昨日、『位階昇級対象授業』であり、試験の一つである『処刑玉砲』においてカルエゴによる特別試験にて合格した入間は『
そして、今日も又、『問題児クラス』の教室に入ると……。
「おはようございます、入間様」
「おはよう、入間ち」
「おはよう、イルマくん」
アリスとクララが積極的に挨拶し、出迎えるのはいつもの事だが今回はエリザベッタが加わっていた。
「イルマくん、身体は大丈夫? 昨日は結構、傷ついていたけど」
「ああ、ちゃんと家で治療したから大丈夫だ。心配してくれてありがとうな」
「いえいえ……何か私に手伝えることがあったら、言ってね。力になるわ」
「じゃあ、その時が来たら遠慮なく頼らせてもらうよ」
挨拶したかと思えばエリザベッタはアリス、クララに先んじて言葉をかける。入間は若干、気圧されながらも苦笑し、言葉を返す。
「それとイルマ君。良ければお菓子作りを私に教えてくれない? できればお料理とかも」
「お安い御用だ。まあ、正直、俺は作るより食べる方が好きなんだけどな」
「そうなの……」
入間がエリザベッタの要求に頷き、苦笑しながら言った言葉にエリザベッタは良い事を聞いたとばかりに妖艶な笑みを浮かべた。
「イルマ君……これからは私の事はエリって呼んでね」
「? 分かったよ、エリ」
「~~っ!! それじゃあ、よろしくね」
戸惑いながらそう言ってきたエリザベッタに戸惑いながら、入間は頷きつつ呼ぶとエリザベッタは嬉しそうに頷きつつ、自分の席へと戻った。
「今日はえらく、ご機嫌だなエリは」
「ですね」
「むー」
入間とアリスが苦笑する中……クララは胸の中がモヤモヤして唸っていた。その他のクラスメイト、特にカムイとリードの二人においてはどう見ても入間に気があると察せるエリザベッタの態度を見て……。
『(くっそぉぉぉぉぉぉっ!!)』
せめてとばかりに入間へと嫉妬の念を送ったのであった……。
2
昨日の『処刑玉砲』において状況で言えば入間に敗北した形となるカルエゴはオペラと自分の叔父に弄られた事でストレスを抱えながらも今日も『問題児クラス』の担任として教室に入ってホームルームをしようとを入間から貰った魔具を使ったのだが……。
「!!!!????」
急に落下したかと思えば超可愛いデザインの乗り物に乗せられており、しかも強制的にベルトでロックされ、拘束された。
そして風景は例えるなら、魔界の遊園地であるウォルターパークのアトラクションのそれであり、様々なマスコットやゆるキャラ、可愛い説明セットに出て来るキャラの人形が多く置いてあって……。
「おはよう、おはよう、おっはよーう。今日も1日、楽しい学校が始まるよ♪」
カルエゴが乗っている乗り物が動くと同時に人形や景色が動き出し、可愛いミュージカルが始まった。
「ほらほら、今すぐ始めよう。ホームルームはもうすぐだ♪」
「……」
いきなりの急展開についていけず、呆然とミュージカルを見ながら乗り物に運ばれるままのカルエゴ。
「おっはよう、カルエゴ先生☆ さあ、貴方のクラスメイトが待ってるよ。最後の準備を終えてホームルームを開始しよう☆ キュンキュンプイプイ、ププイプーイ☆」
「え、な!?」
歌が終わったかと思えば説明セットに出て来るキャラが杖を持って現れてそれが珍妙な呪文を唱えて杖を振ると共に魔術が放たれ、カルエゴに炸裂し……。
「どうでしたか先生、中々可愛い演出で心癒されたでしょう?」
「癒されるどころか余計、苛ついたわ。阿保」
『問題児クラス』の教壇の上、モフエゴとなったカルエゴの体にぴったりな玉座に座らされていて、入間は後ろから声をかけながらモフエゴの毛繕いやら指圧マッサージやらを始める。
「えー、折角、最近元気の無い先生のためを思って用意したし気遣ったのに……」
「元気を無くさせてる本人が言うんじゃあない!! 余計な気遣いも不要だ、頼むから何もするなっ!!」
入間がショックとばかりに残念そうに言うとモフエゴはとうとう、キレた。
しかし……。
「ふーん、そういうこというんですかぁ……せっかく、後でこれをプレゼントしようと思ったのに」
モフエゴの言葉に呟きながら、指を鳴らすと……。
「っ!!!!????? こ、これは……ま、まさかっ!?」
モフエゴの前に出現したのは彼が趣味で集め、栽培しているサボテンの数々。
それも一つは古代において絶滅したはずのサボテン、その他も絶滅危惧種や稀少なサボテンとどれも価値がヤバいものであった。
「先生のケルベロスから勝手にヘルハウンド作ったりしたのでその詫びも兼ねて復元やら複製やら頑張ってやったのになぁー、そっか、要らないか」
「……れ」
「ん?」
「頼むから、くれええぇぇぇぇぇっ!!」
「そんな必死にならなくても、ちゃんとあげますよ」
モフエゴの叫びに入間は頷き、サボテンをプレゼントした。
更にこれとは別に魔界において超一流の魔ーケストラ楽団であり、チケットを取るのも倍率が凄すぎて至難であるその公演の特等席のチケット2枚をモラクス先生へと渡し、カルエゴを誘うように促した。
「ありがとう、イルマ君……本当にありがとう」
「いえいえ、お二人とも末永くお幸せに」
感謝するモラクスに対し、入間は手を振りながら去っていくのだった……。
3
今日、バビルスの学食において一大イベントが始まっていた。それはデビルビーフを使った様々な肉料理の666人前大食いチャレンジである。
そして、そんなチャレンジに当然……。
「お、来たねイルマ君……当然、食うだろう?」
「勿論、食べる。遠慮はしないからな」
「ふふ、どうぞどうぞ。そもそも君のために用意したようなものだからね。食べきれるものなら食べてみな」
「良し」
そうして入間は666人前の大食いチャレンジに一人で挑み……。
「おおっ、今日は又、素晴らしい食べっぷりです入間様!!」
「凄い、凄い。どんどん料理が消えてくよー」
「あんなに幸せそうに、そして可愛らしく食べるのね、イルマ君は」
「食べてるっていうより、もはや呑み込んでるよねあれ……」
「イルマ君の食欲、半端ねぇ……」
「何とも気持ち良い食べっぷりだな、己のライバルはっ!!」
「彼の胃袋は底なしどころかブラックホールとか異空間のようですな」
「噂には聞いていたが、あれ程とは……感服でござる」
「凄すぎて、もう怖いよ」
「僕の睡眠欲以上だー」
「大食漢……いや、正に超食漢……」
「うぅ、また注目を……」
大食いチャレンジに挑むイルマに対し問題児クラスは応援しつつ観戦しており、更に言えば入間から許可を得て入間が大食いチャレンジを一人でクリアできるかどうかの賭けをジャズとリードが食堂に居る学生たち、全員に仕掛けていた。
当然、問題児クラスは全員が入間がクリアする方に賭けている。
「……嘘だろ、数百人前をあんな一瞬で」
「エッグい食べっぷりだなぁ……」
「あの小柄な体のどこにあんな量が入っているんだ……」
「食べる様子は小動物みたいで可愛いんだけどねぇー。ですよね、会長?」
「う……ウム(そうかイルマは食べるのが好きなのか……それにしても可愛いなぁ……)」
学生たちが入間の食べっぷりに盛り上がる中、生徒会の面々も驚愕しながら見ており、アメリにいたっては内心、入間の食事風景に心癒されながら微笑ましく見ていた。
そして……。
「ご馳走様……今日も美味かったぜ」
「参りましたぁぁぁぁっ!!」
見事、入間は一人で『デビルビーフの666人前』を完食し、食堂の料理人たちを跪かせたのであった……。