、は、はい……」

 

 別のクラスの一年に話しかけられ、応対したのだがすれ違う女性悪魔の懐から無意識にハンカチを盗ってしまったので声をかけて返した。

 

 

 

 『蛇使いの盗賊(サーペント・シーフ)』の異名を持つ盗賊一族の生まれであるが故にジャズは手癖が悪く、盗み癖ある。しかも無意識にやってしまうレベルなのだ。

 

 もっとも入間に対してはやろうとした瞬間、悪寒に殺気が襲ってくるので盗み癖は発動しなかったりする。

 

 ともかく、ジャズはそのまま他者の気配も無く、声も無く、姿すらも無い部屋へと入り……。

 

 

 

「使い魔スプリット・ウルフ、召喚!!」

 

 使い魔シールを使って自分の使い魔であるスプリット・ウルフを召喚してみせる。

 

「ヒャン!!」

 

 ふわふわでもふもふ感漂う毛並みを有する子犬のような使い魔がジャズによって召喚される。

 

 「久しぶりだな、スプ。相変わらずふわふわだな」

 

「ヒャン!!」

 

 ジャズはスプと名づけた使い魔を持ち上げながら言葉をかけ、スプはジャズに対し嬉しそうにしており、尻尾も振っていた。

 

 ジャズの秘密とは使い魔が滅茶苦茶キュートであるという事だ。

 

 

「スプ、攻撃訓練をしてみよう。良いか、前足でこうやって攻撃を的に当てるんだ」

 

 用意した的を持ち上げつつ、スプに攻撃の仕方を見せながら命令したのだが……。

 

 

「ヒャン!!」

 

「しまった、足が短いっ!!」

 

 スプはその場で前足を振り、全然攻撃を届かせていなかった。

 

「もっとこう、バシっとだなぁ……ああ、違う違う、飛ぶな。体当たりだよ、尻尾でも良いって……いや、なんで回るんだよ。そういうの何処で持ってきた、そして咥えるな、ポーズを決めるなって、ああ~~いつのまにやら、大道芸っ!?」

 

「ヒャン!!」

 

 パーティ帽子を被り、立ち上がりつつ、玉の上に乗りながら両の前足を上に伸ばしながら、バラを加えているスプの姿がそこにあった。

 

 

 

「良いじゃないか、大道芸。金だってとれるぞ」

 

「まあ、そういうやり方もあるね……って、い、イルマ君っ!?」

 

「おうとも……しっかし、可愛らしい使い魔だなぁ」

 

 いつの間にやら入間がその場におり、ジャズは驚愕した。

 

 

 

「ま、まぁね……使い魔の姿は主人に影響されるって言うし……っていうかなんでイルマ君はこっちに?」

 

「お前がこそこそするのが見えたから気になってな。本当、凄い変わりようだ。スプリット・ウルフって本来、こんなだぞ」

 

 入間は使い魔シールを使い……。

 

『グルルルゥゥゥゥァォォォォッ!!』

 

 そうして入間を背中に十分、乗せられる大きさで従来のスプリット・ウルフより凶悪なのを思わせ、同じく強さにおいてもかなりの評価があるだろう尾が二本の蛇となっている魔物、スプリット・ウルフが咆哮した。

 

 

 

「わぁ、図鑑で見た物より凄いのになってる……」

 

「だろう」

 

「いつ捕まえたの?」

 

「大分前からかな。最近、色んな魔物を集めて鑑賞会をしようと思ってるんだ。魔物園的なのを作ろうと計画もしているしな」

 

 スプリット・ジャズの質問に入間は応じる。そう、入間は魔界のいろんなところにいる魔物を捕まえながら、人間世界で言う動物園を作ろうとしているのだ。

 

 

 

「中々、楽しみが増えそうだね」

 

「ああ、楽しみにしてろ」

 

 期待を込めたジャズに対し、入間も笑みを浮かべて応じるのであった……。

 

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