百七十三入
入間はバールがバビルス学園にあるだろう魔王デルキラの遺物を得るために送り出した『六指衆』の二人のうち、シーダを自らの女として篭絡した。
まず、シーダは自分が見る限り、『六指衆』としてはまともな感性を持っている。何らかの事情で六指衆で活動するしか無かったと予想は付けているが……。
能力としてはバビルス学園の教師として活動する分には問題無い実力の高さもあるようだ。
性格破綻者でも無く、能力も高いという面、そしてなにより、女悪魔として容姿も良く魅力的という事から自分の女として取り込む事にしたのだ。
『色欲』も立派な欲の一つであるし、敵に対する有効な対処法は自分の側に取り込む事である。それが異性であるなら、出来るなら自分に惚れさせて篭絡するのが一番である。
いわばハニートラップのようなものだ。ともかく、入間は一人、活動していたシーダに接触し、異空間に幽閉しつつ自らの全てを持って篭絡しにかかり、見事成功させたのであった。
これにより、バールに対する逆スパイが誕生したのである。
こうして、バールの動きにも対応できるようになったところでバビルス学園に登校する。
「さて、一年のランクはどうなったかな?」
「チマちゃんは私より優秀ですから、多分トップになってるとは思いますが……」
「やっぱり、お姉さんよねぇケロリちゃんは」
入間は生徒会として生徒が通学するのを見守りつつ、挨拶する中で知った情報――一年生における『飛行試験』による一年生の位階発表のそれをいつものメンバーで見に行く。
ケロリは妹のチマが一年になっているのでそわそわしており、そんな姉としての一面を出しているケロリにエリザベッタが微笑んだ。
こうして、結果を見に行くと……。
「む、豪華な枠が用意されてますね」
「だな」
アリスが気づいたそれは豪華な枠で囲われ、成績優秀者を示しているようなそれである。
「お教えしましょう、それは選ばれし二十六名の悪魔――輝かしき一年のトップ悪魔を示した物です」
頭に角を二本生やした容姿端麗で真っ赤な学生服を着たナルシストな雰囲気を隠してもいない男悪魔が出現した。
彼こそ入試次席であり、次に来る顔面大賞堂々一位、呪魔ボーイコンテスト最優秀賞、新人ながら表紙を飾った雑誌は数知れず。現役人気モビデルの男。
彼の名はゼゼであるが、自らを全知全能の『ゼゼ』と称していたりもする。
「へえ、お前中々、
「ふふ、話題のイルマ先輩にそう言ってもらえて嬉しいです」
「それはなによりだ」
握手を交わす入間とゼゼだが、このやり取りを見ていた学生悪魔――入間の事を知っている者は全員が思った。
『(あぁ……イルマ君の獲物に選ばれるなんて可哀想に……)』
ゼゼの今後に対して同情するのであった……。