魔入りましたよ 入間さん   作:自堕落無力

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十七入

 

 悪魔学校バビルスに通っている一年の『問題児クラス』である生徒たちはその日、いつものように自分たちの教室へと入ろうとして扉を開ければ……。

 

『っ!!!!!?????』

 

 途轍もない驚愕と共に激しく混乱した。

 

 いつもの古びた教室の中に入ろうとしたらまるで『王城』の中のような室内に変化していたのだから……。

 

 

「皆、おはよう。ちょっと模様替えしてみたんだがどうかな?」

 

「も、模様替え……こ、これは入間様がやったのですか?」

 

 まるで最初からそこに居たかのように突如として出現した入間が皆の前で悪戯に成功した悪童のような笑みを浮かべるとアリスが代表して問い返す。

 

「爺さんに協力してもらってな。教室内を異界化して、色々と弄ってとりあえず、疑似的な『王の教室』へと造り替えたんだ」

 

『王の教室っ!?』

 

 入間が何でもない事のように応えたそれに皆が当然、驚愕する。

 

 そして、改めて絶対に使われる事の無い『王の教室』はこんな風なのかと目を走らせながら見ていく。

 

「あ、ああ……私は入間様のお力の一端すら理解していなかったとは……そして、まるで魔術王(ソロモン)の如き、御業に敬服いたしました。入間様」

 

「入間ち、相変わらず凄ーい」

 

 アリスは己の至らなさや感動やらで滂沱の涙を流しながら跪き、クララは楽しさ故に動き回りつつ、入間を褒める。

 

「す、凄いというかなんというか……やる事が本当に壮大だよね」

 

「あはは……ここまで来るとどうとも言えないなぁ」

 

 リードとジャズはもはや自分の理解の範疇を超えた事をした入間に苦笑するしか無く……。

 

「これが……王の教室……我がライバルよ感謝するぞっ!!」

 

 魔王に強い憧れを持つサブノックは『王の教室』と化したこの空間に居る事に感動し、入間に感謝した。

 

「おお、二階や鍛錬部屋の他、部屋数も多く用意されてるでござる」

 

「全くもって壮大ですな」

 

「摩訶不思議……」

 

「やった、仮眠室まであるー」

 

「演奏室もあるんだ……」

 

「うふふ、これは凄いわね」

 

「そうですね」

 

 入間から取りあえずとばかりに配られた現在の部屋のマップと実際のそれを見比べつつガープにカイム、アロケル、アガレスにプルソン、エリザベッタにケロリははしゃぎつつ、感想を述べた。

 

「因みにいつでも色々と弄れるから、要望があれば言ってくれ。折角だ、此処を俺たちの基地にしようじゃねえか。」

 

『ありがとうございまーすっ!!』

 

 入間からのその言葉に皆は礼を言いながら、喜んだ。

 

そして、更にこの後、ホームルームをするためにやってきたカルエゴも又、同じく驚愕する事となり、ともかく授業をした後……。

 

「良し、それじゃあ皆良く見てろよ……」

 

 入間はカルエゴやクラスメイトが見る中、教室の後ろの方へと移動し……。

 

 呪文を唱えながら右手を虚空に翳す。すると虚空が蠕動し、揺らぎが生まれた。

 

 そして呪文の詠唱は続けつつ、右手の掌底が上、伸ばした左手の掌底が下になるようにして合わせて回転させれば揺らぎは広がり、魔方陣を構成した。

 

 その魔法陣の中へと右手だけを伸ばして入れて大きく円を描くように回せば虚空を閃光が円を描き、更に大きな魔方陣が構成される。

 

 そして入間は自分が回している魔方陣を中央の位置に置いてドアノブを捻るかのような仕草をすれば……。

 

『おおおおおっ!!』

 

 魔方陣が扉の如く開け放たれ、その奥は本校舎の中の景色となっていた。入間は今、自分たちが居る教室とバビルスの本校舎の空間を繋げており、それによって空間魔術でいつでも移動できるようにしたのだ。

 

「いちいち、移動するのは面倒だからな。カルエゴ先生もどうせ、職員室に行くんですし、良ければどうぞ?」

 

「……もう、何も言わんぞ」

 

 そうして入間による空間魔術で開けられた本校舎へと行くためのゲートを通ってクラスメイト達は感謝しながら、移動しカルエゴも入間の行動には呆れつつ、本校舎へのゲートを通った。

 

 そして、入間が最後にゲートを通り、指を鳴らすとゲートは消えたのだった……。

 

 

 

 

 

2

 

 

 バビルス校舎内の『談話室』、それは放課後において生徒会長であるアメリと入間のための部屋となる。正確にはアメリが禁書として秘蔵している人間界の漫画である『初恋メモリー』の朗読をするための部屋となるのだ。

 

「(ふふ、はつこいめもりぃは本当に面白いなぁ)」

 

 アメリは今日も又、『初恋メモリー』の朗読を楽しみにわくわくする気持ちを押さえつつ、談話室の前で入間を待とうと向かえば……。

 

「どうも、アメリさん」

 

「い……入間……今日は早かったのだな?」

 

「いえ、俺も此処に先ほど来たばかりですよ」

 

 そうして談話室へと入って、初恋メモリーの朗読を始めた。

 

 それが終わると……。

 

「ん……」

 

「耳なんか触って、どうした?」

 

 入間は顔をしかめつつ、耳タブを軽く触り始めたのでアメリは問いかける。

 

 

 

 

「ちょっと痒みが……帰ってから耳掃除しておきます」

 

「それなら、私がやってやろう。いつも朗読してもらっている礼だ」

 

「は、いや……気持ちは有難いですけど、それは流石に恐れ多いです」

 

「ぷ、ふふ……意外と初心のようだな。良いから耳掃除させろ。会長命令だ」

 

「え、えぇ……参ったな、こりゃ」

 

 アメリの言葉を聞くと入間は明らかに動揺しつつ、顔を真っ赤にしたのでアメリは面白がるように笑みを浮かべながらも自分の膝を叩く。そうして……。

 

 

 

 

「どうだ、痛くないか?」

 

「大丈夫です。凄く気持ち良いです」

 

「それは良かった」

 

 アメリに膝枕されているので顔を凄く赤らめつつも入間は耳掃除の感想を言い、アメリは満足気。反対の方もするため、寝返った際は入間は目を瞑りながら耳掃除を受けて……。

 

「ありがとうございましたアメリさん……う……あ、あの……?」

 

「気にするな。昔、弟か妹が欲しかったのを思い出してな」

 

 耳掃除が終わり、起き上がろうとしていたところでアメリから頭を撫でられたので動揺しながら問いかけるとアメリは微笑みを浮かべながら入間の頭を撫で続ける。

 

「どうせ、俺はアメリさんより小さいですよ」

 

「ああ、すまんすまん。そう拗ねるな」

 

 入間は何気に気にしている自分の背の低さ(因みにリードも同じで何気に二人で低身長同盟組んでいたりする)を言われ、不機嫌さを出すとアメリは苦笑しつつも入間の頭を撫でた。

 

「今日も朗読、楽しかったぞ」

 

「どういたしまして。それと、耳掃除ありがとうございました……アメリお姉ちゃん」

 

「っ!!!!????」

 

 頭を撫でるのをアメリが止めて椅子から立ち上がったので、入間も同じく立ち上がりながら少し離れ、そうしてアメリが礼を言うと入間も又、礼を言った。

 

敢えて愛嬌のある弟としての演技を本気でやりながら……。

 

 それにより、アメリは悶絶間近な衝撃を受け、入間も内心にダメージを負ったのだった……。

 




 魔術の表現として『ドクターストレンジ』が作者は好きです。
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