魔入りましたよ 入間さん   作:自堕落無力

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十九入

 

 

 人間界とは全く異なる別世界、魔界にて生活圏を築いている悪魔の社会は完全なる実力主義であり、位階(ランク)が重要視される社会だ。

 

 故に学生の内から悪魔は位階を上げるために精を出すし、それが学生悪魔の本分だ。もっとも学生から成人となっても位階を上げる事は出来るが、学生であるうちから出来る限り、上げた方が遥かに効率的である。

 

 そして学生悪魔が位階を上げる上でもっとも手っ取り早いのは定期的に学校の授業にて行われる『位階昇級対象授業』にて昇級に十分な成績を納める事だ。

 

 バビルスに通う一年ならば前回に行われた飛行試験が『位階昇級対象授業』の一つであり、一週間後に行われる『処刑玉砲(しょけいぎょくほう)』も又、『位階昇級対象授業』の一つとなる。

 

 

 

『処刑玉砲』というのはかつて勃発した悪魔同士の領地争いを元に考案された試験であり、血で血を争う死闘。

 

 武器として『噛鉄(カイマン)』という一度噛みついたら獲物を嚙みちぎるまで絶対放さないそれを使って城に乗り込み、敵を一人残らず皆殺しにした者が勝者となる……と、そういうルールだったのは昔の話。

 

 現在は負傷者の続出など悪魔的資源を考え、ボールを使うし、時間と経費の短縮のために領地を線で分け、ボールに当たった者は外野行きとなるがそこからボールを投げて内野の敵に当てれば内野に戻れる。

 

 ぶっちゃけ、悪魔版ドッジボールで人間界のものと違うのはボールに対してのみだが、魔術を使う事が許されている事である。

 

 ともかく、入間は位階を上げるために一週間後に行われる『処刑玉砲』に備えて特訓をする事にした。

 

 その場所はサリバンの屋敷内であり、何故ならばこの屋敷内は入間が『問題児クラス』の教室にしたのと同じく屋敷内全体を異界状態とし、好きに事象改竄出来るようにしているからである。

 

と いうかそもそもこっちが本家本元であり、此処で練習しながら実践を繰り返したのを『問題児クラス』の教室でも行ったのだ。

 

 そうして入間は好きに弄れる異界としたサリバンの屋敷内に『実戦鍛錬』の部屋を設けている。

 

 この部屋では重力が外界と比べて遥かに強く、空気も薄いという過酷な環境となっていて普段はオペラを相手に格闘は勿論、魔術を使ったりして実戦形式の鍛錬を積んでいるのだ。

 

 そこを使って今は……。

 

 

 

 

「まだまだ、いきますよっ!!」

 

「づぅぅ……はい、遠慮なく来てください!!」

 

『処刑玉砲』のためのコートを設け、その中で入間とオペラは炸裂すれば死ぬと思わせるほどの勢いと速さにてボールを投げ合っては捕らえて、投げ返していく。

 

 結果としてはオペラの方が優勢である。何故ならオペラは肉体よりの悪魔であり、その身体能力は普通の悪魔を遥かに凌いでいる。

 

 本来の実戦鍛錬の時もそうだが、使う魔力は悪魔に変身した際の自分の魔力だけに限定し、常日頃から最適化を始め、極め続けている身体能力強化系の魔術を使っている入間は現在もそして本来の鍛錬の時もなんとか、オペラに食らいついていく事しか出来ないのが現状である。

 

 

 

 

「ふしっ!!」

 

「がうっ!!」

 

 オペラが投げたボールを掴み取りながら、受け流し投げ返そうとしたが疲労によって失敗し、倒れ込む。

 

「……休憩しますか?」

 

「はぁ……はぁ……冗談。まだまだこれからですよ。遠慮なくと言ったのは俺ですし」

 

「では、そのように」

 

 オペラからの質問に息を整え続け、立ち上がりつつオペラへと告げるとオペラは頷き、ボールを構えた。

 

 そう、生半可な鍛錬では意味が無いし、入間は自分の限界を超えたさらにその先の限界を超えた状況を突破できる実力を欲している。

 

 何故なら……。

 

 

 

「『周到な準備こそが勝利を生む』って言うが、今回は周到なんて言葉が生温くくらいの準備が必要になるくらいの相手が出て来るのが見えるからな……」

 

 サリバンの屋敷内に設けた魔術及び魔具の研究室内にて自分が酷使した肉体を治療用魔具の中に入れて回復させつつ、肉体と魂を分離し幽体として活動するための魔術を使った入間は幽体にて現在、魔術の研究をしながら呟くのだった……。

 

 

 そうして、入間が一週間後の『処刑玉砲』に向けて壮絶な努力を始めたのと同じ頃……。

 

「ふふふふふ……実にお誂え向きな名だ。そして素晴らしい……入間よ、貴様の行動が招いた結果だ。覚悟していようがいまいが最早遅い。そう、お前は私を怒らせたっ!!」

 

 カルエゴは入間に対して激しい念を送りながら呟き、その時に向けての準備をするために同じ教師であり、バビルスの学生時代からの友人である者の部屋へと向かったのだった……。

 

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