【心臓破り】においては教師陣が六人も追加された上、二十分をタイムリミットに魔王に近い実力者である理事長サリバンが試験に加わる可能性が出てきた。
無論、出てきたら試験の難易度は増して【心臓破り】を全員で試験を乗り越えるという入間達の目的は達成不可能になるだろう。
しかも入間がこの試験に参加できるようになるのはサリバンに設けられたタイムリミットの六分後だ。
しかし、これはあくまで生徒のための試験なので救済措置が設けられている。二十分までに理事長室に行き、四人の生徒が装置に魔力を込める事でサリバンの参戦は阻止できる。
そして入間の参戦は阻止手段は無いので参加できるのだ。
とはいえ、リスクもあるのが厭らしいと言える。なにせ理事長室に行く必要があるので行動は限定されるし、参戦阻止しようとするのを教師陣は妨害できるのだから……。
それでも参戦阻止はしなければならない。よって、アリスとゼゼにシルビアのアリスチームとカムイとマリアンヌとウズのカムイチームはサリバンの参戦阻止のミッションである『SOS』を達成する事に決めた。
こうして、教師陣の待ち伏せに気を付けながらアリスとカムイの両チームは理事長室を目指し、少なくとも4階の理事長室前怪談までは無事に到着する。
とはいえ、そこで……。
「わぁーあ、大量だぁー」
短い黒髪、頭に二本の角がある学校警備教師のイフリート・ジン・エイトが現れた。
そんなエイトにアリスが前に出ると……。
「カムイ、任せる。良いな?」
「御意に」
カムイに言葉をかけると……。
「皆さん、上へ行きますよっ!!」
カムイは一年生たちに指示をし、そのまま階段を上がっていった。
「判断早すぎでしょう、良くあんな瞬時に別れたね……」
エイトは判断の速さに感服しながらももっと迷って欲しかったという。
「私が戦って、他は先に進むのが一番低リスクなので……」
「それはつまり、僕一人なら君一人でも抑えられるって事?」
「ええ、それにイルマ様の指示でもあります」
「随分と舐めてるじゃないかっ!!」
エイトは瞬時に右手に炎を纏って打撃を見舞う。
「そんな訳無いでしょうっ!!」
「づっ!?」
アリスも同じように手に炎を纏わせて打撃を見舞えば、エイトの炎を焼きながら吹っ飛ばす。
「こ、この僕の炎を焼くなんてねぇっ!!」
エイトは笑みを浮かべる。彼の一族、イフリートはそもそもが炎の魔神イフリートが由来だ。
イフリートはあらゆる物を焼き尽くし、焦土と化させる魔界の炎の始祖である獄炎の化身だ。
そんなイフリートに挑んだエイダという悪魔はイフリートの獄炎を授かった。
エイダはイフリートの炎で全身を焼かれ、灰となったが百年後に灰の中から煙が立ち上って炎を纏う悪魔が現れた。
そうして炎専門の家系であるイフリート一族は誕生したのだ。
「僕に炎で勝てるとでも?」
エイトは化身の形態になっている獄炎を出すも……。
「ええ、思っていますよっ!!」
アリスはエイダの獄炎よりも超巨大な青い炎の怪物を出した。
「そ、それはなんだい……」
「イルマ様が貴方の炎と私の炎を混ぜて生み出した炎です。名前はアグニ……既にイルマ様は貴方との戦いを想定した訓練を渡しに課したのですよ」
「……ははは、こりゃやばいね」
エイトは入間のやばさを心底、実感したのであった……。